第93話 アイちゃんの野望の件
「────ひゃっほ~い!!」
「────やめてやめてやめて」
「────そ──れいけ~!!」
「────とめてとめてとめて」
「────わ~っはっはっ!!」
「─────ゆるしてゆるしてゆるして」
─────俺が高笑いし、マナ・Bが泣き叫ぶ阿鼻叫喚。
俺が運転する丸目の青い軽自動車は、エンジン始動後二分経過したが、バックギアに入れたっきり未だに前進せず。
わっはっは。
────俺がハンドルを華麗に切りながら高速で後ろに進み続ける。
────T.O.F.U.の地下の駐車場にマナ・Bの悲鳴がこだましつづける。
「────し・あ・げ!」
最後に大きくハンドルを切りながら手元の『NOS』と書いて有るスイッチをオンにした。
フロントタイヤが今までで最高の空回りを見せ、辺りを煙で白くした。
後部座席を支点にして車が旋回し、その段階で初めてギアを2速にチェンジした。
今まで後ろに走っていた車が初めて前に向かって走り出した。
「────うわぁ!前!前!!」
────前に向かって走り始めたと思った瞬間目の前に迫る壁。
「────神様っ!」
マナ・Bが目を見開いて叫ぶ。
ど───────ん。
────飛び散るA◯az◯nの段ボール。
ボーリングのピンの様に見事に段ボールをはね飛ばし、俺様運転の初心者マークの暴走車両がやっと停車した。
「─────ひゃっほぅ!楽しかったぜ!!」
そう言ってブルーがサイドブレーキを引いた。
「────ど、どうして初めての運転であんなことが出きるのさ………」
マナ・Bが真っ白になっている。
「────そりゃ、お前らが作った車を信用しているからだな~」
「────な、なに上手いことまとめようとしてんだよ!?普通、あんな運転出来ないよ!!」
「────そうなのか?ゲームじゃよくやってたけどなぁ………」
「────一体どんなゲームだよ!?っていうか、ゲームと同じ感覚で車を運転できる奴に初めてお目にかかったよ!!」
「────そうかぁ、誰にでも初めては有るからなぁ!」
「────そう言うことじゃなく!!ホントにブルーは驚き通り越して呆れるよ!────そりゃ、車両部も怖がって隠れるわ!!」
「────ん?車両部が隠れる?何の事だ?」
何かマナ・Bが面白いことを言ったぞ?
「────あ────あ─────!聞こえない聞こえない!!」
マナ・Bが耳を塞いであ──あ──言っている。
───聞こえないって言ってる暇が有ったら、俺の質問に答えれ。
「────もう俺は絶対ブルーの運転の横には乗らない!!」
マナ・Bが涙目だ。
「────わかったわかった。今度からうしろな?」
「────そう言う問題じゃないんだよ………」
マナ・Bが項垂れる。
「────とりあえず車の説明はこんなもんか?」
「────いや、もう少し説明しなきゃだ」
そういいつつもマナ・Bはシートベルトを外して外に出る。
────車のなかでは説明できないのか?
「────ちなみにこの車は防弾仕様でEN-B6相当の仕様だよ」
「────それ聞いても良くわからないな。どれくらい凄いのだ?」
「────通常弾頭なら大丈夫。徹甲弾頭とかだとちょっと何発か食らうと厳しいかな」
「────う~ん、通常弾頭とかいわれてもピンとこないな。ちょっとそれ用意してくれよ。────それで用意出来たら、マナ・Bが的になってくれるか?」
「────俺死ぬじゃん!!」
「────ん~、残念だ。いまいちわからんな~」
「────じゃあ、俺を的にして何がわかるんだよ」
「────失ってわかる、マナ・Bの有り難み?」
「────それくらい想像してわかってくれよ!それになんで疑問形なんだよ!!」
────まぁ、今日はこんなところか。
マナ・Bをからかうのにも飽きた。
「────さ、最後に言わなきゃならないことがある」
「────最後に?なんだ?」
「────これを見てくれ………」
マナ・Bが運転席側のドアを開けてスイッチを押した。
──────ウィーン。
微かなモーター音と共に丸目のヘッドライトが上にスライドした。
────ウィーン。
またモーター音がした後、奥から何かがせり出してきた。
「────こ、これは!?」
「────そうだよ、アイちゃんからのリクエストでさ、言っておくけど俺達は反対したんだぜ?でも、アイちゃんに『社会的に抹殺されたくなかったら~つけないとお仕置き〜』って脅されてさ、仕方なかったんだよ………」
見事に黒光りするアイちゃんお気に入りのTバズーカが2門、丸目のヘッドライトの有ったところからにょっきりと飛びだしていた。




