その頃
オズワルド城でグランドの裏稼業が暴かれ、近衛隊の施設にグランドが連行されようと馬車に積み込まれていた頃、グラフィットはアラエル達と紅茶を飲みどうでもいいような話で談笑していたが、せっかく話が本題に入り、これからクライマックスを迎えようと、声のトーンを上げようとしたその時、無駄に重厚なドアが「トントン」とノックされ無惨にも邪魔が入った。
「何だよせっかく、女についてを話そうとしてたのに」
ドアを睨み、「開いてるぞ!」とイライラたっぷりにドアのそのにいる人物に聞こえるように返事をするとすぐにドアが開き、近衛隊を纏める近衛隊長の長身で細身のアルティーニがグラフィットのイライラを感じ取ったのか目線を合わせないようにして、入ってきた。
「せっかくこの俺がアラエルのために貴重な時間を割き、この世界を生きる知恵を与えてたのに、アルティーニ、なんで邪魔をするんだ?」
いつの間にかグラフィットはアルティーニの前に立ち、アルティーニの左肩を叩きながら問いかける。
「陛下、陛下のお楽しみを邪魔した事、お詫びします。申し訳ありません」
「で」
「で?」
「詫びの品は?」
「先ほど奴隷商が我々に接触してきましたーー」
奴隷商、グラフィットはその言葉を聞いてすぐ目の色が変わり、アルティーニに迫る。
「可愛かったか?」
「美人ではありました、ただしーー」
「ただし」
「その者はメイド部隊に所属する者だと申しておりました、私の目に狂いがなければ、実際にこの城で働いていて、グラフィット様が囲まれている女性の1人にそっくりでした」
街でもその名前の女性を連れた奴隷商に
「返品してきたか?」
「……その前に奥様に見つかり……」
少し間を置いたあと、苦しそうに吐き出したアルティーニの一言はグラフィットを地の底へ落とすには十分すぎる威力を持っていた。グラフィットは全てを失った男のようにアルティーニの服を引き摺りながら崩れ落ちる
「やめろ! その先は言うな。……シシリーは何と言っていた?」
まだ、完全に死んだと決まったわけではない。グラフィットは僅かな望みにかけ、問いかける。
「わかりません。聞いても答えてもらえませんでした。」
「まだお前の趣味は絶えてなかったのか、奥様が可哀想だ。」
「世継ぎも仕事だと言い張ったのは誰だ?」
そう、世継ぎも王様の仕事だとグラフィットに教えたのはセバスである。グラフィットに問い詰められたセバスは「子種をばら撒けとは一言も申しておりません。本当に愛したい人を見つけることが、王族の務めです」と責任逃れと言うか何と言うか曖昧な事を言った。
「不倫しろという意味で言ったわけではない」
話が切れるのを待っていたアルティーニはここぞとばかりに思い口を開いた。
「それと、奥様より伝言です」
「………俺はもう、諦めたよ、この王冠は別の人物に譲るよ、……疲れたよ」
「夕食の前に時間を割いて欲しいとのことです」
グラフィットの迫真の演技も効果なく、受け流された。
「わかった離婚しよう」
「……王族が離婚ですか? いい恥晒しですね陛下」
「陛下と呼ぶな」
「ここは、素直を謝るべきだと思いますが」
セバスに加え、アルティーニにまでもが奥様を援護するような形となり、まだ1人態度を決めかねているアラエルにグラフィットは抱きつく。
「助けてくれ! 助けてくれたらこの王冠を譲る。これさえあれば何でもできる! どうだ、王様、やってみないか?」
「アラエル様騙されてはなりません」
「そ、そうだね、部外者は口を挟まない方がいいかな……」
「俺は少し旅に出る、探さないでくれ」
「そんな事を言い出すと思い、すでに奥様を呼んでおります」
アルティーニの驚愕の一言にグラフィットの心がはち切れそうになる。アルティーニがドアを開けるとそこには、逆光でよく見えないが、グラフィットの妻が不適な笑みを浮かべ、手を振っていた。
「グラフィット、全て、アルティーニから聞いたわよ、少しお散歩なさらない?」
誰もノーとは言えなかった。
奥様はグラフィックの手首をガシッと掴むとそのまま外に連れ出した。
彼がその後どうなったか知る由はない。
ただ一つ、わかるのはグラフィットの顔面が腫れ上がっていた事のみである。
適当な時間が経ち、戻ってきたらグラフィットは心身ともに浄化され、今後1週間程度は女遊びは控えると、妻に頭を下げた。だが当然許してくれるはずもなく、グラフィットの取り巻きたちは解散となり、行き場を失った彼女たちはメイド部隊が立派な戦士に育てる事となった。
さて、彼女達だが、さっそく今日の午後から立派な戦士になる為の訓練が開始されるとお茶入れにきたメイド長がぽろっと漏らしてした。
「乳を揺らすだけの女などメイド部隊には要りません。メイド部隊に必要なのか忍耐と口の硬さだけです。主人が何をしようと決して口には出さない! 主人がお楽しみの時はイヤらしく「お楽しみでしたね」と聞く勇気が肝心です。」
とメイド部隊の訓練室から声が漏れていた。
「貴女達は乳牛ですか?」
「違います!」
「貴女達は身を綺麗に保ちなさい。決して主人と関係を持とうと考えてはなりません」
「はい‼︎」
「主人に手を出していいのは奥様のみです」
「はい!」
2日目を過ぎると誰もこの事を口にする者はいなくなった。
翌日からはグラフィットの更生訓練も開始されることとなった。
その内容は至って簡単。訓練された適当なメイド部隊員を連れて来てグラフィットの前に立たせ、グラフィットにこう言わせる「私はおっぱいやお尻には興味はありません」とそれを1週間昼夜問わず行い、グラフィットの更生を促すと言う過酷なものである。
1週間耐えきれればStep2少しばかりエロい格好をした女を連れてきたグラフィット面会させ、我慢させる。もし、少しでも欲情したら、鞭打ちを喰らう。と言う恐ろしいものである。
これをクリアできたらStep3奥様と同じベットで寝てもらう。ここで奥様に襲い掛かろうとしても襲い掛からなくても更生は終了である。
これの目的はグラフィットの性癖の対象を他の女から奥様に戻すことにある。奥様であれば何処からも文句は出ることはない。たとえ奥様を襲わなくとも被害が止まるので問題はない。




