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EP6 俺、異世界からやって来た仲間を得ます。その9

「フフフ、これで許してあげるわ。」


「ヒギイイイッ! アグリッピナ様ァァァ~~~!」


 左右の眼球は弾け飛んだアシュトンは、当然、悲鳴を張りあげ、地面を転げまわる。


 酷いっ! お仕置きのつもりなのか?


 しかし、ここまでやるなんて……まさに外道!


「アイツが可哀想な気がしてきた。ブックス、アレを使うぞ!」


「うむ、使い魔強化用のカードデッキとは別に私が用意したカードデッキか?」


「ああ、アレだ、アレを使うぜ……俺専用カードデッキを!」


 両目が弾け飛んでしまったアシュトン可哀想だ――と、思った俺は自分専用のカードデッキをジーンズのポケットから取り出す。


「あらあら、それは魔術カードデッキかしら? ふむふむ、アナタはカード魔術の使い手かしらぁ?」


「カード魔術か、なんかカッコイイな? ま、とにかく、アイツが可哀想だ。両目の眼球が弾け飛んじまったワケだし……。」


 さてと、友達であると同時に使い魔でもあるメリッサとミネルを強化するための使い魔強化用カードデッキの他に、俺はブックスから〝自分専用〟のカードデッキも受け取っている。


 自分専用というワケで、当然、俺自身を強化したり、または獣の姿に変身できるなどなどの効果を及ぼすモノだ。


 まあ、でも、今回が初めて使うことになるかな?


 ああ、そんな自分専用カードデッキの中には、他人にも効果があるカードも確かあった筈だ。


 その名の通り、<治癒>だったかなぁ?


「よっしゃ、早速……<治癒>のカードを使うぞ!」


 シャッと俺は勢いよく自分専用カードデッキの中から、<治癒>のカードを引き抜く!


「早速、眼球は破裂したアシュトン君に反応しましたね。そのカードは……お、私の右足の太腿の傷にも同時に反応したっぽいです。」


「うん、<治癒>のカードは近くにいるすべての負傷者に反応するようだ。ああ、でも、俺の魔力許容量が少ないせいかカードから飛び出した癒しの光は拳大って感じだなぁ……。」


 ボッと<治癒>のカードから、拳大の小さな光の珠がふたつ飛び出す。


 で、そのひとつがメリッサの右足の太腿にある銃痕を癒し、そしてもうひとつの光の珠が、左右の眼球が破裂したアシュトンの顔面を優しく包み込む。


「よし、止血は済んだ。後は破裂した目玉が元通りになっていれば……。」


 さて、アシュトンの眼球は、上手い具体に再生していればいいが……。


 未熟者の俺の魔力は、当然、低めだ。


 故に、完全に再生できず視力傷害が残りそうな予感もするぜ。


「カード魔術といえば、数百年前に廃れた魔術系統のひとつだったかしら? ウフフ、流石はメイザースさんが言っていた伝説の魔女モルガン・ルフィエルそっくりなお嬢さんってところね!」


 と、メリッサとアシュトンの傷を癒す様子を黙って見ていたアグリッピナは、嫌味か、貴様! そう言いたくなるような皮肉が込められた物言いをしながら、パチパチと拍手をする。


「ふう、なんだか眠くなってきたわ。さっさと要件を済ませちゃおうかしら!」


 眠くなってきた……だと!?


 むう、アグリッピナが跨がっているボンネットをかぶった獅子の背から飛び降りる。


 ま、魔眼で俺達を仕留めようというのか!


 く、あの女と目を合わせちゃいけない………ど、どうする、俺!



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