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揺らぎ、跳ねる

神の設定だけが増えてストーリーが全然進まない。どぼじで…

ほんと更新遅くてすいません…

 あれからしばらくは神の討伐の指令が来なかった。毎日訓練場に行ってナイフのコントロールを良くしたり、投げられる距離を伸ばしたり、たまに行われる対人模擬戦を見て、他のかみさまの殺し屋はどんな動きをしているのかを観察していた。

「はぁ〜……結構投擲も上手くなってきたかも」

 ベンチに腰掛け、一息つく。生きていた間からずっと訓練はしてきたが、やっていることが違うからか、なんだか前よりも疲れるのが早い気がする。

 私と同じくナイフを扱うかみさまの殺し屋の動きを訓練場で観察しているとやはり学びになることが多い。対人戦なら速さが命で、リーチが長い相手なら懐に潜り込むことが一番の手。神相手ならまずは小手調べで遠くから投げてみる。

 ……神は何をしてくるのか戦うまでわからないからって教えてもらったからね。

「おい、アン」

 色々と考えているとすぐ側にいつの間にかルベリアが立っていた。一体いつの間に……。

「あっ、ルベリア。どうしたの?というか、訓練場は出禁なんじゃ……」

「それ、誰から聞いたんだよ……。あと、あたしは模擬戦が禁止されてるだけで訓練場を使うのは禁止されてない」

「あ、そうなんだ……」

 訓練場自体は使えるけど模擬戦は禁止されているということらしい。なんともややこしいものだ。

 ……まぁ確かに、訓練場も使えないのは困るか。

「んで、誰に聞いたんだよ。ツバキか?」

「そうだよ。この前対人戦してるところを見たんだ」

 私がそう答えると、ルベリアがあぁ、なるほど、と言って言葉を続ける。

「アイツなぁ、強いよな。あたしとは違うもんが見えてる」

 ルベリアが懐かしさと尊敬が籠ったような目で言う。その様子がこの前ルベリアについて話していたツバキと似ていて、なんだかおかしくて、思わず笑みが零れた。

「おい、何笑ってんだよ」

「いや、ちょっと前のことを思い出して。ところで、ルベリアはどうして私に話しかけたの?」

「あぁ、お前が今まで相手した奴は雷と夢だけだろ。他の神ともやってみないといけないからな。さっき、そこそこの大きさの地震の神が出てきた。倒しに行くぞ」

 地震。大地が揺らぐあの感覚はあまり好きではない。一度経験したことがあるが、あの時はハリケーンとはまた違った恐ろしさを感じた。建物が軋み、あらゆる物が地によって揺らがされたあの感覚。

 母なる大地、と我々が呼ぶその大地が確かに我々を害そうとしているのだと感じるあれは恐ろしいものだった。

 ……どんな見た目なんだろ。

 やはり悪魔のような見た目をしているのだろうか。

「地震、か……」

「なんだ、嫌な思い出でもあるのか?」

「うーん、あるにはあるけど、私はそこまでの経験はしてないかも」

 東洋、というかツバキが居たであろう辺りの国ではハリケーンが来ない代わりに地震がよく起きると聞いたことがある。あちらの国ではそのための備えが国を挙げてされているらしい。恐ろしい威力の地震が来ると言われているあの国からすれば当然の備えなのかもしれない。

 ……うちの国でもハリケーンへの対策はよくしてたからなぁ。

「じゃあ何も問題ないな。あいつに恐怖を抱いてたら硬くなることに繋がる。何もないんなら十分戦える。ほら、行くぞ」

 ルベリアについて歩く。しばらく歩いていると大きな魚がぴちぴちと跳ねていた。その近くにも何匹か小さめの魚が跳ねている。

 ……大きなナマズ?

「こいつをぶっ叩く。飛び道具と魔法は効かない。ちゃんと反撃もしてくるから気をつけろよ」

 飛び道具が効かないということはつまり、今回私はほぼ何もできないということではないだろうか。それでも前の雷の神との戦いよりかはまだマシだろう。あれは誰かが援助に来るまでずっと逃げ回るしかできなかったのだし。

 ……まぁ、ナイフでなんとかすることはできるからね。うん。

「うーん……練習の成果の見せどころってやつ?」

「そういやナイフの練習してたな。あたしは頭(カシラ)をぶっ叩くからお前は一緒に打ち上げられた雑魚の処理を頼む」

 ルベリアはそう言って斧を担いで大きいナマズの方に駆けて行った。取り残された私は手近なナマズをナイフで刺してみた。


 ——ブスっ


 やっぱり神だから硬いのかな、と思っていたが思っていた以上に簡単に刺さった。手応えが全然ない。

 ……あれ?

 なんだか訓練場のデコイよりも柔らかいというか、刃が入りやすいというか。刺してはいるのだけど、そんな気がしない。

「ほんとにこれ、攻撃与えられてる……?」

 ナマズはまだぴちぴちしている。つまり生きているということだ。多分、殺せてない。

「何か特別なこととかしないといけないってこと……?」

 ひとくちに特別なこと、と言っても何も思いつかない。何かをしないといけないことは分かっているが、考え込むのもいけない。

 ……神の強化になるかもしれないから、あんまり深く考えちゃ駄目なんだよね。

 迂闊に考えられないなら、迂闊に動くしかないだろう。それくらいしか選択肢はないし、私には第三の選択肢を作り出すことは現状できない。

 ……そういえば、ルベリアは?

 こういうときはルベリアの戦い方を見てみよう。訳分かんないことしてて参考にならないときの方が大半だが。

 ナマズは相変わらずぴちぴちしている。そのひれが当たるとちょっと痛いだけで大したことはしてきていない。ちょっとなら目を離しても大丈夫だろう。


 ちら、とルベリアがどうしているかを見る。大きな体躯に見合ったひれを振り回して暴れるナマズをいなしながら、脇腹(魚に脇腹とかあるんだろうか)に攻撃を入れる。

「クソが……ハンマー持ってくりゃ良かったな……」

 悪態をつきながらもルベリアは攻撃の手を緩めない。さっき傷をつけたところを何度も狙っている。どうやら一箇所を集中して狙っているらしい。

 一箇所狙いに何か意図があるのかは分からない。私は私で、特に何か特殊なことをしてこないからと言って小さいナマズを放っておくべきじゃないだろう。

「放っておいたら何か起きるかもしれないから、私にこれを任せた可能性だってあるからね……」

 まず手近なナマズを捕まえてナイフを刺すのではなく真っ二つにする。ゴリッ、と何かが突っかかった気がした。

 骨だろうか、と一瞬思ったが、さっき貫けた時点で骨らしいものはないはずだ。じゃあこの感触は何だ、と思うより先にナマズが土になって落ちる。

「なんかよくわかんないけど、倒せた……」

 どしゃ、と落ちた土を見下ろして何だか釈然としない気持ちで私は呟いたのだった。

ハンマー持ってくるの忘れたのはただのうっかりです。ルベリアは普通の人間なので。普通の人間なので。そもそもアホみたいに昔からこの仕事やってる疑惑があるルベリアがこの神の性質知らないわけ無いじゃないですかやだー。

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