もふもふ少女の薬草では
「……くそう」
あれから約一時間、様々な妨害があった。
落とし穴、上からピコピコハンマー、滑る床、視覚妨害のイカスミ……etc
なんというか……
「ゲームかよ!」
恐らく妨害をしているであろう狸達はラスボスかのように姿を見せないし……
「なぜこんなところで叫んでいるんだい? 少年よ」
聞き覚えのある女性の声と共に茂みから誰かが出てきた。
「あ、明里さん!?」
「驚きたいのはこっち、なんでこんなところにいるのさ」
「明里さんこそ……」
いいかけて気づく。
明里さんがこんなところにいるはずがない、もしかして化狸か?
「……うーん」
明里さんの行動力と得体の知れなさを考えるといてもおかしくない気がする。
目の前にいるのが本物の明里さんではないという確信が持てれば化けの皮は剥がれる筈だ。
「どうしたんだい?」
口調は……明里さんふざけて色んな話し方するからなぁー
見た目では判断がつかない。
どうすれ……あ。
「明里さん、ミカンいります?」
俺が差し出したミカンを明里さんは受け取って。
「ちょうど食べたかったのよ」
と、食べた。ほう、なるほど
「ダウト!」
叫ぶと同時に明里さんの足元から砂煙が巻き上がった。
明里さんはミカン嫌い、即ちこの明里さんは……偽物だ。
「くそう、そこまで記憶を読めなかった……」
砂煙の中から出てきた狸はそう言い残して立ち去った。
貰ったアイテム(ミカン)が役に立つとかゲー……いや、もうツッコまない。
次に現れたのは……伸二。
「はいミカン」
「ん」
「ダウト!」
更に進むと目の前に現れたのはかなみさん。
「流石にわかるわ」
更に更に進むとこんどは明里さ……
「使い回しすんなや! 納期ギリギリだったゲームか!」
思わずツッコんでしまった。
早足で歩くと大きめの黒い岩があった。
あざやくんが言うにはこの黒い岩の先に、狸が恐れるモノがあるらしい。
俺が足を踏み入れると……首輪のついた犬がいた。可愛いチワワだ。
「よーしよしよし」
首輪をはずして抱きかかえながら進むと狸は妨害してこなくなった。お前らが番犬としてるんじゃないのかよ……
その後、俺は難なく薬草を取り犬を戻し、あざやくんの家に戻った。
*
「てな訳で持ってきた」
「流石先輩です。ありがとうございます」
あざやくんに薬草を渡して俺は聞く。
「この薬草でかなみさんの薬が作れるんだな?」
「はい? これでかなみさんの薬ですか?」
あざやくんは笑顔のまま、こう続けた。
「僕は一回も……そんな事言ってませんよ」




