表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/310

懲りない二人

 戦いの爪跡残る、ロームルス学園の校庭。

 着々と進む復興の様子を、ラヴレス副学長とハインリヒは、静かに眺めていた。


「ラヴレス副学長……」


「どうしましたか?」


「私は……悔しいですよ……」


 グッとこぶしを握りしめるハインリヒ。下を向き、肩を震わせ、表情はもの凄く悔しそうだ。


「今回の戦い、活躍したのは下級クラスの連中です……」


「確かにその通りですね」


「私達はなにも出来なかった……それを思うと、悔しくて……!」


「気持ちは分かりますよ、私も悔しく思って……うぅっ」


 話の途中にもかかわらず、ラヴレス副学長はその場から飛びのいてしまう。そしてどういうわけか、じりじりとハインリヒから距離をとる。

 よく見ると両手で鼻を押さえ、もの凄く苦しそうだ。


「……まだ私は臭いですか……?」


「いえ……まあ……そうですね……かなり臭いですよ……」


 先日の戦いで、悪魔の兵器“超激臭、魔物避け爆弾”の直撃を受けてしまったハインリヒ。

 なんと戦いから二日経った現在も、全身から激臭をまき散らしているのである。


「悔しいです……凄く……」


「ええ……そうですね……」


 悔しさのあまり目に涙を浮かべるハインリヒと、臭さのあまり目に涙を浮かべるラヴレス副学長。

 いたたまれない空気の中、ラヴレス副学長は「コホンッ」と咳払いをして、無理やり話題を切り替える。


「しかし、私は諦めてはいませんよ。我々ロームルス学園の力こそ、なによりも優れていると、いつか必ず証明して見せます」


「……副学長!」


 ラヴレス副学長の力強い言葉に、ハインリヒも表情を明るくさせる。


「今回は失態をさらしました。しかし今回の反省を活かして、次こそ我々の力を──」


「あっ……副学長……」


「ん? ハインリヒ、どうかしましたか?」


「……ラヴレス副学長……ハインリヒ……ずいぶんと楽しそうですな?」


 背後からの声に、ギクリッと肩を震わせるラヴレス副学長。

 ゆっくり後ろを振り向くと、ニコニコと微笑む一人の老人が立っている。


「ノ……ノイマン学長……」


「爺様……」


「二人とも……あれだけの失態を晒しておいて……まだ懲りていないのですかな?」


 ゴゴゴッと音を立てながら、ノイマン学長は二人へにじり寄っていく。

 顔こそ笑ってはいるものの、明らかに怒っている気配だ。


「待ってください爺様! 誤解です、勘違いです!」


「今のは言葉のあやですよ、決してよからぬことを考えているわけでは──」


「言いわけ無用! どうやら二人とも、教育の必要がありそうですな。こうなったら、徹底的に再教育してやりますかな」


「「ひいぃっ!?」」


 こうして、ロームルス学園の校庭に、懲りない二人の哀れな叫びがこだまするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ