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1 独裁者の子供に生まれ変わりました 1

「終わってんな」

 平原ひらはらノボルは自分の家と生まれた国を諦めた。

 なにせ、独裁者の子供。

 海に面した砂漠の小さな国の。

 未来に希望なんざありゃしない。



 そんな所に生まれてきた。

 地球の日本で散々な人生を終えて。

 次に生まれてきたのがここだった。

 科学文明だけは地球の現代水準の、なぜか東洋人な見た目と名前の国へと。



 なのだが、色々と終わってた。

 独裁者一家なので生活に困る事は無い。

 赤道直下よりやや北に外れた場所なのに、家の中はクーラーが効き過ぎて寒いくらい。

 家の外に出なくても、必要なものは向こうから運び込まれる贅沢な立場。

 食べるものも空輸や海運で先進国から運び砲台。

 お出かけで使うのは庶民には絶対買えない高級車。

 ガソリンだって使い放題。



 しかしだ。

 これ、全て民衆からの収奪で成り立っている。

 恐ろしいことに、それでも前世である日本の一般人と大して変わらない生活水準なのだ。



 もちろん民衆だってこんなの黙っていられない。

 そんな民衆を制圧するために武装警察隊が存在し。

 軍隊も専ら隣国との戦いでは無く、国内の改革派潰しの為に戦っている。



 政府内には賄賂が横行。

 法律は現場の役人への付け届けで左右される。

 当然ながら重要な地位は独裁者一族が牛耳っている。

 あるいは、必要のない役職を作り出して就任。

 机に座ってるだけで給料が振り込まれる。

 はんこを押すことすら無い。



 だが、座ってるならまだいい方だ。

 ほぼ全ての人間は金だけもらってほっつき歩いてる。

 用意された席に座ってる者も、クーラー目当てで涼みに来てるだけだが。



 そんな独裁者と政府の下で、国民は疲弊し疲れ切っている。

 税率100%な共産主義国家である。

 全員が等しく労働者。

 苦しみながら働くか、労働を拒否して捕まるか。



 捕まったとて牢屋でのんびりなどしていられない。

 そんな事、この国では最高の贅沢だ。

 衣食住が保証されているのだから。

 捉えられた者は地獄の奴隷労働が待っている。

 数少ない外貨獲得手段のために、死ぬまで働かされる。



 しかも資源など何もない。

 国土のほとんどは砂漠。

 海岸まで砂まみれだ。

 産業らしい産業は漁業しかない。

 それとて、かろうじて国民の腹を満たすだけ。

 1人あたりのGDPやらGNIやらは1000ドルにもならない。

 いわゆる最貧国に分類される。



「どうしろってんだよ」

 嘆きたくなるのも当然だ。

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