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EP5 俺、ゾンビを使い魔にします。その9

「わかりました。アナタの使い魔になりましょう。」


「わお、素直ですね、ミネルさん。」


「私はすぐに決断できん優柔不断な気質ではない。そうと決めたら、即実行に移すことをモットーとしているからな。」


「よし、決まりだ。ブックス、彼女に使い魔の証である契約の呪印を――。」


「了解だ、キョウ。んんんん、うりゃあああ!」


 ん、ミネルは素直な女のようだな。


 躊躇(たねら)うことなく使い魔になることを承諾したワケだしね。


 さて、ブックスの表紙に見受けられるダンディーなヒゲのおじさんの顔が、カッと(まばゆ)いを閃光を放つ。


「ひゃあ、左胸が熱いっ!」


「うむ、君の左胸に契約の呪印が浮き出した証拠というワケだ。」


「そ、そうなのですか? 後で確認してみます。」


「どうでもいいけどさ。ゾンビって痛覚は麻痺してはいるけど、触覚は麻痺していないんだな。」


「ああ、彼女らは死んで間もない新鮮なゾンビだ。故に麻痺したのは痛覚だけという感じだろう。」


「ふーん、そういうモノなのか……。」


「ああ、忘れていた。君達は生前の姿と能力を完全なかたちで留めている特異なゾンビであるが、そんな君達とはいえ、(マスター)であるキョウのもとから、なるべく離れないようにしたまえ。そうだな、大体、半径三十メートル以内だろうか? それ以上、離れると徐々に身体の死後硬直し始め、そして腐敗も始まるから気をつけたまえ。」


「ちょ、長時間の単独行動は危険ってことですか?」


「うむ!」


 へ、へえ、そういう制限もあるのか……。


 ん、リンクしている俺との魔力交信が途絶えるから、とか!?


「むう、そうなると、私はネメシス騎士団の本部へと戻ることができませんね。」


「はうう、私もです。仮に戻ったところでゾンビである私達は、恐らく……。」


 と、ミネルとメリッサは同時に苦笑を浮かべる。


 むう、何か最悪の事態に発展しかねないなぁ、仮にふたりがネメシス騎士団の本部へと戻った場合――。


「ぐぬぬぬ、エフェポスの村においてゾンビ問題を起した張本人である私が、まさかゾンビになるなんて……。」


「ん、お前かよ、ゾンビ問題を起したのって!」


「あ、ああ、メリッサがゾンビだということにいち早く気づいたものでね。」


「でも、皮肉ですね。ゾンビ騒ぎを起こした張本人であるミネルさんご本人がゾンビになったワケだし、クククク。」


「わ、笑うな! と、とにかく、自分でも意外すぎて頭が混乱中だったりする……。」


「ん、またまた誰か来たぞ。」


「ありゃフレイだな。」


 むう、またまた誰かやって来たようだ。


 今度は一体……ん、フレイだ。


 フレイが戻って来たようだ。


「ふう、やっと事態の収拾できたわ。」


「ほう、それは良かった!」


「うん、私がエフェポスの村に戻ったらネメシス騎士団のメイザースっておじさんが中心になってゾンビ騒ぎを起こしていたわ。でも、村のみんなはゾンビよりも怖い存在が兎天原にはいることを知ってるから、割と呆気なく混乱を収拾できたわ。」


「へ、へえ、ゾンビより怖い存在ねぇ……。」


「うん、何せ、兎天原には怪物聖母(エキドナ)の子孫と呼ばれる怪物が住み着いているしね。」


 俺はこの世界に来て浅い故に知らんかったけど、ケモニア大陸の兎天原にはトンでもない伝説級の化け物が潜んでいるっぽいなぁ……。

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