プロローグ
作者です。
最近、某探偵作品映画を見て、
自分もこんな話を誰かに伝えたり、作ったり書いたりしたいなと思い、居ても立っても居られず書き出しました。暇な時にお目通し頂けると幸いです。
心臓が破裂しそうだ。
タバコなんて吸うもんじゃ無いな。
「ハァハァ…ッ…あーッ、クソ。禁煙だ禁煙!ゼェッハッ!ゲホッゴフォ!」
人生35年目にして約20回目ほどの禁煙を誓いながら後ろを振り返る。
通りすがりの人に怪訝そうな視線を向けられるが、
俺を追ってくる奴はもう居ない。
まだ息は整ってないが、とりあえずこの場から離れる為に歩き出す。
俺は、探偵。
輝かしい10代を暴走族のパシリに使い、
20代を酒とギャンブルに使い、
30代にしてようやく自分の将来に不安を持ち、
この先このまま何者にもなれずに生きていくのだろうかと自問自答し、
2年前に突然仕事が嫌になり、何を思ったか経験もないのに探偵として独立した。経験がないので当たり前だが、尾行スキルも張り込み技術も無く、失敗ばかり繰り返し業務委託も依頼も回ってこなくなった色んな意味で不良探偵だ。
久しぶりに依頼が入った。
よくある不倫調査だ。それなりに気をつけてはいたのだが、どうも対象者の写真を取った時に
反社会勢力の方が映ったらしい。
そこからは説明不要だろう。
この様だ。
とりあえず、今日は帰ろう。
撮るものは撮ったのだから。
そうは言うもののカメラを一応確認する。
「大丈夫だ撮れてる。」
鍵がポケットに入ってる事を確認して、自分の車を停めた場所まで周りを気にしながら歩く。
「もう居ねえだろうな…?」
ビクビクしながら歩いて自分の車に乗り込もうとした時
「お、居た」
心臓が跳ね上がり、女の子さながらの短い悲鳴を上げながら腰を抜かした。
「スッ…すみません!ジツジツじっ実は私こう云う者でしてッ!」
ブルブル震える手をスーツの内ポケットに突っ込み名刺を出そうとしながら、上目遣いで声の方を見ると、見慣れた顔があった。
俺のバイト兼ボディガードで雇った後輩が立ってこっちを見てた。
「オッお前かよぉ〜!!」安堵でまた腰を抜かす。
それと同時に怒りが湧き上がる。
「どこ行ってたんだ!何の為に雇ったと思ってんだ!ボケ!」
俺のさっきの情け無い姿を思い出し、
少しニヤけながら片手を前に出して
「悪い。ありゃ無理だ」と軽く首を前に下げる。
コイツは謝り方も知らねぇのか。
そう思いながらも腕っぷしでは遥かに俺に勝るコイツに勝てないと思ったので鍵を渡して助手席に乗り込む。
「早く出せよ。」
名古屋の街を後にする。
名古屋から岐阜県方面に走り、国宝「犬山城」の城下町付近にある、ボロボロのアパートの一室兼事務所に戻り、調査報告書の制作にかかる。
タバコに火をつけてパソコンを開き、
ワードを駆使して報告書を作るのだが、
いかんせんコレも独学だ。
いまだに人差し指でキーボードを打ち込む事しか出来ない。
(こんなの指10本使える方がどうかしてる。)
タバコの煙が目を触り、痛みに悶絶してる姿を見て、偉そうな態度を取った後輩が鼻で笑う。
「何してんだよ。今日はアガリだよ!帰れ!」
冷蔵庫から勝手に俺のビールを取り出し、プルタブを開けて3口ほど流し込んで美味そうにため息をつく。
「探偵って仕事以外はBARにいるんじゃ無いの?」
アホみたいな返事に軽蔑の眼差しを向けながら言う。
「そんな金持ってるように見えるか?」
目線を下から上に這わせて俺を見た後に
「それもそうだな」
いつか絶対殴ってやる。コイツだけは。
そう堅く決意し、報告書の制作に取り掛かる23時52分。
季節は春。




