もふもふ少女の水着を見て
「諸君、海だ!」
明里さんが車を出て海に叫んだ。
長い運転の後だというのに元気過ぎる姉さんだ。
一方の弟、伸二は
「……はあ」
明里さんのテンションと反比例するかの如くどんどんとテンションが下がっている。
……まあ、伸二は由美さんに任せておこう。
そして残りのメンバー、かなみさんとあざや君。かなみさんはいつも通り可愛いんだけど……
「和樹先輩……肩を貸してください」
「大丈夫かよ」
あざや君は盛大に酔っていた。田舎育ちならこれくらい大丈夫だったりしないのか……そう聞いてみると。
「田舎にこんな大きな車はありません……」
なるほど、確かに。俺を含めて六人とその荷物を乗せてもかなりの余裕があった。
とりあえず酔ったあざや君に肩を貸して海に向かった。
*
「さて……そろそろご飯にしようか」
しばらく泳いだりしていると明里さんがそう切り出した。さっき行けるギリギリの所まで泳いでいたのに何て体力だよ。
「あざや君、食べれるか?」
「はい、もう大丈夫です」
笑顔を見せる余裕があるなら大丈夫だろう。
「海の家で食べます?」
由美さんが聞くと明里さんは海の家をちらりと見て。
「あそこは少し高いね、近くにコンビニがあるからそこで済ませようか」
「じゃあ俺が買ってくる」
今まであまり口を開いていなかった伸二がそう言って上着を取り出す。
明里さんは少し不満そうに
「まあ……そっちでもいっか」
と呟いた後に俺とあざや君を指差す
「じゃあそこの二人も行ってきて、力仕事は任せたわよ、男諸君」
「まあ……いいですけどね」
そんなわけで俺たちは色気も華も無い三人でコンビニに向かった。
「あ、和樹先輩」
歩いている途中、あざや君が寄ってきた。
「なんだよ、てか近い」
「ずっと言おうと思ってたんですけど……先輩、鼻の下伸びまくってますよ」
「えっ!?」
確かにかなみさんの水着姿は……
「伸二先輩を見てください、彼女さんの水着姿を見ても冷静でしたよ。ね? 伸二先輩」
「ん? なんだ、何か言ったか?」
うわ、すっげえ笑顔。
「伸二先輩は本当に明里さんが苦手なんですね……」
あざや君は苦笑いを浮かべた後、俺を見て
「とりあえず、鼻の下は戻しておいてください」と、俺に釘を刺した。




