気になる召喚士ギルド
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「まあ、クランの件は楽しみにしておくよ。……あんまり睨まれる様な事をしないでほしいとも思うけどね」
「エタニアス伯爵家の事だろう? いやまあ、もう今更感はあるとは思うんだよな。商業ギルドでも少し聞いたが、影響力は限定的だって言う話だし」
そう。商業ギルドであの店員から聞いた事である。現在の地位の序列は、クレドンナ伯爵家、ザガット伯爵家、エタニアス伯爵家の順番らしいのだ。亜人排斥の動きはあるが、規模が小さい。エタニアス伯爵家の影響力が大きくならない限りは大丈夫だと踏んだんだ。まあ、当たり前のように、商業ギルドを抑えているクレドンナ伯爵家が一番強いのは、解っていたことではあるし。
当たり前だよなあ。影響力が大きいのであれば、当然のように商業ギルドを抑えるはず。次に冒険者ギルドを抑えるだろう。俺ならそうする。影響力が馬鹿にならないからだな。商業ギルドを抑えておけば、金の流れは操作できる。召喚士ギルドを抑えておけば、強力な召喚獣が出た時にも影響力が増す。かつ、錬金術師を抑える事にも繋がる。主要なギルドを抑えられては、エタニアス伯爵家も強くは出れまい。兵士に反亜人の人材を潜り込ませるのが精一杯なんだろうとは思う。
そんな訳で、エタニアス伯爵家の影響力は限定的であると言う見方をしている。もしも、影響力を増してきたのであれば、この拠点を放棄すれば良いだけの話だ。……星見の塔は、別の場所にもあるんだ。そこを抑えれば良いだけの話。偶々ここが一番初めだったから抑えて貰ったが、移動問題さえ片付けば、後はどうにでもなる問題でもある。
「そうなんだけどね。それでも影響力がない訳ではないしさ。問題は大きくしない方が良いとは思うからね。出来れば、そんな程度の低い事に巻き込まれても仕方がないでしょう? 僕は冒険者には自由にして欲しいんだよね。クランを作ることも自由だけど、貴族との揉め事は、出来る限り避けて欲しいって思っているのも事実だよ」
「そういう時は、ザガット伯爵家に頼れば良いだろう? 星見の塔を抑えさせた利権があるんだし」
「まあ、クレドンナ伯爵家はしてやられたって思うだろうしね。交渉で渡すかどうかが決まるとは思うけど。そこにエタニアス伯爵家は関われないし、影響力を削ぐ方向で考えていけば良いのは確かなんだけどさ」
「まあ、出来るだけ穏便には過ごすさ。……ただ、召喚士ギルドが少々気になるが」
「というと?」
「クレドンナ伯爵家は傍観しているのか、無理だと思っているのか知らないが、召喚士ギルドが乗っ取られようとしているんじゃないか? 支部長が貴族の令嬢だと言う事だから、無理だと考えているのかもしれないが、組織は支部長だけでは務まらん」
「ああー。まあ無理だとは思うけどね。その辺はちゃんと考えているとは思うよ」
「……だと良いんだけどな」
不安は残る。構成員が色々とやらかしているのを知っているだけに、何とかならないかとは思うんだよな。……今後の事も考えて、用意しておかないといけないものもあるかもしれない。早めに星見の塔でもう1体くらいは呼んでおきたい所ではあるんだけどな。
出来れば前衛を。無理なら後衛でも良いんだが、強い召喚獣でありつつ、町で使っても影響の無い召喚獣というと、ある程度候補が絞られてくるのはそうなんだがな。該当する召喚獣は居るので、それを狙いたい所ではある。……間に合うかどうかは解らないが。
「不安要素がない訳じゃないけど、そう簡単にはひっくり返せないよ。……アウスラリアさんには、迷惑をかけるかもしれないけどね」
「まあ、もうある程度慣れましたので」
「慣れても良いものでは無いんだがな……」
「あはは……。ある程度はこっちでも面倒を見るから、何かあったら言ってよね? 微力ながら力にはなるよ」
「お願いします」
「頼んだ。……クランの件もあるしな」
ギルマスの助けがあるのであれば、まだマシか。こっちで全面的に対処をしないといけないってなると、面倒ではあったんだけど。面倒ごとは少ないに限るからな。……ちょっと派手に動いて釣りだすか? 対処するにしても、遅いと面倒な事になるだろうし。
そうなってくると、結局手札が足りないんだよなあ。新しい召喚獣を手に入れておくべきだろう。となれば、また商業ギルドにいかないといけないし、銀の補充もしておくべきだな。……品質に関しては、無理やりにでも上げないといけない。手持ち設備はあるから、それを使うとしてもだな。最高のものを作りたければ、それなりに設備投資をしないといけないし。……流石にそんな最高級品をマジックバッグに仕舞ってあるわけでもないんだ。何処かで入手しないといけないだろう。
そんな訳で、買い取りが終わったので、お金を回収して宿へ。……明日に備えて、やるべきことはやっておかないといけないな。ミスリルを作っておかないといけない。それでもまだ、手に入れないといけないものがあるんだけど、売っているのかどうかだな。商業ギルドに当たってみるしかないとは思うが。
素材は適当に使う。採取してきた素材を使ってミスリルを作る。……問題は魔力の質が低い事だが、これは錬金術で解決していく。非常に、素材を勿体ない事に使用するが、致し方ない。作るものの質で、召喚獣の強さが変わってくる事は確定している。供物は素材でなければならない訳ではない。錬金術で作ったものも、供物となり得る。寧ろこっちが本体と言っても過言ではない。だから、錬金術師は絶対に必要になってくるんだよな。……そんな事も知らないで、召喚士ギルドは錬金術師を囲っているんだから、お笑いも良い所ではあるんだけど。供物を作り出すには、色々なクラスが必要になるものもある。が、代用しようと思えば、錬金術師が出来てしまう。
そんなものを作れる錬金術師だからこそ、ソロ向きだと言われる所以だな。まあ、本職が作ったものよりは、1段階劣るとは言われているだけど、それは最適化が出来たらの話。最適化が出来ないのであれば、錬金術師が作っても似たようなものだからな。理論を学ばないと無理なんだよなあ。理論を教えてくれる人がいればいいんだろうが、俺よりも知っている人を探す方が難しい。
そんな事はどうでもいいが、錬金陣を用意する。簡易なものは必要ないが、ある程度の物を作るとなると、これが絶対に必要になってくる。特にミスリルなんて絶対に欲しい。……本当は拠点でやりたいんだけどな。そこになら、ゲーム時代の最適な環境があるんだし。まだまだ真理には辿り着いていなかったけど、それでも最高級品だと自負している。そんな設備が使えない事は、今は不幸でしかない。
さて、まずは魔力の質を上げていかないといけない。魔力の質を上げるには、大量の魔力が必要だ。素材を大量に錬金陣の上に乗せる。それを魔力操作でどんどんと圧縮していく。……今回は属性結晶を作っている余裕はない。純粋な魔力だけを取り出し、属性を排除していく。……ミスリルを作る時は、属性の無い魔力を使う方が品質が良くなる。属性を後で付ける方が良いんだよな。なんでなのかは知らないけど。その辺が解ってくると、理論的な話が出来るようになるんだろうがなあ。
大量にあった素材が一瞬にしてなくなっていく。全てはミスリルを作るために。魔力は量ではない。質が重要なんだ。……理論が足りないというか、未熟なせいで、圧縮できる幅に限界があるのは仕方がない。とにかく圧縮していく。これ、放射線が出てくるんだよな。魔法で防いでいるが、近くにいる人は、ごめん。ちょっと被曝してしまう。まあ、健康に影響がない程度しか出ていかないから許して欲しい。本当は放射線を無力化できるように錬金術が出来れば良いんだろうけど、まだ研究段階だからなあ。




