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EP8 俺、古代文明の遺跡で動くミイラと出逢う。その9

「ふんぐるい、むぐるうなふ、くとぅるう、るるいえ、うがふなぐる、ふたぐん!」


「キョウ姐さん、それが岩の扉を開ける魔法の言葉は?」


「違う違う、適当に言ってみたんだ。気にしないでくれ……。」


「さて、何か魔法の言葉のようなモノは見つかりましたか、皆さん?」


「いや~全然だなぁ……てか、その前に古代文字を読めないしね。」


 目の前にドーンとそびえ立つピルケ遺跡の被葬者が眠る玄室を塞ぐ岩の扉のどこかに、そんな岩の扉を開けるための魔法の言葉が刻んでいるようだけど、案の定、古代文字を読めるにはメリッサだけであるので、どれが魔法の言葉なのかさっぱりだ。


 なんだかんだと、岩の扉には古代文字の専門家であるメリッサ以外には解読が不可能な難解な古代文字が、あっちこっちにたくさん刻んであったりするしねぇ……。


「おーい、ミクトラン先生を連れて来たぞ!」


 ん、轟々と燃え盛る松明の炎が複数、近づいてくる……ミクトラン先生? 


 誰かは知らないけど、頭に立派な角が生えた一頭の山羊を連れた人間の考古学者っぽい連中がやって来たぞ。


「古代文字がいっぱいだなぁ……どれ、わしも解読の手伝いをしようじゃないか、お嬢さん。」


「わ、山羊が喋った……って、今更、驚くような話じゃないよね。この世界では獣が普通に喋るしね。つーか、ミクトラン先生って、あの山羊のことか?」


「うんうん、あの山羊がミクトラン先生だ。ああ見えてもケモニア大陸内にかつて存在したすべての古代文明に精通していらっしゃるんだ。」


「へえ、そうなんだ!」


 山羊の姿をした偉大な考古学者って感じだな、ミクトラン先生は――。


 メリッサと同じく古代文字に関しても精通しているようだし、流石はケモニア大陸内にかつて存在したすべての古代文明に精通しているだけのことはあるなぁ!


「ふむふむ、なるほど……。」


「はう、山羊さん、何かわかったんですかぁ?」


「うむ、ここを見たまえ、お嬢さん。」


「どれどれ……あ、ああ、なるほど!」


「お、おい、何がわかったんだぁ? 何が……。」


 メリッサとミクトラン先生とかいう山羊は、玄室への入り口を塞いでいる岩の扉を開ける魔法の言葉を発見したのか!?


 まったく、俺も古代文字が読めればなぁ……。


「ええと、この岩の扉を開けるヒントがわかりましたよ。」


「ヒ、ヒントかぁ……って、なんだよ、そのヒントって?」


「うむ、それは〝被葬者〟の名前だ。」


「むう、じゃあ、〇〇〇さん、玄室の扉をお開けください~って感じの言葉が魔法の言葉になったりしてね。」


 ふ、ふむ、被葬者の名前がヒントなのか……じゃあ、そんな被葬者の名前がわかれば!?


 それをメリッサとミクトラン先生に探してもらわなくっちゃな!

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