もふもふ少女の忘れないで
「……どうですか?」
「うん、後は寝ていれば大丈夫よ」
かなみさんに薬を飲ませ、これで一件落着だ。
「ありがとうございます、先輩」
笑顔を見せるかなみさんには少し疲れが見える。
「もうお礼はいいから、寝とけ」
「……はい」
かなみさんが寝息を立てたところでみやさんが立ち上がる。
「じゃ、和樹くん。少しよろしくね」
「え?」
「買い物よ、食材がギリギリだわ」
「あ、はい。いってらっしゃい」
みやさんが出て行き……部屋には俺と寝ているかなみさんのみ。
「…………」
耐えられない。タオルの水でも替えてこよう。
ついでに顔に水をつける。顔が火照って仕方ない。
「……ふう」
かなみさんの部屋に戻り、タオルを少し絞って載せる。まだ少し熱があるみたいだな……
「せん……ぱい?」
かなみさんが薄っすらと目を開ける。
「あ、ごめん。起こしたか」
「せんぱーい」
「うおっ」
かなみさんが俺の手を掴む、もしかして寝ぼけてる?
「せんぱい……好きです」
「え?」
「好きですよ、和樹せんぱい……」
え? は?
「ちょ、かなみさん」
俺が呼びかけるとかなみさんの目が完全に開いた。
「せ、先輩!?」
かなみさんは勢いよく起き上がり、慌てるように両手を振る。
「や、今のは違うくて、寝ぼけてて、忘れて……」
ここまで言ってかなみさんは口を閉じる。顔をりんごのように赤らめ、少し下を向いた後……俺の方を真っ直ぐ見る。
「あ、その……忘れないでください」
「……え?」
それって……
「好きです、私、和樹先輩の事が好きです」
「え、あ……」
頭が真っ白だ。え? 今、俺はかなみさんに告白されたのか?
「その、先輩……答えを……」
かなみさんの声で思考が戻る。そうだ、返事をしなきゃ。
「その、なんだ……俺のアレも、忘れないでくれ」
「……アレ?」
「その、えぞきちさんの葬式の時に明里さんに質問された……」
「あ……」
かなみさんも思い出したようだ。ほぼ告白だったあの発言を。
ついに伝わった、ついに言えた。
こうして、俺とかなみさんは恋仲となった。




