EP6 俺、異世界からやって来た仲間を得ます。その10
「だあああ、一か八かだ!」
「一か八か!? キョウ様、あの女に抵抗するんですか!」
「ああ、このまま何もしなければ、サキはアイツに連れ去られてしまう!」
「ひゃあ、ダメですってば! 魔眼から放たれ魔力波によってアシュトン君みたいに眼球がパーンと破裂しちゃったりしますよ!」
「そ、そんなことわかっているさ! でも、何かが俺を身体を動かしている!」
むう、なんだろう、この気持ち……。
アグリッピナとかいう女の両目から放たれる悪意の魔力波――魔眼によってアシュトンのように、俺の左右の眼球がパーンと弾け飛んでしまいそうで怖いが、〝何か〟が俺の身体を動かす。
「あらあら、抵抗するのかしら? ウフフ、大人しく私の愛玩動物を渡した方が無難よ?」
「おい、私はお前の愛玩動物じゃねぇぞガウ!」
「サキ、とにかく、俺の背後に隠れているんだ……だあああっ!」
俺はキッ意を決し、自分専用カードデッキの中からカードを一枚、引くのだった!
来い、来い、来い……あの女を追い払えるような凄いカード……来やがれ!
「え、<獣化>のカード!? わ、身体が熱い!」
むう、カードデッキの中から引いたカードには、燃えあがる炎をまとった猫が描かれているカードだ……<獣化>って書いてあるぞ!?
と、その刹那、俺を中心とした半径一メートル圏内に真っ赤な煙が立ち込める。
「け、煙いわ! モルガン・ルフィエラ……ア、アンタ、一体、何をしたのよ、ゲホゲホッ!」
「知るかよ! つーか、俺はそんな伝説の魔女じゃ……わあ、なんだ、この姿は!?」
「う、うは、私の身体も……。」
「わ、私もです!」
「ヒ、ヒイイッ! 巨大な北極熊が三頭!」
<獣化>のカードの恩恵ってヤツ!?
赤い煙が吹き抜けていく風によって吹っ飛ばされると同時に、俺は自分の姿が巨大な北極熊に変身していることに気づく!
ああ、俺の側にいたメリッサとミネルも、そんな俺と同じく巨大な北極熊の姿に変身するのだった。
「ちょ、アンタ達、狡いわよ! ブリュンヒルデ、参戦を許可するわ!」
「え、えええー! 私も一緒に戦えって言うんですかぁ? 面倒くさいなぁ……。」
ちょ、狡いなんだよ!
お前は魔眼とかいう対人特化した能力を持っているじゃないか!
あ、ああ、でも、こっちは巨大な北極熊だし、ある意味で形勢逆転ってだな。
アグリッピナの魔眼は、獣に対しては効果はない気がしたし……よし、これなら!
「わああ、ちょっと怖いです!」
「ブ、ブリュンヒルデ! 何、怖がっているのよ!」
ボンネットをかぶった獅子の名前は、ブリュンヒルデという名前のようだ。
と、そんなブリュンヒルデはやる気がないようだ。
獣の勘ってモノだろうか?
今の俺、メリッサ、ミネルに戦いを挑むのは、分が悪いと悟ったのか!?
「フッフッフッフ、形勢逆転ですね。さあ、どこからでもかかって来なさい!」
「む、むう……。」
「勝った! え、あれれれ……わ、元に戻ってしまった!」
な、なんですとー!
巨大な北極熊に変身できていた時間は、わずか一分足らずである!
そんなワケで俺、メリッサ、ミネルの姿は、呆気なく元通りに……。
「ビ、ビックリさせやがって! この小娘共、私を謀った罰を与えてやる!」
わああ、殺気満々って感じの殺意の波動を全身から放っていないか、このおばはん!
なんてこった! 絶体絶命ってヤツじゃないか!
再び俺達は、そんな状況下の逆戻りしてしまったようだ!




