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EP6 俺、異世界からやって来た仲間を得ます。その6

 ケモニア大陸の文明圏は、西方は中心である。


 特に西方一の大国である帝政国家のオルゴニア帝国が中心になっているとか――。


 とはいえ、最先端の武器が火縄銃だったりするので、俺が本来いるはずの世界よりも、ずっと文明は遅れている。


 だけど、その一方で俺が本来いるべき世界においては、科学的根拠のない迷信とされてしまっている魔術などが、〝この世界〟では普通に通用しているんだよなぁ。


 オマケにオリン山の天空姫など、神々が身近なところにいることだしね。


 ん、そういえば、医学や食文化なんかはどうなんだろうなぁ。


 さてさて。


「なあ、そこの太っちょ! お前もゾンビになってみるか?」


「うんうん、ゾンビになれば、メリッサや私の気持ちがわかると思うぞ。」


「むう、いかのも魔女って感じの貧乳女! それにミネルさん……あ、あれ、アンタも死んだはずでは!?」


「貧乳は余計だぜ。ま、気にしちゃいねぇけどな。」


「アシュトン君、久し振りだね。ああ、私もメリッサと同じくゾンビさ。」


「な、なんですとー! ヒュー……こ、興奮してきました!」


「わ、コイツ……キモッ! なんで、あんなに嬉しそうなんだよ!」


 俺は胸の大きさなんてどーでもいいんだ。


 フレイヤみたいに無駄にでかいと男の視線が気になるってストレスになりそうだしな。


 と、そんな話はどうでもいいけど、アシュトンって男のテンションは最高値に達しているようだ。


 そのせいかさっきからドバドバと大量の涙を流している……不思議な男だなぁ。


「なあ、メリッサ、それにミネルさん、頼む! うおおお、もう我慢できん! アンタ達の身体を調べさせてく……ギャボッ!」


「「だが、断る!」」


 メリッサと右の鉄拳、そしてミネルの左の鉄拳が、巨石を穿つドリルのようにアシュトンの顔面を穿つ!


 ハハハ、そりゃそうだよなぁ、いきなり身体を調べさせてくれって言い出し、飛びついてきたワケだし……。


「ヒ、ヒギイイイ、鼻が折れた! それに奥歯がっ! うううう、首が痛いっ!」


「あ、悪い、ついつい力が……。」


「むう、ゾンビになってから、どうも力加減が……あ、左手の小指が折れたみたいです。キョウ様、修復をお願いします。」


「ああ、了解だ……と、これでよし!」


 メリッサとミネルの身体は、ゾンビとなったことで肉体的な制御がなくなり、常にリミッターが解除された状態と化している。


 そんなワケでアシュトンを肉体的リミッターが解除された状態でぶん殴ってしまったミネルの左手の小指は、結果的に折れてしまったようだ。


「ヒギイイイ、痛い、痛いっ……だが、最高だァァ!」


「う、うえええ、気持ち悪すぎ!」


 ふえええ、アシュトンは鼻血を垂らしながら、ニタニタと笑っている!


 気持ち悪いなぁ、思わず引いてしまったぞ……。


「と、ところでアシュトン君。何をしにここへやって来たんだい?」


 と、メリッサが瓶底のような分厚い眼鏡を弄りながら、鼻血を滴らせた状態で微笑んでいる不気味なアシュトンに訊く。


 何故、ここへ来たのかと――。

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