もふもふ少女もその場所に
「……はあ」
日曜日の午後、私は一人溜息をつく。
先輩から誘われたのは嬉しかった。でも心の奥にあの言葉が刺さって抜けない。
あの後先輩はどう答えを出したのだろうか、先輩と二人になれば距離を取る事を言われるのでは無いか。
そんな事ばかりが頭の中で回っている。
「……よし!」
甘いもので少し気分を晴らそう!
*
「……はあ」
次はスイーツの店で一人溜息をつく。
まさか先輩も来ているなんて……幸い先輩にはまだ気づかれていない。
先輩は伸二さんと何か話してテンション高く席を立った。
見た感じテンションが高いのだけれど……何処か弱々しさを感じた。
いや、それより……
「どうしよう」
店を出るにはレジの前を通らなくちゃいけない。更にレジに行く前には伸二さん。八方塞がりだ。
「仕方ないか」
私はケーキを少しづつ食べ始めた。先輩達が帰るのを待つしかない。
「……よう」
「はい?」
誰かに呼ばれて顔を上げる。
「……伸二さん!?」
「そんなに驚かなくていいだろ、野代さんだって気づいていただろ」
伸二さん、気づいていたんだ。じゃあもしかして……
「あの……先輩は」
「あの馬鹿は気づいて無い、言うつもりも無い」
良かった……じゃあ何で声を?
私のそんな視線を感じたのか伸二さんはレジの方を確認して口を開く
「あの馬鹿の答えはまだ出ていない、でも野代さんと距離を置く事は無いんだとよ」
「え!」
聞いていたのを気づかれていた? いつから?
「それだけ、じゃ」
私の返答を待たずに伸二さんは席に戻った。少しして先輩が戻ってくる。
距離を置く事は無い、それはとても嬉しい。でも……
「先輩……」
それは、先輩が優しいからなのでは無いだろうか。
先輩は私の全てを受け入れて決めたわけじゃない。結局は伸二さんと結論は同じ。
答えが見つかるまでは保留、その間はとりあえず今まで通り過ごす。
そういう、考えなのかな……
更に混乱しながら、私はケーキを一口食べる。
「甘い」
甘いけど、悲しい。




