EP5 俺、ゾンビを使い魔にします。その8
「よっしゃ完成!」
「上手くできているかはわからんけど、メリッサがもぎ取った右腕を切断箇所に縫い合わせてみたぜ!」
「わあ、フレイヤ凄い!」
「俺は死体防腐処理を手伝ったことがあるんだ。このくらい簡単だぜ!」
「まあ、とにかく、コイツを飲ませてみるぜ。」
へえ、死体防腐処理かぁ、フレイヤって歌姫以外の仕事を熟していそうだなぁ。
なんだかんだと、感心しちまったぜ……おっと、そんなことより、再びつくった即席のゾンビをつくることができる薬――即ゾン薬と仮名しておくかな。
と、そんな即ゾン薬をミネルの口の中に流し込んでみるとしよう。
「はううう、不味いィ!」
「あ、ミネルさんが生き返りました!」
「う、うむ、成功だな。」
お、物言わぬ肉塊――死骸と化したミネルの身体に活力が戻る!
そしてカッと両目が開くと同時に、ゴホゴホと激しくむせ返る。
即ゾン薬は超不味そうな薬だしなぁ、仕方がないか……。
ふええ、それにしても即ゾン薬の効果は凄いなぁ~!
「わ、私は一体!? うわ、メリッサ……いや、ゾンビめ! 貴様、私の身体に何をした!」
蘇って早々、ミネルは才色兼備な容貌を憤怒の形相に変え、メリッサに対し、飛びかかるのだった。
「ええい、禍々しいゾンビめ! 私が成敗してくれる!」
「ちょっと待ってください! ア、アナタもゾンビなんですよ! そんな暴れるとせっかくフレイヤさんが修復してくれた右腕が取れちゃいますよ!」
「な、なんだと!? わあああ、なんだ、この傷跡は!」
ミネルもメリッサと同様、痛覚が麻痺してしまったようだ。
そんなワケでもぎ取れてしまった右腕を死体防腐処理の達人(?)でもあるフレイヤが修復したことにミネルは、今になって気づくのだった。
「うううう、メリッサ、貴様! 気絶していた私を齧ってゾンビの仲間入りをさせたな!」
「そういえば、ゾンビに襲われたモノもゾンビになってしまうって聞くなぁ。」
「違いますってば! キョウ様がお作りになった薬で、ミネルさんはゾンビになったみたいです。あ、死んでから間もない新鮮な死体のみ効果がある薬だそうです。」
「にゃ、にゃんですとー! じゃあ、私はソイツで……。」
「ま、そういうことだ。さて、今は信じられないないかも知れないが、数時間後に嫌でも自分がゾンビだということに気づく筈だ。」
「わあ、空飛ぶ本!?」
「ブックスだ。こう見えても由緒正しき魔道書である。」
ブックスは意思を持つ生きた本であることは言うまでもない。
オマケに飛翔する鳥の如く空を飛ぶこともできる驚異の本だ!
とまあ、そんなブックスを目の当たりにしたら、誰であっても驚くことも言うまでもないかな?
それはともかく、数時間後に嫌でも自分がゾンビだということに気づかされるってことは、身体が腐敗し始めると同時に、耐え難い死臭も漂い始めることになるなぁ。
そうなっては何もかもが遅いだろうなぁ……。
「さて、半永久的に腐らないゾンビになる方法ならあるぞ。この俺の使い魔になることだ!」
「な、なんだと!? む、むう、今、気づきました。アナタはリリス様ではありませんか!」
「違うよ。他人の空似さ。ま、なんだかんだリリスとかいう家出姫とは繋がりがあるワケだが……。」
「え、どういうことです!?」
「ああ、なんでもない。忘れてくれ。んで、どうするんだ? 俺の使い魔になるか? それとも拒否するのか? アンタに二者選択を迫っているだぜ、俺は?」
と、俺は使い魔なるor使い魔にならない――という選択を迫ってみたワケだが、ミネルはなんと答えるか……。




