第0話 異次元観測実験
記念すべき初投稿!
現在では神話の時代とされている科学が発展した超科学文明の最盛期。当時のアスナリアには魔法というものが存在していなかった。
科学者たちは、研究の末に次元の障壁と思われるものを発見した。これは超次元理論の中で、次元を隔てて下位の次元の存在が上位の次元に干渉できないようにしていると考えられているものだ。今までは上位次元に干渉するなどということは机上の空論でしかなかったが、この時に一気に現実味を帯びてきたのである。しかし、いくらこの障壁の奥を観測しようとしても、全く観測できないでいた。
次元の障壁の発見から約100年が経とうとした時、ある実験が行われようとしていた。次元の障壁に小さな穴を開けそこから観測しようというのだ。次元の障壁の向こう側がどうなっているのかは全く分かっていない。せいぜいが障壁の向こう側は第12次元(魔の領域)ではないかという推論が立てられているくらいだ。勿論、この論に確たる根拠はない。今までは、あまりにも危険過ぎるとしてこの実験は見送られてきたが、一向に変化しない現状にしびれを切らした一部の科学者たちが強硬的に推し進めたのだ。
全てが順調に経過していた。装置が障壁に影響を及ぼし破壊可能であるという確認もとれ、ついにその時がきた。
破砕音はなかった。あったのは機械の静かな稼働音だけ。一瞬の静寂の後科学者たちは一斉に立ち上がり実験の成功を喜び合った。すでに探査計画のプランを立て始めている者、今夜の祝杯の予定を立てている者、ただただ感激し涙を流し続ける者。やっていることはそれぞれ全く異なることだったが、全員が実験の完璧な成功を確信していた。
しかし、勝利の余韻は長くは続かなかった。突然、研究施設にあったあらゆる機械が異常を示したのだ。観測装置のメーターは振り切れ、照明は明滅を繰り返し、レーザーがあらぬ方向へ照射されている。科学者たちはパニックに陥ったがやがてそれに気付いた1人の科学者が震えた声で言った。
「穴が、じ、次元の障壁の穴が、広がっている•••」




