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EP8 俺、古代文明の遺跡で動くミイラと出逢う。その11

「お、おい、石棺を開けろだって!?」


「ああ、みんなで〝中身〟を確認しようぜ。」


「うむ、考古学者として実に中身が気になって仕方がない。だが、石棺の蓋は接着剤のようなモノで固められているようだ。」


「く、黒い塊が蓋と石棺の間に詰まってるけど、接着剤ってコイツのことか?」


「脆いな、風化しているのかな? 爪で容易に削れるぞ。」


 むう、ルビーの石棺は、蓋とのわずかな隙間を接着剤のようなモノで固められているっぽいなぁ。


 その証拠とばかりに、石棺と蓋の隙間に黒い物体か……ん、ザラザラした砂のような感触だし、風化しているっぽいので爪で簡単に削れるくらい脆いな。


「さて、どうしたものか……。」


「あ、石棺にも古代文字が刻まれていますね。何々……被葬者が目覚めると同時に蓋は自動的に開くって!?」


「な、なんですと! どれどれ……むう、まさにその通りだ! しかし、被葬者が目覚めると同時に石棺の蓋が自動的に開くってどういうことだろう?」


 え、被葬者が目覚めると同時に、石棺の蓋が自動的に開くって、どういうこと!?


「ま、まさか、石棺の〝中身〟が生きている……とか!? まっさかぁ……。」


 メリッサとミクトラン先生が解読した石棺の古代文字が真実だとしたら、石棺の〝中身〟は数千年の年月が経過してもなお根性で生き続けているモノなのかしれないなぁ。


「絶対、そんなワケがないだろう、キョウ?」


「うんうん、兄貴の言う通りっすよ……わあ、だからって石棺を蹴飛ばすとか罰当たりっす!」


「気にすんなよ! 反応なんかあるワケがねーんだし!」


「う、兄貴ィ、そうも言っていられないと思うっす……。」


「ああっ?」


「あ、ああ、ヤスの言う通りだぞ、兄貴……。」


「お、おいおい、キョウまで何を言い出すんだぁ?」


「うむ、ハニエルは気づいていないようだ。」


「信じられないけど、兄貴さんは起しちゃったみたい……〝中の人〟を!」


「は、はあああっ!?」


 兄貴は偶然にもやってしまったようだ。


 目の前にドーンと鎮座する巨大ルビーの原石を加工してつくられた石棺の中に〝眠るモノ〟を目覚めさせる行為を……。


「兄貴がさっき蹴飛ばした場所に突起のようなモノがあるっす!」


「ん、そんなモノあったのかよ? ああ、ホントだ。それがどうしたんだよ?」


「どうやら被葬者を強制的に目覚めさせる装置を起動させるモノだったっぽいっす!」


「ス、スイッチだな。うお、これから何が起きたんだぁ!?」


「わあ、石棺の隙間から黒い液体は流れ出してきたぞ!」


「これは接着剤です。接着剤は解け出しているようです!」


「キョウ様、石棺の蓋が動き出しました! ひ、開く……石棺の蓋が自動的に開き始めました!」


 兄貴がルビーの石棺にある突起物を蹴飛ばしたせいだ!


 石棺と蓋の間を固めている接着剤が、ドロッと溶け出す……そして重い蓋が自動的に開き始める!


「ウウウウ、ウガアアアア~~~!!」


「ヒイッ……な、何、今の叫び声は!?」


 突然、身の毛が弥立つけたたましい叫び声が響きわたる!


「お、おい、今の叫び声は石棺の中からだぞ!」


「ヒュー……ま、まさか本当に生きていたとはね!」


「すげぇ! じゃあ、何千年も根性で生きていたことになるのか!?」


「ど、どうでもいいけど、全身をボロボロに包帯で覆う幽鬼のようなモノが石棺の中から飛び出してきたぞ!」


「ミミミ、ミイラ女だァァァ~~~!」


「むう、普通ならミイラは干乾びているはずなんだが、アレはそんな感じじゃないぞ!?」


「あのミイラ女の右手を見てください! 黄金色の短剣を握っています!」


 うおー、ルビーの石棺の中から、ドンッと全身をボロボロの朽ちた包帯に覆われた女が飛び出してくる!


 むう、その右手に握っているのは黄金の短剣か!? ギランと俺達が持つ松明の灯りを浴び妖しい光を放っている。


「コイツがピルケか!?」


 被葬者――数千年の年月を根性で生き抜いた古代姫ピルケの復活か!?


 とにかく、今にも襲いかかって来そうな雰囲気だ!

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