EP6 俺、異世界からやって来た仲間を得ます。その11
「アンタ達の可愛らしい顔をドロドロに溶かしてやんよ!」
「ヒ、ヒイイッ!」
「わあ、アシュトン君の身体が溶けて骨だけに!」
「な、なんだってー!」
ちょ、ドロドロに溶かす!?
わあ、気づけば、せっかく助けたはずのアシュトンの身体の肉という肉がドロドロに溶けて真っ白な骨の状態だけに……。
あの男の身に何が!?
「きっと、アシュトン君の身体には、あの女の魔眼から放たれた魔力が残っていたんでしょうね。」
「そ、そうなの? つーか、俺達も、あんな風に!」
「うむ、下手をすれば、同じ目に遭うかもしれん! さて、アシュトンの件についてだが、骨が残っている故に復活させることができるぞ。」
「え、マジで!? でも、骨だけの状態で蘇ったら……。」
「おお、それはともかく、フレイヤが連れて来たくれた! あの女の〝能力〟が効かないモノ達を!」
「え、どういうことだよ、ブックス! うわ、何かたくさんやって来た!」
な、なるほどォォォ~~~!
アシュトンの太った身体が、ドロドロに溶解し、真っ白な骨だけになってしまった理由がわかったかも!
しかし、なんて凶悪なっ……ん、フレイヤがあの女の魔眼が〝効かない〟モノ達を連れて来た!?
と、ブックスが説明した刹那、俺の背後で何かが蠢く……この気配はまさか!?
「ブックスさんよぉ、連れて来たぜ! つーか、〝みんな〟近場にいて助かったぜ!」
「うむ、そこに横たわっている骸骨と化してしまった男がぶっ放した拳銃とやらが発した音に反応し、ディアナスの樹海の住人達が近くにアジトの近くにやって来ていたようだな。」
「ふええ、ディアナスの樹海には、こんなにたくさん住んでいるんだな……猛獣型の獣人が!」
背後の感じた気配の正体は、フレイヤがディアナスの樹海から連れて来た黒豹の獣人を筆頭とした虎、豹、大山猫、ピューマ、ジャガーなどなど猫科の大型肉食獣型の獣人達だ。
お、灰色熊の獣人もいるな。
ああ、無論、フレイヤの使い魔である猫獣人達も一緒である。
「フレイヤの姐さん、アイツっすか? さっき聞き慣れない大きな音を立てたのって?」
「つーか、同じ猫の仲間である獅子が人間の赤ん坊がかぶっているような帽子をかぶっているぞ、ギャハハハッ!」
「あれはボンネットという帽子だニャ。」
「へえ、そうなのか、ニャン公! でも、妙に似合ってた笑えるぞ、プププ、プギュー!」
「わあああ、お気に入りの帽子なのに、あの黒豹に馬鹿にされたー!」
「むう、ブリュンヒルデ、落ち着いて!」
「おうおう、その獅子に落ち着けって言う前に、アンタの方が落ち着くべきじゃないのかァァァ~~~?」
フレイヤがアグリッピナに対し、そんなツッコミを――あ、ああ、確かにブリュンヒルデとかいう獅子に落ち着けって言う前に、まずは自分が冷静になるべきって感じだな。
獣人達には魔眼が効かない――と、そんなワケで焦っているな、コイツ!
「フ、フン、まあいいわ! 今回は見逃してあげましょう!」
「あ、ボンネットをかぶったライオンの背中に乗ったぞ。ひょっとして逃げる気か?」
「逃げる? 違うわ、眠くなったから帰るのよ!」
「ホントかぁ?」
「ホントよ! わ、私が次に来るまで、そのコは預けておきます! ハイヨー、ブリュンヒルデ!」
「あ、逃げた!」
ムムム、逃げた!?
ああ、間違いないな。
必殺の魔眼が効かない相手が、ドッと集まってきたワケだし、分が悪いのはわかるが、まさかホント逃げるなんて……。
「ふう、厄介なのがいなくなってホッとしたぜ……。」
「さて、骨だけになってしまったアシュトン君はどうします?」
「うーむ、このままにしておけないよなぁ……。」
「キョウ、さっきも言ったが骨さえあれば、ソイツを蘇らせることができる。早速だが深淵の水が必要となる。ディアナスの樹海に確か……。」
「え、深淵の水って、もしかして、あのまっ黒な水ですか?」
「おお、わかるモノがいて手間が省けて助かる! 早速、組んできてくれ! その骨に〝魂〟を定着させるのに必要なのだ。」
そういえば、アシュトンは身体の肉がすべて溶け落ちて白骨死体と化してしまっていたな。
と、そんなアシュトンを蘇られる方法――死霊魔術があるというのかよ、ブックス!




