もふもふ少女の元……
狸に教えられたのは人間風の家……と、いうよりも大きな屋敷だった。
チャイムを探すが見当たらない。探すしている途中、目に入ったのは表札。
『本藤』
綺麗な木の表札に彫られたその苗字、とても好きにはなれない。
チャイムが無いので仕方なく戸を叩く。
少しすると戸の向こうから声が聞こえてくる。
「何者だ」
「あ、あの……和樹です」
何か紙をめくる音。
「……そのような者の訪問は聞いておらぬ、素性のわからぬ者を入れるわけにはいかぬ」
古風な口調ながらも迫力がある。言っている事も正論だ。
あまり言いたくないが……仕方ない。
「本藤家の息子に言ってください、和樹が来たって」
「……しばし待たれよ」
それから数分、大きな戸が開き大柄な男性が頭を下げる。
「ご子息のご友人でしたか、失礼を」
「い、いえ……」
「ご子息の部屋まで案内しましょう」
「あ……え?」
俺はあいつに用がある訳では……まあ、いいか。
大柄な男性について長い廊下を歩く。途中見えた部屋には高そうな壺や甲冑が飾られている。
「ご子息はここにいらっしゃる、では」
大柄な男性は俺を部屋の前に残して去っていった。
この襖の先にあいつが……一応礼儀だ。襖を数回叩く。
「……どうぞ」
襖を開いた瞬間、目が合う。
「お久しぶりです。驚きましたよ、先輩」
俺は襖の先に礼儀正しく座っていた彼の名を久しぶりに呼ぶ。
「俺も驚いたよ……あざや君」




