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もふもふ少女の呼び方
「じゃ、お邪魔しました」
しばらく何気ない会話をして、夕飯の時間になったので帰る事にした。
靴を履いてドアを開けようとした。その瞬間、後ろからいつもより少し大きめの野代さんの声が玄関に響いた。
「せ、先輩!」
俺は少し驚いて後ろを見る
「何?」
「その……かなみで」
「……ん?」
かなみ? どゆこと?
野代さんは顔を少し赤くして
「呼び方、お母さんとややこしいので……かなみで」
ああ、なるほど
「分かった、次からそうする」
ドアノブに手をかけるとまた野代さん……いや、かなみさんがまた口を開いた。
「先輩! これからも……よろしくお願いします」
何て嬉しい言葉……俺はにやけそうになる顔を無理矢理抑えて、にやけずに笑顔で答える。
「よろしく、かなみさん」