新米冒険者、始動
太陽が真上に昇り、馬車が行き交い、人々が日々の活動に勤しんでいる。
冒険者ギルドは、様々な種族の人々で賑わい、それぞれが思い思いの活動をしていた。
「サンヤ、冒険者になるにはどこで登録すればいいんだ?」チャンドラが尋ねる。
「あー…」ブドウ酒を一口飲んでから
「パープルのところに行けばいいよ」とサンヤ。
「待って、登録料とかかかるのか?」チャンドラが聞く。
「は… ん…」サンヤはチャンドラに金貨の入った袋を手渡す。
「料金は銀貨2枚だけ」とサンヤが付け加える。
「トガ、あそこに行こうぜ」チャンドラが指をさし、興奮気味に言う。
「おう、行こう」トガが答える。
二人は受付にいるパープルのところへ向かう。
「あら、あなたたちがサンヤに連れられてきた人たちね」とパープル。
「そうだよ!俺はSランクの冒険者になりたいんだ!」チャンドラが叫ぶ。
「俺も登録したいんですけど」とトガ。
パープルは木製の箱を取り出した。そこには三つのクリスタルが埋め込まれている。
「この装置に手を置くと、あなたたちのステータスが表示されます」とパープル。
「じゃあ、俺が最初にやるよ」
チャンドラが装置に手を置くと、小さな球体が現れ、パープルはそれを紙の上に落とす。
球体が紙に触れると、ステータス情報が浮かび上がった。
「はい、あなたのステータスです」パープルはチャンドラに紙を差し出す。
「すげえな、この魔法の装置。現代の機械にも負けてないぜ」とチャンドラ。
「ああ、本当だな」トガも答える。
トガが装置に手を置く。同じように小さな球体が現れ、パープルはそれを紙の上に落とす。
「どうぞ、読んでみてください」とパープル。
「なるほど、ここに書いてある情報は、力、速度、知力、魔力、それに運みたいなゲームのステータスみたいだな」とトガ。
「おい、トガ見てくれよ!俺のステータス結構高いぜ!」チャンドラが叫ぶ。
「ああ、俺は速度と力くらいしか高くないな」とトガ。
チャンドラはトガのステータスを見て目を見開く。
「お前のステータスの方が高いじゃないか!」
「ただのステータスだよ」とトガ。
「特定の条件を満たせば、ステータスは伸びることもありますよ。人によって条件は違いますけどね」とパープル。
「つまり、ステータスも上げられるってことか」とチャンドラ。
チャンドラとトガは紙をパープルに返す。パープルは二人に鉄製のネックレスを手渡した。
「おめでとうございます。今日からあなたたちは正式な冒険者です」とパープル。
二人はネックレスを受け取り、まじまじと見つめる。
「かっこいい!これで俺も正式に冒険者だ!」チャンドラが微笑む。
「ランク制度とかあるんですか?」トガが尋ねる。
「ええ、もちろん。ランク制度は7つに分かれています。スパーク、エンバー、フレア、ノヴァ、パルサー、コンステラ、ネビュラ、そしてシンギュラリティです」とパープル。
「つまり、今の俺たちはスパークランクってことか」とトガ。
「その通りです。ランクが上がれば上がるほど、その冒険者は有名になるか、あるいは王国の極秘事項になるかのどちらかです」とパープル。
チャンドラはパープルに銀貨2枚を渡す。
「登録料っていりましたよね?」
「あっ、申し訳ございません。登録料のお知らせを忘れていました。ありがとうございます」とパープル。
二人はサンヤのところへ戻る。サンヤはブドウ酒を飲みすぎて眠り込んでいた。
サンヤが両手を上げて伸びをし、目をこする。
「おー… もう登録終わったの?」
「これから何する?」トガが尋ねる。
「武器屋とか行ってみない?」とチャンドラ。
「いいな、俺はレイピアに似た剣が欲しい」とトガ。
「じゃあ、案内してあげる」とサンヤ。
三人は冒険者ギルドを出て、武器屋へ向かう。
「サンヤ、聞いていいか?」トガが尋ねる。
「宿屋の一泊料金のことでしょ?」サンヤが答える。
トガは微笑み、ため息をつく。
「すごいな、俺が考えてること、当てちゃったよ」
「だってあなた、現実的に先のこと考えるタイプだと思ったから」とサンヤ。
「じゃあ、俺はそういうタイプじゃないのか?」チャンドラが尋ねる。
「あなたはね… まるで勇者みたいに怖いもの知らずって感じ」サンヤが微笑む。
「へへ… 照れるな」チャンドラも微笑む。
トガが足を止め、路地裏の何かに気づく。
「二人とも、こっちに来て」とトガ。
「どうしたんだ、トガ?」チャンドラが尋ねる。
「何かあったの?」サンヤも聞く。
「あのガキが、男に絡まれてる」とトガ。
「本当か?」チャンドラが叫ぶ。
「行こう、急ぐぞ!」サンヤが言う。
三人はすぐに路地裏へ走っていく。
「この泥棒め!いつも俺の店に損害を与えやがって!」と男。
男は少女を蹴っていた。少女は体の下に何かを守るようにしていた。
「やめてください、旦那!」トガが叫ぶ。
「てめえら、何の用だ!」男が怒鳴る。
「なんでその子を蹴るんです!」トガが言う。
「はっ!こいつがいつも俺の店からパンやケーキを盗むんだ!」と男。
チャンドラは男に金貨5枚を差し出す。
「これで彼女の借りは十分ですか?」
「払ってもらったからには… でも次に俺の店で盗みを働いたら、殺すからな」男はそう言い残して去っていった。
サンヤは少女に近づく。
「大丈夫?」
少女が立ち上がる。彼女は猫人族のハーフだった。
「助けてくれて、本当にありがとうございます」
「どういたしまして。でも、もう盗みはしちゃダメだよ」とチャンドラ。
「そうだよ。食べ物が欲しければ仕事を探すべきだ。盗むのは違う」とトガ。
少女の尖った耳が垂れ下がる。
「おばあちゃんにあげたくて…」
「おばあちゃん!」少女が叫ぶ。
少女は盗んだケーキを抱えたまま、走り出した。
「彼女を追いかけよう」とトガ。
「なんで追いかけるの?」サンヤが尋ねる。
「サンヤ、聞こえなかったのか?『おばあちゃん』って叫んでたぞ」とチャンドラ。
「行こう、追うんだ」とトガ。
三人は少女を追いかけ、路地や道を抜け、ある場所へたどり着いた。
「おばあちゃん、来たよ!」少女が言う。
「おかえり、ゼラティア」おばあちゃんが微笑む。
「また誰かと喧嘩でもしたのかい?」おばあちゃんが尋ねる。
ゼラティアは首を振り、「ううん」と言い、持ってきたケーキを差し出す。
「おばあちゃん、これあげる」
おばあちゃんはゼラティアの頭を撫で、微笑んだ。
「ありがとう。こんな老いぼれと一緒にいてくれて」
突然、おばあちゃんが咳き込み、膝から力が抜けて床に横たわった。
「おばあちゃん… 大丈夫?」ゼラティアはおばあちゃんの手を握る。
「ごめんね、ゼラティア… もう長くは一緒にいられそうにないよ」おばあちゃんはゼラティアの頬に手を触れる。
「嫌だよ、おばあちゃん。置いて行かないでよ」ゼラティアの涙が床を濡らす。
おばあちゃんは大きく微笑み、ゼラティアの頭を撫でようとするが、その手が力なく落ちた。
「おばあちゃん!」ゼラティアの叫び声。
「一人にしないでよ、おばあちゃん… 一人は怖いよ」ゼラティアの声は涙に消えていった。
チャンドラ、トガ、サンヤはゆっくりとゼラティアに近づく。サンヤがゼラティアの肩に手を置く。
「もう泣かないで。おばあちゃんにちゃんとしたお葬式をあげなきゃ」サンヤが優しく言う。
「お姉さんの言う通りだね。おばあちゃんにちゃんとしたお葬式をあげなきゃ」ゼラティアが答える。
「二人とも手伝って。公共墓地に行くわよ」とサンヤ。
「安心しろよ、俺たちが手伝うから」チャンドラが微笑む。
トガも微笑み、そっと目頭を拭った。
四人は公共墓地へ向かい、おばあちゃんのための葬儀を執り行った。
ゼラティアは数輪の花を持ち、墓の上に捧げる。涙が彼女の頬を伝った。
「おばあちゃん、ありがとう。私みたいなビーストフォークを引き取ってくれて」ゼラティアが小声で言う。
「おばあちゃんがいなかったら、私、家族ってものを知らなかったと思う」ゼラティアが微笑む。
ゼラティアは立ち上がり、三人のところへ歩いてくる。
「おばあちゃんのお葬式、手伝ってくれてありがとう」ゼラティアが言う。
サンヤは微笑むが、涙をこらえきれず、ゼラティアを抱きしめた。
「どういたしまして。心から助けたかったの」サンヤが優しく言う。
「そうだよ」とチャンドラ。
「お金のことは気にすんな。俺たちで何とかしたから」とトガ。
サンヤは抱擁を解く。
「これからどこに住むの?」サンヤが尋ねる。
「多分… またスラム街に戻ると思う」とゼラティア。
「うーん… 私たちでパーティを組まない?」サンヤが提案する。
「いいアイデアだな」トガが賛成する。
「俺も賛成!パーティを組もうぜ!」チャンドラが叫ぶ。
サンヤは微笑み、ゼラティアに向かって手を差し出す。
「私たちと一緒にやらない?」
「うん、やる!」ゼラティアが微笑む。
「あ、そうだ。私の名前はサンヤ」
「トガだ」
「俺は新米勇者、チャンドラ!」
「お兄さんたち、お姉さん、よろしくお願いします。私の名前はゼラティアです」彼女が微笑む。
「いい名前だね。でも、私はゼラって呼んでいい?」とサンヤ。
ゼラティアはうなずく。
「うん」
「よし、それじゃあ武器屋に行こうぜ!」とチャンドラ。
四人は武器屋へ向かって歩き出す。心にはまだ重たいものを残しつつも、新たな一歩を踏み出した。
ここまで私の物語を読んでくださり、本当にありがとうございます。
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これからも精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。




