由宇へのラブレター
全員部活に参加が義務付けられた学校の部活動に馴染めない4人が繰り広げる部活動。
今日の部室には司が居ない為、部活が始まらない。
由宇が二人に見せつけるように学生鞄をひっくり返し、ラブレターらしき手紙を机の上に広げた。
その行為に自主勉強をしていた晶と鶴が手を止める。
「俺にもついに春が来たらしい。」
「…今は春…」
「凄いですね、栗戸さん。こんなにラブレターをもらうなんて。」
「そうだろう。そうだろう。俺は常々司ばかりもらうのはおかしいと思っていたのだよ!」
「…どうするの?…」
「数が数だからな。読むのを手伝ってくれ。」
「そんな事をしては駄目です!」
「…死ねば良い…」
「黒井さん。もっと見下ろす角度から、もう一度プリーズ!アゲイン!モアモアプリーズ!」
「…読む…」
晶は頑なに読む事を拒んだが、鶴が淡々と読んでいく。
由宇は腕を組んで鼻高々だ。
自分で読む気があるのか?
「声に出して読んでも良いのだよ?黒井さん。」
「…武道場にて待つが3通…」
「ん?裏って事かな?」
「…弓道場の的で待って居てもある…」
「ん?的の裏って事かな?」
「…野球部のバックネットで待つ…」
「ん?ネット裏だよな?」
「…野外倉庫で待つが2通…」
「おお。なんか萌えてきそうなシチュだな!」
「…体育館倉庫も2通ある…」
「ほうほう。危ない香りマキシマムだな!」
「…武道場にて、百人組手が空手部、一人乱取り稽古が柔道部、竹刀百叩きが剣道部…」
「ん?」
「…的にして男子部員で射るが弓道部…」
「んん?」
「…距離5メートルの千本ノックが野球部…」
「んんん?」
「…試合用スパイクで踏みつけるが、陸上部とサッカー部…」
「…………」
「…動けなくなるまでしばくけど明日の朝までマットで泊っていけがバスケ部とバレー部…」
「マジですか?」
「…全部行くの?…」
一度、鶴から手紙を返してもらい全てに目を通す由宇。
鶴の言っている事は、大分簡略化されているが本質はついている。
「いやー。俺も司を見習って、下駄箱やロッカー、机の中や鞄に入れたラブレターは捨てる事にするよ。いやぁもてる男はつらいなぁ。」
「…由宇は一度、死ねば良い…」
「人間一度しか死ねないよな?」
「そうですよ!死んでは駄目です。黒井さん、皆さん何を怒っているのですか?」
「…全部、由宇の二股に怒っている…」
「うーむ。二股も何も、生涯一度として女性と付き合った事が無いのだが……」
「…本気?…」
「この前俺……理想のショートボブに逢ったんだ……全てが幻だったよ……」
「セーラー服は着ませんからね!!」
「晶、メイド服でも良いのだよ?」
「…変態…」
「メイド服も着ません!!」
「俺が理想の女性はまだ居る!!黒井さんお願いします!絶対似合うと思うので!!」
「…わたしが似合うの?…」
「是非、ヴィクトリアンメイド服で勿論黒のロングでお願いします。着ていただけるのでしたら、お年玉を全て使ってでも用意させていただきます。」
土下座をして何度も頭で床を叩きながら鶴に頼み込む由宇。
「…考えておく。ちょっと楽しみ…」
「ありがとうございます。ありがとうございます。大事な事なのでもう一度ありがとうございます。必ず用意させていただきます。その時は是非髪を王女編みで結いあげて下さい!」
次回更新で鶴はメイド服を着るのか?そして司はどこに消えたのか?
賢明な読者様方には思わせぶりな次回予告に意味は無い事がそろそろばれている頃だろう。




