EP8 俺、古代文明の遺跡で動くミイラと出逢う。その7
グラーニアことリリス姫は、弱いクセに度胸だけはあるようだなぁ。
まあ、俺のような魔女になって守られる側から脱したいと思っているようだ。
そう言ってる俺も、まだまだ守られる側だ。
自力で魔術を発動させられないしね……。
なんだかんだと、ブックスから貰ったカードデッキがなきゃ何もできないしねぇ……。
それはともかく、ピルケ遺跡の深奥にドーンと鎮座する巨大で重い空っぽの石棺を退けることで出現した空洞の底へと、俺達は降り立つ。
「あ、地下水の泉だ!」
「どれどれ、飲んでみるか……お、美味い!」
さてと、空洞の底は滾々(こんこん)と地下水が沸き出す泉と化している。
ここは乾燥地帯のサバンナだ。
貴重な水源を発見したことになるなぁ。
「水だ、水だ!」
「バケツを持って来い!」
「力持ちの獣人をたくさん連れて来るんだ!」
ん、そんな叫び声が聞こえる方角に、轟々と燃え盛る松明の炎が見受けられる。
そういや、先行するカタチで、ここへ降り立った連中がいたな。
「この辺じゃ水は貴重よ。サバンナ地帯で蒸し暑い乾燥地だからね。」
「そ、そういえば、ディベレス駐屯地がある周辺はサバンナだったな。」
「うん、だから水源が見つけたら莫大な財宝と同じ価値があるわ。」
「ふーん、それでみんな騒いでいるワケだ。」
と、ウェスタの言うことは、ごもっともな話である。
水はなんだかんだと生きていく上では大事なモノだしなぁ。
オマケに草木の生えない砂漠ではないとはいえ、地上は乾燥地帯であるサバンナだし――。
「岩の扉発見! こ、この先にピルケ遺跡の真の姿が!」
ん、この声はデュオニス!?
岩の扉を発見したとか言っているし、声が聞こえてた方へ行ってみよう。
「これは大発見だァァァ~~~!」
「おい、誰か岩の扉をこじ開けろ!」
「む、無理だな!」
「こんな超重そうな岩の扉を力任せでこじ開けられるのは象の獣人くらいだな。」
轟々と燃え盛る松明が、ひとつ、ふたつ……いや、それ以上、見受けられる。
ピルケ遺跡の真の入り口を塞ぐ岩の扉の前には、デュオニス以外の連中もいるようだ。
「ふえ、兎にミーアキャット、土竜や栗鼠の獣人じゃ、あの岩の扉をこじ開けるなんて無理だなぁ……。」
「うむ、狼獣人でも無理だな。」
「なんだかんだと、象の獣人あたりを連れて来ないとキツいねぇ……お、でも、<怪力>のカードがあれば!」
そうだ、<怪力>のカードを使えば、メリッサ、ミネル、アシュトンの身体に、あの巨大で重い石棺を退けることができたトンでもない力を再び宿すことができる――が、そう上手く物事は進まないんだよなぁ。
「あ、あれ、<怪力>のカードに描かれている絵が灰色に!? どういうこと?」
むう、使い魔強化用カードデッキの中から取り出した<怪力>のカードに描かれている絵が、何故か灰色に……あ、あるぇ~? どういうことだ、一体!?




