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[完結]【猟奇的サイコスリラー】イミテーション  作者: てっぺーさま
第五章 破滅へのカウントダウン

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59/98

妨害

【悪魔も聖書を引用できる——】


衝撃のラスト!

あなたはきっと騙される!!

 夕方過ぎのスターバックスの店内は、スーツを着たサラリーマンらしき男たちの姿が目立っていた。

 拓海が列に並んでいると、レジではだらしない格好をした男性客が店員の問いかけにぶっきらぼうに答えていた。男は三十前後に見えるが、彼が千円札をキャッシュトレイに投げつけるように置いたのを見て、拓海は不快な気持ちになった。

 注文を終えてホットコーヒーが入ったペーパーカップを受け取ると、拓海は壁際の小さな丸テーブルに腰を下ろした。椅子が高めに作られているせいで、座ると足が床に届かなくなった。

 店内はかなり混雑していた。少しでも入店のタイミングがずれていたら空席はなかっただろう。この小さな幸運に幸先の良さを感じた。

 拓海は伸ばした前髪で目元を隠すようにして、黒縁の伊達眼鏡の奥から数メートルほど先に座る女性客に視線を向けた。

 西崎結亜——ルリという源氏名で働くキャバ嬢だ。彼女は出勤前に必ずこの店に立ち寄る。店内中央の二人掛けの席に座り、スマホをいじりながらフラペチーノを飲んでいるが、一目で夜の仕事とわかる派手な装いだ。その姿にフラペチーノは妙にマッチしていた。さらに、際立つ小顔と整った顔立ちのせいか、周囲を惹きつける華やかなオーラが全身からあふれている。

「さすが、人気キャバ嬢なだけあるな」


 金曜日の夜だった。また今夜は月に一度の会合の日で、佐藤に金を渡す日でもある。彼が西崎結亜の勤めるキャバクラに顔を出す可能性は非常に高かった。彼女の出勤を阻めば、美穂が佐藤の接客をする確率が上がる。

 当初は沢尻の力を借りるつもりでいたのだが、リスクの少ない簡単な方法を思いついたため、拓海は自ら実行することにしたのだ。


 店内に入って二十分ほどが経ったころ、西崎結亜が手際よく帰り支度をはじめた。彼女が席を立つと、拓海も中身の残ったペーパーカップを手に立ち上がる。

 西崎結亜が店を出ていき、拓海もあとに続く。店を出てからも、彼女は相変わらず歩きスマホのままだ。迷惑行為ではあるが、拓海には好都合だ。人通りの多い歓楽街だということも有利に働いてくれる。拓海はパーカーのフードを目深にかぶり、彼女の働くキャバクラまで百メートルほどに迫ったところで、少し歩を早めた。もう、のんびりはしてられない。

 距離を一気に詰めて真後ろに立つと、ペーパーカップの蓋を外し、中のコーヒーを彼女の背中に浴びせた。白いブラウスが瞬時に黒く染まる。

「え、何!?」

 西崎結亜がびくっと肩をすくめて立ち止まる。彼女が振り返るよりも早く、拓海は彼女の右横をすり抜け、何事もなかったかのように人混みに紛れていく。

「何よこれ〜」

 背後から、西崎結亜の悲鳴にも近い声が聞こえてきた。

 拓海は通行人をかき分けて先へ急ぐ。心臓がバクバクと音を立てる。あらかじめ決めていた細い路地を右に曲がると、そこからは半ば駆けるように進んだ。一刻も早く安全地帯へ退避したい。走りながら一度振り返り、背後を確認する。追ってくる者はいない。ほっとする。だが心臓は高鳴ったままだ。細い路地を抜け、さっと左に曲がる。人通りの多い歩道に紛れ込むと、ようやく気を緩めることができた。

「思ったより、緊張したな……」

 拓海はいまだバクバクと音を立てている胸に手を置いた。今回の計画を思いついてから何度も頭の中でシミュレーションしたというのに、いざ実行してみると、想像以上のプレッシャーに襲われ、身体が思うように動かなかった。ペーパーカップの蓋を外したときには手が震えてしまい、思わず落としそうになったほどだ。

 予想以上の緊張を強いられたが、これできっと、彼女は一度自宅に戻るだろうし、たとえ出勤したとしても、今日は大幅に遅れるだろう。あんな目に遭ったのだから、休む可能性も充分にあった。

「美穂、あとは頼んだぞ」

 拓海は美穂の健闘を祈りながら駅へと向かっていった。

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