第94話 HELLO-good-byeの件
───どうしてアイちゃんはTバズーカに執着するのだろう?
どうせならTバック………いや、そんな下品なネタは品行方正、清廉潔白で静電気対策もバッチリな俺がいうネタではない。
そんな事言うと全国一千億人の女子高生に嫌われてしまう。
─────まぁ地球の人口が100億人居ない筈なので、全く根拠のない数字だ。
ちなみに根拠が無いのは大好きだ。
───え?最後の静電気対策のくだりはなんだって?
────おまけだよ。お・ま・け。
そんなに四文字熟語がポンポン出るほど知識人ではないのだ。
────そこは許せ。
「────あとは、実はこの車はAIを搭載してるんだ。」
「ほほう────アイちゃんやゴンちゃんみたいなキュートな奴か?」
「────このコントロールキーのスイッチONで起動するよ。ちなみにまだAIとしては赤ちゃんみたいなもんで、ブルーの言動を記憶して成長するんだよ!」
マナ・Bがそう言っていくつかのボタンがついているキーホルダー型のコントロールキー俺によこした。
─────ほほう、それは責任重大だな。
俺が育ての親になるということか。
なんかそんな事を聞いたら母性愛?父性愛?みたいなものが沸き上がってきたぞ。
─────これからは毎日ワックスかけてピカピカに磨いてやるぞ!
────名前も考えなきゃな!
「────アイちゃんやゴンちゃんみたいにスーパーコンピューターレベルってのはちょっと車には積めないけど、それでもこの車に積めるサイズでも、うちの人工知能は人の言葉を理解できるし、話も出来るよ!これから学習次第で性格も変わってくるだろうけど、今の時点で五才児位の知能かな。」
「────ちなみにしゃべるだけなのか?」
「────運転サポートも出きるし、命令したらガソリンスタンドに勝手にガソリン入れに行ったりする位賢いよー!」
────す、すげえ!俺なにもしなくていいじゃん!
こんな車運転するのに運転免許必要なのか?
「ブルー、────百聞は一見にしかずって言うし、とりあえずスイッチ入れてみなよ!」
「─────おう!」
──────すいっちょん。ポチッとな。
ピポっと起動音がなった。
『────ハジメマシテ』
おあぅ!喋った!
「こ、こちらこそ、初めまして!本日はお日柄も良く─────」
「────ブルー、お見合いじゃないんだから………」
────そ、そうだな!
でも緊張しちゃうぜ!
『僕ハAI搭載ニヨル自立型バリアブル・クルーザーデス。アナタのオ名前ハ?』
「────俺はブルー。今日からお前のお父さんになる男だ!」
────ピポッ
『────オトウサン、デスネ。認識シマシタ』
エンジンが勝手にかかり、ゆっくり俺の回りを一周した。
『────ワーイワーイ、オトウサン、オトウサン。ボクニモオトウサンがデキタ!!』
ヘッドライトがピカピカ点滅する。
────か、可愛いじゃないか!
そう考えたらこんな可愛い奴にTバズーカなんて物騒な物が付いていることが辛い。
お前は俺達に愛されるために生まれてきたんだ。
そんな物騒な物をつけて生んでしまってごめんよ。
いや、そんな物が付いていてもお前はお前だ。
─────絶対そんなもの撃たせないからな!俺が守ってやるぜ。
『────オトウサン、ボクニオナマエをツケテクダサイ。オナマエが欲シイデス』
「────名前か!そうだな!考えてやるぞ!」
じっくりと車を観察する。
特徴は丸いヘッドライト。
ボディカラーは小遊三師匠のような清々しい透き通った青。
「第一候補は………丸くて青い……マルアオ……アオマル、そうだな、第一候補はそれで行こう。それで3つ位考えて一番良い奴にしよう!」
『────ワクワク、ボク楽シミデス』
ウインカーがチカチカする。
第二候補は………うーん、第一候補が外見から取ったから、もうちょい違うアプローチで。
「星とか星座からもなにか候補を考えようかな……ヘラクレス…いやイメージと違うな………昴………イヤ、車のメーカーにあるな………なにかピッタリなのは………そうだな、動作がなんか犬っぽいな………おおいぬ座ってのがあったな………確かおおいぬ座のα星は有名なシリウスだったな、太陽の次に明るく見える一等星だ。そうだ!第二候補はシリウスにしよう!」
『────ワーイワーイ』
「────よしよし、もうひとつ考えたらお前に選んでもらおうかな?」
『────デモ、ボク、オトウサンニ選ンデホシイナ~』
────おうおう、可愛い奴め。
お父さんが選んでやるぞ!
もう、アオマルかシリウスのどっちかでも良いんだけど、もうひとつ最後になんか考えるか。
「────轟天号みたいに『なんとか号』みたいなのもいいな。───最初の自己紹介、確か『AI搭載ニヨル自立型バリアブル・クルーザー』だったかな。そこからなにか………AI号………ありがちだな。───バリアブルクルーザー号………いや堅苦しくて愛着わかないかもな………」
────名付けと言うものはやはりなかなか難しいものだな。
「────自立型バリアブルクルーザー………自バリクル号………もう少し短く略したら、え~っと、ジバリクル号……ジバクルゴウ……ジバクゴウ………」
────ピポッ
『────コマンド音声認識しました。"自爆-go" 当車両は機密保持の為、30秒後にデータを消去して車体を爆破します。安全の為に乗員は半径15メートル以上に退避してください』
先ほどまでとは打って変わって突然流暢な日本語で車からアナウンスがながれた。
「────え??────え??」
────なに?なに?なんのこと??
────自爆?
さっきの俺のジバクゴウってのがコマンドになってんの?
────なにそれ??
自爆ってなんだよ!?なんでそんな物騒なもんが付いてんだよ!!
「────ブルー、危ない、離れて!!」
「────イヤだ!俺の車!俺の息子!」
俺は車に駆け寄ろうとしたが、ワラワラと何処からか涌き出てきた屈強な作業服の集団に車から引き剥がされ、連れていかれた。
『─────データ消去なんて許さん!自爆なんか許さん!』
拘束を振りほどこうと俺はなりふり構わず暴れた。
ピポッ
『─────自爆動作は停止できません』
またもや流暢な日本語アナウンスが流れた。
『─────まだ名前付けてないんだぞ!!』
ピポッ
『─────オトウサン、ウマレカワッタラ カッコイイオナマエヲツケテネ』
車から片言の音声が流れた瞬間だった。
───────ドン!!
腹に響く重低音の爆発音が地下駐車場に響き渡り、車から火柱が上がった。
──────俺は数年振りに人前で泣いた。
はい。
車が爆発してしまったのでまた冒険に出られなくなりました。
当初99話で冒険の章が終わる予定だったのですが、大幅に文字数も話数もキャラクターが勝手に動くので計算が狂っております。
不遇なブルーは冒険に出られるのでしょうか?




