第10話 見習い冒険者は宿泊所と酒場を利用する
ドワ子から返してもらったギルドタグを見て噴き出してしまった。
「これってドワ子ちゃんが決めたんですよね、このジョブ恥ずかしいんですけど! っていうかスライムどころか野うさぎクラスになってるじゃないですか?」
「ドワ子って誰? 私の名前はリン。それにレジーはスライムに負けそう」
そう言われて目を反らす。
「負けたの? ……ごめん。魔眼って格好いいと思うよ。これから強くなれるよ、レジー」
ドワ子の優しさが傷口に塩を塗り込むように染み渡っていく。異世界人には厨二の恥ずかしさが理解出来ないようだ。格好いいと思うのと、名乗りたいかは話が別だ。
リン?そんな奴は知らん。コイツはドワ子だ。
いろいろなことがあったがそれからドワ子にジョブストーンの代金を銀貨1枚、1万ダラを支払いカウンターを後にした。
結構長い時間が冒険者登録でかかっており、隣のブロンド美人から今まで1番長かったのではないかしらと笑顔で言われた。
私の登録の間1人で受付カウンターをこなしていたことからも笑顔の裏で何を考えているかわからず、やはりこの世界でも美人は怖いと実感した。
日が落ち始めていたいたので、そのままギルド内にある宿泊所の受付に向かう。
人の良さそうな恰幅のいいおばちゃんが立っていたので受付を行う。
「ここから登録してたところを見ていたよ。無理せず頑張りな。Gランクは2階の奥だよ。」
「レジュメです。これから一時お世話になりますのでよろしくお願いします」
「はっはっは、冒険者だっていうのに礼儀正しい子だね。私はタバサだよ、よろしくね」
笑いながら叩かれた背中が痛かったがおばちゃんのおかげで暖かい気持ちになれたのは素直に嬉しかった。
受付を済ませ、先に食事を取るため酒場の方へ向かう。
酒場のカウンターに座り、腕を組んでいる頑固そうなマスターを見る。背は私より少し小さいが筋肉で体が盛り上がっており、腕を組んでいると胸筋を強調しているかのように見える。肌の色が褐色で立派なおひげが垂れ下がっている。十中八九ドワーフだろう。
「マスター、オススメは何ですか?」
メニューも何もなかったので聞くと無言で鍋から皿にスープをよそってくれて、黒パンといっしょに出してくれた。
こっちの世界に来てからポムの実しか食べてなかったため腹ペコで掻き込むようにパンとスープを食べ終えた。すると、カウンターからすっとてが延びてきて皿を奪い、もう一杯スープを出してくれた。
今度は味わいながらゆっくりと味わって食べる。なんの肉かはわからないが肉と野菜がじっくりに煮込まれており脂が溶け出し、スープに旨みがしっかりと出ていた。
ゆっくりと味わって完食し、感想をのべる。
「マスター、すごく美味しかったです。」
「今日は冒険者登録祝いだ。代金は次からでいい」
「私の名前はレジュメです。よろしくお願いします」
「ふん、グスタフだ、帰ってくれば飯は作ってやる」
それだけ言って、背を向けて洗い物を始めてしまった。
周りの冒険者が楽しそうに騒いでいるの理由がよく分かる、ここはいい酒場だ。
混雑しているほどではなかったのでカウンターでちょっとゆっくりする。
メモを取り出し、スライムのイラストを描き、大きさ、動きが遅かったこと、飛びかかってくる攻撃をしてきたこと、弾性があったことなどを書き込む。
残りは部屋に戻ってからだな。
「また明日来ます」
返事はなかったがそれだけ伝えて宿泊所の2階に向かった。




