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もふもふ少女に寄らないで

「ちょっとトイレ行ってくる」

 買い物が終わった後、伸二がそう言ってコンビニの近くにあるトイレに向かった。

「……和樹先輩、少しいいですか?」

 伸二に渡されたビニール袋の持ち方に苦戦しているとあざや君が切り出した。あれ? いつもとトーンが違う?

「ん……別にいいけど」

 あざや君はまっすぐと俺の目を見つめてくる。なんだかいつもの目とは違う気がする。

「単刀直入に言います。 和樹先輩、あまりかなみさんに近づかないで貰えますか?」

「え……」

「今回みたいな時はしょうがないかもしれません……でもかなみさんは僕の許婚ですので」

 混乱しながらも俺は声を出す。今聞くべきことでは無いことを言ってしまう。

「なんで俺にそんな事言うんだ?」

 俺と彼女は先輩と後輩の関係だ。

「なんでって……決まってるじゃないですか。バレバレですよ、さっきも鼻の下を伸ばして……」

 あざや君が顔をグッと近づけてくる。

「和樹先輩、あなたがかなみさんに好意を抱いているのは分かっているんですよ」

「なっ……」

 思わぬ返答に声も出ない。

「正直言うと伸二先輩にも遠慮して貰いたいですけど……あの人には……まあ、それはいいんです」

 あざや君は俺の言葉を待たずに続ける。

「かなみさんは僕の許婚です」

「…………」

「まあ、それだけです。先ほども言いましたが鼻の下には気をつけてください」

 そう言っていつもの笑顔を浮かべた。

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