エピローグ
俺は久しぶりにガールズバーへ飲みに来た。
「いやぁ〜久しぶりだねこの感じも。」
そこそこ酔いが回り上機嫌だ。
後輩は、マッシュと一緒に別の席で一緒に飲んでいる。
「アンタ最近全然顔出さなかったけど、そんなに忙しかったの?」
ママは俺に細長いタバコを向けて聞いてきた。
「まぁね。未来の若者達を護る仕事してきたと言っても過言じゃないよ。」
俺はかなり格好つけているなと自負しながら答えた。
結局、先輩は俺が潜入した先で、先輩を襲撃した山本に薬物の密輸に関して出頭させたのだ。
ニュースで見ただけなので、詳しくは知らないが、あのコンテナに入っていたブツはしっかりと押収された様だ。
俺の予想だが、五島は先輩の使い捨てのシノギに使われているか、もしかしたら殺されているだろう。
気取って後ろを振り向き、タバコを吹かしながら懐かしき女神のFカップちゃんを見る。
目があったので、下手くそなウインクをして席を立ち、歩いて行こうとした時、ママが肩を掴む。
「ん?なに?」
手元には伝票(?)がヒラヒラと。
「アンタ、まだツケ払ってないでしょ。」
チラリと伝票を確認すると、俺の今日の手持ちでは足りない事を確認した。
「あー。あぁ!あ!そういえば、この後用事があったわ!仕事だ仕事!おい!お前ら帰るぞ!」
そうして、今回飲んだ分をママに渡し店を出ようと後輩とマッシュの肩を掴んだ所でママが言った。
「電話、どっちにかけたら良い?」
仕事用とプライベート用の携帯には、
片方には先輩の名前、もう片方には警察の電話番号。
「え、いや、ちょっとそれはやりすぎじゃない?」
「食い逃げ、飲み逃げはやりすぎじゃないの?」
俺は返す言葉もなく、項垂れた。
「いや、今日待ち合わせ無くて…」
からの財布を見せる。
「あら、しょうがないわね、じゃあ店の雑用ラストまでやりなさい。」
俺は中年不良探偵。
時刻は22時41分。
命のやり取りをした後は、グラス洗いと雑巾掛けという、落差が激しい人生を歩む男。
今年で35歳だ。
「はぁ…。」




