ギルマスとお話
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そんな訳で、空間属性の素材を受け取りつつ、商業ギルドを後にした。今日は特にやらないといけない事は無いし、宿屋でゆっくりとさせてもらう方が良いだろうな。……アウスラリアには後日話をしよう。特段相談はしていないが、かといって相談をしても、選択肢が無かった。俺としては、クレドンナ伯爵家が取り込みに来ないのが不思議ではあったけど、冒険者はザガット伯爵家と相場が決まっているんだろう。あまり領分を犯すと面倒な事になるって事でもあるんだろうなとは思う。
次に時間が出来たら、クランハウスを見に行こう。次の休みになったら、色々と確認したいこともあるし、なんだかんだと必要なものもあるかもしれない。また散財をすることになるんだろうが、資金は潤沢にある。……パーティーの共有資金だと思っているんだけど、アウスラリアがどうやって認識しているのかだな。自分のお金でもあるという事は解っているとは思うが。まあ、半分はアウスラリアに渡しているんだから、とやかく言うのも違うとは思うけど。財布を一緒にすると、面倒な事が起きるかもしれないし、出来れば分けておいた方が無難だしな。
「随分とこの短期間で上達したな。魔法もそれなりに使えているし、個人で戦っても十分なほどだろう。……これからパーティーメンバーを募集していかないといけないから、連携が取れる様になっておかないといけないけど、アウスラリアの召喚獣は十分に連携を取れている。ここに組み込むだけなら簡単で済みそうだ」
「とは言いますが、連携といっても、まだまだ声に出さないといけませんからね。阿吽の呼吸で合わせることはまだまだ出来ません。それくらいの事が出来ないと、他の人との連携が難しいのではないかとは思います。……グラーデンは簡単に合わせてくれるので楽ですけど」
「まあ、ソロの期間が長いというか、メインはソロだったからな。ソロだけで集まる時にも、暗黙の了解みたいなのがあるんだ。基本的な間合いに踏み込まないだとか、射線は常に開けていないといけないとかな。当たり前の事ではあるが、ソロだと関係ないと言わんばかりにやってくる奴も居るからなあ。そんなのとは組めない。組むためにも、最低限の知識は必要だしな」
ソロばかりの活動ではあるが、野良でパーティーを組むこともある。その時は、ある程度の遠慮というか、立ち回りに気を付けないといけない事が殆どだ。自由に動き過ぎたら、味方の動きを妨害してしまうなんてことはよくある事で。そういうのも経験してきているからな。単純に慣れているというのもある。……それに、別にこのゲームだけをやり込んでいた訳でもない。他のゲームだってやったことはあるんだ。その時の経験を生かしているというのもある。ゾンビサバイバルの経験とかはよく活きているとは思うぞ。あれは協力が必須のゲームだし。
そんな訳で、今日も大量に魔物を倒している訳ではあるんだが、それでもまだまだ魔物は沢山居る。狩り過ぎても居なくならないのは良いよな。どういうメカニズムで出てきているのかの研究もしてみたい所ではあるんだけど、そんな時間はまだない。ある程度は自分で冒険をしながら探っていくしかないとは思うが。
難しい事も考えるけど、今はそれどころではない。まずはパーティーを組まないといけないからな。準備をしておかないといけない。ある程度の実力者でないといけないなんてことはない。逆の方がパーティーには誘いやすいんだ。レベルが足りなければ、上げればいい。そんな感じである。
特に何事もなく、冒険者ギルドまでやってきたが、また大量の納品をしたせいで、色々と驚かれたが、ギルマスが呼んでいるという事で、そっちは置いておいて会う事になった。……特に何もしていないとは思うんだがな。目立ったことはしていないはず。まあ、納品分が多いのはまあ、良いとしてもだ。何か特殊な依頼でも出たのか? それならまあ、納得は出来るが。
「やあ、待っていたよ。とりあえず、座ってくれるかな?」
「はい。失礼します」
「何か急ぎの案件でもあったのか? 呼び出すって事は、何かしらあるんじゃないかと思ったんだが?」
「うーん。別にそういう訳でもないんだけどね。特別な依頼が舞い込んできた訳でもないし、急ぎの仕事が入っている訳でもないよ。……でも、話しておいた方が良いんじゃないかなって事はあるんだよね。星見の塔での召喚の話だよ。こっちでも何回か試したり、実験をしてみたけど、強力な召喚獣が出てくるってのは、解った事だしね。1日に何度も出来ないのかとか、別の人なら大丈夫なんじゃないかとか、色々と試してはいたんだよ。時間の制限なんかも実験してみたりね。考えることが多くあって、苦戦はしたけど」
「ああ、星見の塔の実験か。まあ、そうだろうな。独自である程度は研究しないといけないのは確かだろうし。アウスラリアの召喚獣も欲しいと思っていたけど、冒険者ギルドが暫く動くだろうからと、遠慮していたが、やっぱり研究はしていたか」
「そうだね。君の事を疑っている訳ではないけど、確証が欲しかったのはそうだし。まあ、概ね正しかったとは思うよ。時間にしても、ある程度の制限にしてもね。……それに、強力な召喚獣が出るというのも解ったし、冒険者ギルドの職員で、召喚士を育てるのにも良いかなって思っている所だよ。召喚士ギルドとは、ちょっと関係が難しくなるだろうけど」
「その辺りは仕方がないだろう。そもそも冒険者ギルドと召喚士ギルドでは、裏にいる貴族も違うんだ。どうしても拗れる事にはなるだろう?」
「ですが、クレドンナ伯爵家はそこまで強くは言って来ないのではないですか? エレナールさんもそこまで強硬派という訳では無いでしょうし」
「まあ、今の支部長なら、そこまで問題にはならないかもね。……秘密は探られるとは思うし、星見の塔の事もバレるとは思うけどね。召喚士ギルドだって、召喚獣をより強力なものを揃えたいだろうし。簡単にとは言わないまでも、こっちの秘密には辿り着くとは思うな」
それはそうだろうな。冒険者ギルドで、召喚士が活動し始めたら、召喚士ギルドとしても黙ってみていることは無いだろうし。召喚獣の出所を聞かれるのは当然の事だろう。必ずしも秘匿しないといけないという訳でもないんだがな。条件なんかを詳しく話をしなければ、辿り着くのは難しいとは思うが。昼間では駄目だし、何もなしでも駄目なんだ。供物は必要である。そうじゃなければ、召喚獣を呼び寄せる魔法陣と代わりが無いのは確かなんだし。
ただ、こういうことを言って来るという事は、相当な召喚獣を引き当てたんだろうとは思う。何を引き当てたのかは聞かない。こういうのは手札として握っておく方が良いんだよ。俺たちにも秘密にしておかないと、何処から情報が漏れるか解らないしな。……その内、活動報告が出てくるんだろうし、召喚士ギルドにはバレるだろうが。どれだけ強い召喚獣を引けるのかが、一番のネックになってくるからなあ。ガチャと同じだ。こういうのは運が必要になってくる。どうしても欲しい召喚獣がいれば、試行回数を重ねるしかない。
まあ、そもそも属性の結晶で呼んでいるんだろうから、ぶっ壊れている存在は出ていないとは思うが。ある程度のレベル帯までしか出てこないはず。最上位の奴らは、特定のものが必要だったりすることが多いらしいし、それらを用意するのは容易ではない。……問題は、俺も知らない召喚獣が山の様に居るという事なんだけどな。そもそもゲームでは、レベル250までの召喚獣しか出なかった。現実では、それが撤廃されていることも考えられる。
知らない召喚獣が出てくるなんてことは、まあ、普通にあるだろう。その時に、どういう対応をすれば良いのかは、よく解らない。けど、狙うならって召喚獣は解っているし、それを目指していくことも良いとは思うんだよな。




