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スカイバトル ―99敗中の1勝―  作者: ヤブイヌ将軍
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3/3

赤く塗りつぶされる夢

 すぐにこれは夢だと気ずく。

 俗にいう明晰夢というやつだろう。

 俺はリビングにいて、そこには両親や、理佳、そして瑠佳がいる。

 まるで録画されているビデオを見るかのようで、体は全く動かない。

「ねぇ、お兄ちゃん。これ、どうやるの?」

 瑠佳が、当時流行っていたゲームを片手に俺に話しかけてくる。

「んー、ちょっとみせてみろよ。」

 両手は勝手にゲーム機の方に動き、頭は即座にそのステージの攻略法の模索する。

「どう?」

 瑠佳が画面を見ながら聞いてくる。

「ん、わかった。ここをこうしてだな・・・。」

 よっ、ほっ、はっ。

 画面のキャラクターの動きに合わせて声を出しながらリズムよくステージをクリアしていく。

「おー、さすがお兄ちゃん。やっるねー。」

 画面を見ていた瑠佳はそのままこっちの方を見る。

 自然に上目使いをしているような格好になる。そう、ちょうど夕食の前鍋を除いていた理佳のように。

「んじゃ、さっきのとこ戻すから、もう一回やってみろよ。」

 といって瑠佳にゲームを返す。

 

 まだ、その頃はゲームが好きなころで、自分でもかなり上手だったと思う。

 たとえば、オンラインゲームならば、プレーしたゲームすべてでランキング上位まで簡単に上り詰めていった。

 一人用ゲームでも低レベルでどんどん上位のステージまで進んでいった。

 瑠佳も俺と同じようにゲームが好きで、上手と言えば上手であったが、何度もいきずまりその度に手を貸してきた。



 それがなぜ、いま、弱小の相手にも勝てなくなったか。

 その理由はこの後すぐの出来事にある。



 目の前の映像にノイズが走り画面が入れ替わる。

 あたり一面を真っ赤な色に囲まれて、全くの身動きが取れない。

 

 ここにいちゃいけない。

 すぐにここから出なくちゃ。

 助けを呼ばなくちゃ。

 

 子供の頭でそう考える。

 いつの間にか俺は視聴者から当事者に成り代わっていて、当時の色やにおい、感覚のすべてがよみがえってくる。

 

 イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ。 

 焼ける。ただれる。破ける。突き刺さる。突き抜ける。

 イタイイタイイタイイタイイタイ痛い痛い痛い痛い痛い・・・・


 頭の中を痛覚と恐怖が埋め尽くしていく。

 自分が誰なのか。何をしていたのか。何をしようとしていたのか。何をしなくてはいけないのか。

 ただ、ただ、痛覚というデータと、恐怖というゼロの数字が頭の中を塗りつぶしていく。


 イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ

 イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ

 イタイイタイイタイイタイイタイ・・・


・・・・・・

・・・

 ピピピッ、ピピピッ。

 目覚ましが耳元でけたましく音を立てる。

 あー、いやな夢見ちまったな。

 すでに薄れつつあるが、どんな夢を見たはまだ思い出せる。

 ・・・とりあえず、起きて朝飯、用意するか。

 目覚ましを止めて、頭の中を切り替える。

 今日は四月三日。新しい学期の始まりだ。

 

 理佳を叩き起こし、朝飯を食わせて学校の用意をさせつつ、こっちもまた、登校の用意をする。

 すべての用意が終わって時計をも見るとそろそろ家を出なくちゃいけない時間だった。

 玄関で靴を履いて靴箱の上を理佳と一緒に見る。

 おはよう。そして、いってきます。

 心の中で写真の中の両親と瑠佳に朝の挨拶をして、理佳と二人だけで家をでる。

 

 親も瑠佳も、もうこの家には、この世界にはいない。

 すべては俺のせいで。

 家族を事故で亡くす原因を作ったのは俺だ。

 家族に起こった悲劇はすべて俺の、そして俺のゲーム好きが原因になって起こったものだ。

 その事故からというもの、どんなに簡単なゲームもどんなに努力してもクリアできなくなった。

 

「ねぇ、兄ちゃん。何してるの?」

 ボーっとしてたみたいだな。

 少し考え事していた頭に、理佳の声が響く。

「い、いや。なんでもない。ほら、さっさと学校行くぞ。」

 そういって一歩前に踏み出す。

 今日から理佳も俺とおなじ高校の一年生になる。

 また、あんな目に合わせたくない。

 そう考えると、ゲームができなくなったこの指もまたちょうどいいのかもしれないな。

 少し雨の気配がする空を見上げながら理佳の前を歩く。

 理佳と俺は、今ではもう、互いに一人きりの兄妹で家族だ。

 二人水たまりの残る登校路を歩きだす。

 

 あぁ、そうだ。やはりあのゲームはもうタケルに反してしまおう。

 また、あんなことが起こってしまわないように。

 

 

 

できるだけ短い間隔で投稿していこうと思います。 

誤字脱字。推敲すべき点や感想などできればお願いいたします。

今回は1700字ほどです。

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