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7 森の洗礼

 急にモンスターの数が減ってきたと思えば、不審に思う間もなく異様な空気に包まれる。


 森を目にした瞬間――直感が告げる。

 ここには入るべきではないと、無意識に後退る。


 鍛冶師の隣に立つルーグは、鍛冶師への信頼や安心感からかそこまで恐怖しておらず、固まって動かないフィリーたちをどうするのかとじっと鍛冶師を見上げて訴えていた。


「怖気付いたか?」


 鍛冶師の気楽な声が耳朶を打って、フィリーたちは無意識の恐怖を振り払った。


「……そんなこと、ない」

「ここまで来て帰りませんよ」


 やる気(覚悟)を見せるフィリーたちににっと笑った鍛冶師はルーグを背に乗せると最後尾を歩き始めた。


 幻影の森はずっと何かに見られているような気味の悪さが目立った。森の青々とした感じはなく深い青や赤、紫といったまるで魔女でも出てきそうな雰囲気がおどろおどろしさを増している。


 そして、こちらを見ているわけでもないのだろうけれど、あちらこちらからする気配はどれも強く生息するモンスターが一筋縄ではいかないことを感じさせた。

 鍛冶師がフル装備と言った意味を身を持って実感した。


「まっすぐ進んで、2本目の大きな木を右な」


 よくも鍛冶師はこんなに気楽にできるものだと、幻影の森に足を踏み入れたフィリーたちは思ったが、ここで暮らしていたというのだから慣れなのだろうと深く考えないことにする。


 うなり声と同時にモンスターが飛びかかって来て、ガラドがすぐさま盾を構え攻撃を受ける。

 フィリーが剣を構え、シーナはいつでも魔法を打ち出せるように杖に魔力を込める。


 豹に似たそいつは一瞬にして距離を詰めると鋭い爪を振るい、フィリーが剣で受け止めシーナが魔法を放った。しかし直撃させてくれるほどここのモンスターは甘くはない。


 魔法で軽く吹き飛ばされたモンスターはしなやかに着地をして、再度飛びかかってくる。シーナが放った魔法は対して効いていないようだ。


「嘘でしょ」

「魔法耐性が強いのかも知れません。サポートに回りましょう」

「そうね」


 うだうだと悩むのは目の前のモンスター(こいつ)を倒してからだ。切り替えたシーナはフィリーやガラドが戦いやすいように、アルゼルとともにモンスターの動きを牽制していく。


 目まぐるしく変わる戦況はルーグには何が起きているのかよく分からないが、それでもフィリーたちが一体のモンスターに苦戦しているのは見て取れた。


「大丈夫なの?」

「勝てない相手じゃない。つーか、あれに勝てないようならこの森じゃやってけねぇよ」


 そう言った鍛冶師は意外にも冷めた目で戦いの行く末を見ていた。


 初めの一体はこの場所のモンスターのレベルを知るためにも、自分たちの実力を知るためにも重要なものだ。だから鍛冶師は手を貸すつもりはないらしい。


 フィリーの一閃がトドメとなりモンスターは倒す。苦戦は強いられたが怪我はしていない。


 幻影の森でも初戦闘を終えてフィリーが鍛冶師に問いかける。


「ここのモンスターって全部あのレベルなの?」

「まぁそうだな。魔法に関しちゃ相性によりけりだな。わりかし火にゃ強いのが多い」

「最初に教えなさいよ!」


 シーナは怒るが鍛冶師はあの一体(初め)だけはなと返した。

 この森を目にした瞬間から危険性は十分に理解しているだろうが、輪をかけて危険性を知っていて欲しかったらしい。


「あ、そうだ。少し持って帰らないとな。アルゼル、なんか適当に拾ってくれ」

「あぁ、代理を請け負う代わりに頼まれたんでしたね」


 ルーグを下ろして拾ってもいいのだが、そうすると鍛冶師がモンスターが対峙した際の危険があるため、バックを投げて拾ってくれるように鍛冶師は頼んだ。あといちいち下ろしてとか面倒くさい。


 アルゼルに頼んだのはフィリーたちの中で1番素材の善し悪しや取捨選択が出来るからだ。ブーたれているフィリーに任せると全部拾いかねない。


 拾い終わるとまた森の奥へと進んでいく。

 時折モンスターが出てくるので苦戦しながらフィリーたちは倒していく。鍛冶師は口出しすることはあるが手は出さなかった。ルーグをおんぶしているので大変なのもあるが。


 今度は2体の熊型のモンスターが飛び出してきた。


「でかい方は無視していいぞ」

「そうはいかないでしょ!」


 シーナは声を張り上げて返すが、鍛冶師は平常運転で無視していい理由を答えた。


「幻影だから」

「そんなこと……」

「ルーグ、しっかり捕まっとけよ」


 鍛冶師はルーグに声をかけてから片手だけでルーグを支えると、空いた方の手にナイフを持ってでかい方のモンスターを切り裂いた。


 流れる血も普通のモンスターと変わらない。これのどこが幻影だと言いかけて、普通とは違う点にこれは幻影なのだと納得させられた。


 魔石はなく煙のように消えていく。本来なら、灰のようなるはずで、煙のようになるのは幻影の特徴だった。


 もう一体をフィリーたちが倒し切りやがて1本目の大きな木が見え、1度休憩をすることにした。

幻影の森のモンスター


少なくともBランク以上に指定される強さを持つ。中にはSランクと言われてもおかしくないようなモンスターまで普通に生息している。


それだけならまだいいのだが、厄介なのが幻影である。この森の幻影は非常に強力なため、本物そっくりな幻影を作り出すので攻略難易度は跳ね上がる。

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