閑話 Aランク冒険者 ツバキ=ヒガ
私の名前はツバキ=ヒガ、Aランク冒険者であり、種族はエルフだ。
私には偉大な祖父がいる。ヤマト=ヒガ、祖父は異世界からの召喚に巻き込まれてクレイドルに来たと言われている。その祖父の血を引く私は実際クォーターであるが種族としてはエルフという扱いになっており、鑑定でもそうなっている。
祖父は召喚されたはずなのに神の加護を貰えず、魔力を使えない状態であったのにも関わらず努力を重ね、力を付けて、成り上がりギルドを創設したのだ。
祖父はこの魔物優勢な世界の状況を憂い、弱者を守り、戦士たちの生存率を少しでも上げるためにギルドを創設した。その精神がいまだにギルドに受け継がれているのは私自身誇らしくさえある。
祖父が自分の子供たちに伝えてきた数々の技術がある。そのなかのひとつが『操気術』で私が祖父から後世に伝えるよう教えられたスキルだ。祖父は自分のように異世界から来て魔力が使えない者や、先天的な遺伝などで極端に魔力が弱い者が現れても戦えるようにこのスキルを伝えたいと言っていた。今も私はその言葉に従って行動をしている。
しかし、私は幼少からの教育と鍛錬で魔力と気と両方を扱うこともできるが一般的に魔力を感知できるようになると気の存在を感知するのは限りなく難しくなるらしい。ほとんどの冒険者はすぐに魔力を扱えるようになるため実際に今までで『操気術』を獲得するまで漕ぎ着けたものは多くない。
祖父の教えに従い『操気術』の伝授をしてはいるが今まで教えてきたのも魔力の弱い獣人くらいである。習得できるものも少ないこのスキルが後世に残せて行けるのだろうか、そう悩んでいた時、私は懐かしい冒険者の名前の入った手紙を受け取った。
彼は妻を失い冒険者を辞めたと聞いていたが今はアインスの開拓村でギルドの教官件酒場のマスターをしているらしい。さらに手紙を読んでみると彼が教えている冒険者を鍛えてほしいと書いてある。もしかしたら異世界人かもしれないと書き添えてある。
それが本当であるなら面白い。異世界人でだろうと神から強力な力や加護を得たりするものも多いが、そんなものを鍛えるのにわさわざ私に連絡を寄越したりはしないだろう。もしかしたら、祖父から伝えられた『操気術』を最も必要とする相手と会えるかもしれない。
その後アインス開拓村に向かう途中で偶然ウルフに襲われる冒険者を発見する。始めは人の魔力は感じないし魔物同士の争いかと思っていたがなんとなく【気配探知】で気を探ってみると魔力は感じなかったはずなのに人の気を感じる。そこでその場に駆けつけウルフを駆逐し、その人を確認した。
自分と同じ色の黒髪で少し祖父に似た個性の薄い顔立ち、どこか懐かしさがこみ上げてくる。彼が手紙に書かれていた冒険者だろうと確信した。
これからのことを考えると楽しみだ。これで祖父の墓に胸を張って報告することができるかもしれない。




