EP8 俺、古代文明の遺跡で動くミイラと出逢う。その8
「<怪力>のカードに描かれている絵が灰色だぞ、キョウ姐さん?」
「お姉様、そのカードはまるで死んでいるかのようです。」
「むう、これは一体……。」
せ、せっかく、ピルケ遺跡の真の入り口を塞ぐ堅牢な岩の扉の前までやって来たというのに、一体、<怪力>のカードの何が起きているんだ!?
「お、アンタ達も、ここへ来たのか、遅かったな! ん、そのカードは活動停止状態って感じかな?」
「え、活動停止状態? そうなのかな、ブックス?」
「うむ、ズバリその通りだったりするワケだ。」
「な、なんですとー!」
先行するかたちでピルケ遺跡の深奥にある石棺の下に隠されていた空洞――真のピルケ遺跡の入り口へと進んでいたデュオニスが、後からやって来た俺達のもとへと引き返してくると、怪訝そうに<怪力>のカードを指差しながら、そんな指摘をする。
活動停止状態か、ブックスがその通りだって言っている……ちょ、しばらく使えないのか、ひょっとして!?
「言い忘れていたが、使い強化用カードは連続使用ができないモノだ。」
「お、おい、それを早く言えよ!」
「むう、私もまさか連続で使用するような事態になるとは思わなかったのだ。さて、再び使えるようになるには、恐らく三時間後くらいだろう。」
「えええ、三時間後だって!? じゃあ、今は充電中みたいな感じでもあるワケね?」
「うむ!」
ふえええ、再び使えるようになるのは三時間後かぁ……むう、同じカードがないのが痛い!
「あ、そうだ! ピルケ遺跡の真の入り口を塞いでいる岩の扉に妙な古代文字が刻んであるんだ。」
「妙な古代文字?」
「ああ、だけど、由緒正しき聖ヴァルレーゼ学園の生徒である僕でも読むことができない代物なんだ。くそぉ、悔しいなぁ、つい先日、古代文字の解読という科目が始まったばかりだというのに……。」
「なるほど、君のその衣装をどこかで見たことがあるなぁと思っていたら、あの聖ヴァルレーゼ学園指定のモノでしたか……っと、古代文字の解読なら私の出番ですね!」
デュオニスが通う聖ヴァルレーゼ学園とは、マーテル王国の首都にある名門校ってヤツかな?
それはともかく、ピルケ遺跡の真の入り口を塞ぐ堅牢な岩の扉のあちらこちらに、発見者であるデュオニスでは解読不能の古代文字が刻まれているとか――。
とまあ、そんなワケで古代文字解読のスペシャリストであるメリッサが役に立つ時が、再び到来するのだった。
「皆さん、そこを退いてください。岩の扉に刻まれた古代文字の解読を行いますので――。」
「お、さっきの古代文字を解読した姉ちゃんじゃないか! ああ、頼むぜ、俺達にゃちっともわからない文字なんでな。」
「んじゃ、とりあえず岩の扉の一番上にある古代文字から……何々、ここまでやって来た盗人共に警告するって書いてます。んで、その下の古代文字は……ふむ、どうやら〝ここ〟が本物のピルケ遺跡で間違いないようですね。この岩の扉の向こう側に被葬者が眠っているそうです。」
「被葬者!? ――ってことは、この扉の向こう側は玄室のようだな。」
「玄室ってなんだ?」
「死者を埋葬する墓室のことだよ。きっと上にあった石棺と同等、或いはそれ以上に巨大な石棺が眠っているはずだぜ。」
「おお、そりゃ期待大だね!」
「だけど、どうやって開けるんだよ?」
そ、そうだ、岩の扉の向こう側がピルケ遺跡に眠る被葬者の遺体が眠る石棺があるのはわかったけど、問題はどうやって開けるかだな……。
三時間待って<怪力>のカードを使いか、それとも別の方法で――。
「ん、この岩の扉を開ける魔法の言葉があるそうです! ふむふむ、どこかに刻んであるみたいですよ。」
「ま、魔法の言葉がある!?」
「とにかく探そうぜ! 魔法の言葉を!」
と、メリッサが言う――むう、どうやら岩の扉のどこかに、その魔法の言葉が刻まれているようだ。
よし、探してみるか!




