もふもふ少女、部屋にて失踪
「ここが私の家です」
野代さんの家は特に特徴の無い家だった。敷いて言うならば自然が多いという事だろうか
とりあえず今は動機を抑えなければ、好きな人の家に突然招待とか……殺す気か!
心の中で深呼吸。彼女の後について家に入る。
「お邪魔します……」
「私の部屋は上です」
そう言って階段を上がって行く野代さん……部屋!?
本当に今日俺は死ぬのでは無いだろうか……そんな事を考えていると台所から誰かが出てきた。
「あら、あなたが和樹君?」
「あ、はい」
エプロンを着た何処か野代さんと似ている様な女性。母親だろう
その女性はいきなり真顔になって
「和樹君……は知っているのよね?」
恐らく狸の事だろう。まだ頭の整理はついてないけど
「はい、知ってます」
「今から起こる事を見るとあなたは驚くかもしれないわ」
野代の母親は言葉を選ぶ様に少し考えて
「今後かなみにどんな対応をしても仕方ないと思う、それでも……」
野代の母親は俺を真っ直ぐ見つめて言った
「見た瞬間に逃げるなんて事だけは……しないであげて」
「は、はい」
何が……起こるのだろうか?
*
階段を上がると幾つか部屋があった。部屋の一つに『かなみの部屋』と書かれた物がぶら下がっていた。
扉が閉まっていたから数回ノックする。
「あ、先輩どうぞー」
「おう……」
好きな人の部屋に入る事、下での野代の母親との話、二重の意味でドキドキしながら扉を開けて中に入る。すると……
「あれ?」
そこには誰もいなかった。