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女神と共に、相談を!  作者: 沢谷 暖日
恋する乙女の恋愛相談

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24/83

揺らぐ全身。声の衝撃。

 『私を伊奈さんに教える』


 天崎さんに言われたけど。

 それも意味が良く分からなくて、『どういうこと?』と返したけど、既読が付くだけで返信は来なかった。


 その事に、若干の違和感を抱きつつも、スマホの電源を落とし、枕の横に置いた。


 天崎さんを私に教えるということは、単に自分の事を知ってもらうということだろうけど。


 天崎さんのことを好きな人は、私の学校に大勢いる。

 私はその一部になった。

 なんだか不思議な感覚だ。

 多くの人が好きになるものを、私も好きになる。

 そういう言い方だと、普通の事の様に感じるけど……普通では無い。

 だって向こうも私の事が好きだから。

 そう考えると、なんとなく優越感の様な物に浸れるものであった。


「……でも。好きって……」


 今まで色々な人の相談に乗ってきたつもりだったけど、いざ自分がその立場になってみると難しい。


 私が抱いている感情が『恋』というのは分かる。だけど、なんだろう……。

 複雑な。ごちゃごちゃしたものがその中にはあって……。

 考えれば考えるほど、頭が痛い。


 だから……今は考えずに、これから分かっていくのが一番なんだと思う。

 天崎さんも、自分のことを教えてくれるって言ってたし。

 うん。それでいい。

 急ぐ必要は無い。


 そう、納得した。


 と、ほぼ同時だった。


 ──ガチャ。


 下の方から、玄関のドアが開く音がする。

 その音は、シーンとしたこの部屋に良く響く。


 そういえば鍵は開けっ放しだったっけ。

 楓花が帰ってきたのだろう。

 しかし今は17時半。

 少し帰ってくるのが早い気がした。

 そういえば桃杏ちゃんとはどうなったのかな。

 桃杏ちゃんは告白できたのだろうか。

 もし付き合うなんてことになっていたら、私にとっても嬉しい話だけど。

 後でそれとなく確認してみよ。


「…………」


 一分程度の間をおいて、下から階段を上る音が聞こえる。

 いつもの楓花だったら、駆けのぼって私の元へとダイブしてくるはずだけど。

 なんだか、重い足取りだ。

 ……何かあったのかな。と心配になってしまう。


 そして、足音が変わる。

 木の床をゆっくりと歩く音。

 階段はもう上りきったらしく。

 その音がどんどん大きくなっていく。

 私の部屋に来ている途中なのだろうか。


 私はベッドから身体を起こし、ドアの方を向き、その上で正座した。


 聞こえていた足音は、部屋のドアの前でピタと止まる。

 けど、入ってこない。

 やはり、何かあったらしかった。


「楓花? 大丈夫?」


 ドアの向こうへと、調子を窺う。


「……」


 返信は来ない。


「……やなことでもあった?」


 ドアへと歩みながら恐る恐る。問う。


「……」


 返ってくるのは沈黙のみ。


「えっと……」


 何か気のきいた言葉をかけてあげたいけど。

 何も浮かんでこない。


 その時、不意に、私の後ろの方からスマホが鳴った。

 天崎さんからだろうけど、今は構ってあげられない。


 一瞬それた注意をドアの向こう側に戻す。


「……」


 相変わらず沈黙している。

 だけど、気配はある。「すー」と、細い呼吸だけが聞こえる。

 姉ならここでどうするべきなのだろう。

 そっとしておくべきか、慰めに行くべきか。

 そんなの、後者の方に決まってる──!


「楓花っ!」


 ドアを開いた。

 声だけは大きく、ドアはゆっくりと小さく。


 だけど、違かった。


「──っ」


 違かったって。

 そこにいたのは妹ではなくて。


「あ、天崎、さん?」


 さっきまで車の中で横に座っていた、白いワンピースの人。

 その人が。ここに。スマホを両手に抱えて立っていた。


 思考が追いつかない。

 どうして? なんで?

 頭に浮かぶのは疑問符ばかり。


「どうして、ここに──」


 私の方へと、何も言わずに近づいてくる。

 いや、何も言わないのは知っている。

 けど、何というか。無言の圧力というか、そういうものを感じた。


 だけど。さっきまでこっちのことを見向きもしなかった彼女と、今、目が合っている。

 その彼女の目に縛られているように、私はその場で固まった。

 顔が、さっきよりも熱い。熱すぎる。

 変温動物かってくらいに、私の体温は今、上昇している。

 上昇し続けている。


 彼女は。一歩、こっちへと。

 私は。一歩も動けない。


 近い。

 すっごく近い。

 今にも、体が触れ合いそうなくらいに。


 目の前のその人は、もっていたスマホをポケットにしまった。


 そのままその右手を、私の背中へと回してきて──。

 また一歩と、近づいてきて。体がぶつかる。

 そのあと、すぐに、もう片方の手が私の背中を触った。


「〜〜っ!」


 ……ハグ。されている。

 言葉にならない声が漏れ出る。

 心音(しんおん)が届きそう。

 ……やばい、頭のなか真っ白になっちゃう。

 やばい。これは、やばいって。


 彼女は、私の背中に添えた手を、まさぐる様に搔き回す。

 くすぐったいのと、恥ずかしいのと、嬉しいのが混同した意味わからない感情を覚えながらも、私はほぼ無意識に同じ様に天崎さんの背中へと手を回した。


 なんだこれ。なにやってんだこれ。

 私もなにハグしちゃってんだ。

 恥ずい恥ずい恥ずい恥ずい。


 私。こんな人じゃない。

 抱きつかれて、抱き返す様な。そんな人じゃない。

 好きだからなの? 好きだから私は、こうしているの?

 もう。分からない。何が何だか、分からないって。


 何もわからないのに。

 そのまま、もっと抱き寄せられて。

 彼女の口が私の耳元に近づいた。


「んっ……」


 息がかかって、体が震える。


 そして。次の瞬間だった。


「だいすき」


 華奢な、掠れた様な。

 そんな声が私の耳を刺激する。


 ……天崎さんの。声だった。

更新遅れました

すみません

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後の尊すぎてやばいです! 天崎さん声出せたんですね、次回が気になりすぎて待ち遠しいです(≧∀≦)
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