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【凍結中】シル・ストア~第1部 風の通り道  作者:
第2章 北の辺境民

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04_神殿の東屋に向かえ_前編

扉の向こうは高台の盆地だった。

陽は西に沈もうとしていて空は夕焼けに染まっている。

「夕焼けが見えると言うことはアナ・ハルナにいる訳じゃないね。」

ここがアナ・ハルナなら空は真っ赤に染まっている筈だ。

こんな優しい色ではない。

「とするとあの山々はバーンかな。」

遠くに見える山の頂、その手前にある山は今朝がた登ったラサ山か。

扉の先には神殿らしき建物群が見える。


ムードはフレイに周辺の偵察を頼むと2人の方に顔を向ける。

「今日はここまでにしてここの調査は明日にしよう。」

ムードの言葉に2人は頷き、野営の準備を始める。

神殿には入らず、扉から少し離れた空き地にテントを張ろうとして振り返り・・・

「あっ!」

ジーンの言葉に2人も振り返る。

「扉、消えたね・・・」

「ああ、扉の前を離れるまではあったよな。」

よくよく思い出すと何もない草原にポツンと石か金属か?光沢を帯びた素材の分からない扉だけが存在していた。

その扉が消えた今、ありきたりの草原となりここに扉があったと言われても信じられないだろう。

扉のあった場所に3人は移動して状況を確認する。

「ここら辺、何かの力の痕跡はあるね。」

「そうだな。足跡は俺達の分だけ。扉の痕跡は無い。」

足元の草原は足首位の背丈で茂っている。

そんな場所で扉が開けばなぎ倒された痕跡がありそうなのだが、それが無い。

「落ちた感じはしなかったな。」

「うん、扉が閉じた気配も無かった。」

あの扉は物理的な存在ではなかった様だ。


「これであの扉から元に戻るということは出来なくなった訳だ。」

「そうだね、今回の調査は一旦ここまでにして戻る?」

「そうだな。この場所を確定して報告した方が良いかもしれん。」

見える景色からしてハーレン大陸の北、海に面した山々のどこかなのだろう。

ラサ山より低い2,000m級の山々。

この山脈のせいで北にはまともな港が無い。

唯一、港のある法王国も今は凶暴化したモンスター達のお陰で沿岸で細々と漁をする位だ。

ここでの方針を考えながらも野営準備をレノンとジーンは始めた。

ムードは神殿のあちこちに測定器を設定していく。

それらの準備を終え、食事の支度をする。

そうこうする内にフレイが戻ってきた。

ムードの腕に止まり何か話しかけている。

「うーーん、鸚鵡なら直接会話が出来るのに。」

「鸚鵡?そう言えばリソーナでは賢いのが居てそいつらは喋るって聞いたな。」

ジーンの独り言にリノンが答える。

2人共念話をマスターしているのでフレイと会話しようと思えば出来る。

が・・・フレイは基本育ての親であるムードにしか話しかけない。

卵の頃からの付き合いという意味では2人も同じなのだが・・・

というよりも1年程ムードはデ・カサルに行っていたので実際に面倒を見ていたのは2人の方である。

話が終わるとフレイはちょんちょんと飛び跳ねて止まり木に移る。

そして用意されていた水を飲み始めた。


「兄さん、何か分かった?」

「ああ、フレイが言うにはここは湖を挟んだトーラの反対側の山の中で少し奥まった場所らしい。」

「計測してある程度位置を特定できるかな?」

「そうだな。ともあれ明日だ。明日に備えて早めに寝よう。」


翌日、前日に設置していた計測器の情報を集めて山の位置やら各地にある電波塔からの着信である程度の位置を特定すると神殿の調査を開始した。

「うーーん、この様式、アナ・ハルナでも相当古いね。」

「レノン、どれ位か、予測が付くか?」

「多分だけど最初期、3000年位前の様式だと思う。」

「・・・ちょっと待て!アナ・ハルナ建国前か!」

3人は顔を見合わせる。

そしてジーンが口を開く。

「太陽や月の民がエマルドに渡ったのは2900年前から2800年前だから・・・」

「なるほど、太陽や月の民の神殿ならそれ位前でないと逆におかしいか。」

「エマルド最古の王朝って確かアナ・ハルナの建国と同じ頃だら2600年程前で・・・」

「でもハルナの最古の神殿と言うか舞台は4000年以上前で・・・」

「始まりの二柱の舞台か。あれは計測年代不詳だったよね。」

3人の言葉推測交じりで続く。

「いかん・・・俺達は専門家じゃない。他も調べよう。」

ムードの言葉に我に返った3人は、記録用に写真を幾つか収めると他を確認しにその場を離れた。


周辺の建物を見て回る。

「ここ、死んでないね・・・」

「ああ、現役だな。」

「年に一度、あるいは数年に一度は使われ続けているね。」

建物の様式は古い・・・が中に比較的新しいもののある。

そしてところどころに修復された跡があり、埃もあまり溜まっていない。

何より神殿の柱は強い力を放っている。

民が祈りを捧げ続けていなければこうはならない。

「古城の見た夢のモデルの城を思い出すね。」

「そうだな。あそこも主が去った後もずっと周辺の住人達が守り祈りを捧げているからな。」


閲覧、有難うございます。

モロゾフは第2部で登場します。


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