第52話 下積み冒険者は半年間を振り返る 魔物討伐編 上
半年間で上がったのはレベルやスキルだけではなくランクもEランクに昇格した。
これまでのスライムやジャイアントラット、ゴブリンに加えてウルフやジャイアントアント、ジャイアントスパイダー、ポイズンフロッグなどの討伐を重ねて昇格を果たしたのだ。
以前ウルフに殺されかけたことから初見の魔物と戦う際には師匠が着いてきてくれている。一切手を出しはしないがもしもの備えがあるということは精神的安心感が段違いであった。
その時はまだ『操気術』を獲得していなかったが、いざ戦闘してみると師匠に弟子入りして頂いた丸蛍と影蜘蛛の衣のおかげで以前とは大違いであった。影蜘蛛の衣に関しては見た目は綿を黒で染色したように見えるが強度が違い、今戦っている魔物程度の攻撃では破れたりするようなこともなく、おかげで出血するようなことにはなっていない。衝撃はうけるからダメージや内出血はあるけどね。
以下はそれぞれの魔物と戦った時の話である。
ウルフは連携が厄介だが単体ではゴブリンと同格のFランク相当のはずだ。前回のことがあり苦手意識があるが後ろで師匠が見守ってくれている。
探していた一匹のウルフを見つけ、周囲を確認、自身の未熟な気の索敵では他にはいない。師匠に目線をやると頷いてくれる。
(よし、いくぞ。)
(いのちをだいじに!)
ちょくちょくディクトがボケを挟んで空気を和ませてくれる。
・ウルフ
一対一なら待って不利になることはない、下手に仕掛けて反撃が怖い、中段に構えて相手の動きを見る。
ウルフもこちらを警戒しながら近づいてくるが間合いに入る手前で低く構え小さく唸る。
少しの間にらみ合いが続きしびれを切らしたウルフが動きだそうとして前足に力を入れたところに、速さ重視で袈裟斬りを放つ。
ウルフがぎりぎりでサイドに回避し、今だとばかりに噛みつきを仕掛けてくる。
速さ重視の浅い攻撃だったため私も態勢は崩れてはいない。バッグステップで下がり、向かってくるウルフを迎撃する。
下がった時に振り下ろした右腕の手首を返し、アーツを使って切り上げる。
【一閃】
ウルフの突き出した。顎から鼻先までを斬った。
少し浅かったがダメージは入った。
ウルフが痛みにより動きが悪くなったので戦いを続け、胴体、前足と傷付けていき最終的に首をはねた。
雪辱を晴らしたと思っていたら師匠に時間をかけすぎだと頭をはたかれた。
ディクト魔物図鑑
No.4
ウルフ Fランク(群Eランク)
特徴
体長1.0m、体高0.5m
オーソドックスな狼型の魔物、知能が高く、群れをつくり連携を行うのを得意とする、そのため群れだと討伐難易度があがる
レベル 不明
タイプ スピードタイプ
特殊技
『噛みつき』……ウルフ一番の武器である牙を使った攻撃、貧弱な革装備では貫かれることもある。
『連携』……複数の群れでは囮を使ったり、同時に攻撃することもあり厄介で、そのため群れでは相当ランクが上がるものと考えられる
耐性・弱点
不明
出現エリア
第3開拓村北方森表層
ジャイアントアントはもちろん巨大化した蟻なのだが基本的に群れで生活しているため私は手を出すつもりはなかった。しかし、やはりぼっちはいるものではぐれアントと何回か遭遇したため戦闘になった。
ジャイアントアントにはルークアントやナイトアントといった上位種が存在するがそれらは群れの上位カーストに位置するためはぐれることはまずない。
ジャイアントアントと違う種類にキラーアントなどもいるがもっと奥地にいるためまず目にかかることはない。
・ジャイアントアント
『鑑定眼』をかけて上位種でないことを確認。
動きを確認して問題なさそうだったので頭部をねらう。
【一閃】
「固いっ!」
斬撃を外骨格に弾かれ、手が痺れる。
(来るよ)
こちらの隙を狙い、ジャイアントアントが顎で噛みつきを仕掛けてきたので察知し、回避、後ろに下がる。
外骨格が固いが大きい蟻と同じた。ならば……
【一閃】
ジャイアントアントの体や足に比べたら細い触角を切断する。
するとジャイアントアントが目に見えて動きが悪くなったので後ろから回り込み腹部に乗り上げ、胸部との接合部である腹柄を切り離す。
(凄い! レジュメ君。何でそんなに簡単に弱点がわかったの?)
ディクトが興奮して聞いてくるがだって蟻だしね。
でも、蟻酸の攻撃がなかったのはよかった。上位種からかもしれないが注意していこう。
ディクト魔物図鑑
No.5
ジャイアントアント Fランク(群Eランク)
特徴
体長2.0m、体高1.0m
大きく硬い外骨格を持つ蟻型の魔物、仲間意識が強く、群れを作りやすく、その際は上位種や変異種とともにヒエラルキーを形成する
レベル 不明
タイプ ガードタイプ
スキル
不明
耐性・弱点
触角が弱点、また体の接合部は細く柔らかい
出現エリア
第3開拓村南部砂地




