第92話 青い彗星の件
「────これは意表をついて丸くて可愛い車だな。────俺にぴったり」
「────そ、そうかな!?俺としてはブルーと可愛いが結び付かないけど、気に入ってくれたのなら嬉しいよ!」
───────マナ・Bはしれっと失礼な事を言ったな。
────『カワイイは正義』とか前にテレビのCMでキャッチフレーズに使われていたが、カワイイが正義なら、正義=ヒーローなんだから、俺に通じると思っているのだがな。
────とりあえず俺は車の鍵に可愛いダイオウグソクムシのキーホルダーをつけようとしている位可愛い物が大好きなのだがな。
────ダイオウグソクムシのキーホルダーはまだ買ってないけどな。
────あ、でもよく考えてみたらそんなにダイオウグソクムシって俺の好みじゃなかったわ。
ダイオウグソクムシのビジュアルをスマホで検索してそう思った。
「────ブ、ブルー、なんで突然スマホで検索し始めたの?もしかして何か怖いこと検索してる?」
「────なんでそんなに被害妄想が激しいんだ?」
「────ブ、ブルーはちょっと胸に手を当ててみて、自分の行いを省みてよ………」
「────うーん、胸に手を?─────そうだなぁ、これで思い出すことは、心臓に毛が生えてるとか、他の内臓にも毛が生えてるとか誰かさんに酷いこと言われたことかなぁ────?」
「────え?え?誰だろうね、ブルーにそんなこと言う奴って!!」
────俺はマナ・Bを指差す。
俺は死ぬまで忘れないぞ。
「────と、とりあえず車の説明するよ!」
─────誤魔化したな。
─────でも死んでも忘れないぞ。
「────え~とね、ベース車両は平成初期の物なんだけど、なかなか良い感じだと思わないかい?」
「────ほほう、平成初期の物か。相当古いものだな。そんなものがちゃんと走るのか?」
「────ブルー、うちの車両部をなめてもらっちゃ困るよ!確かにベース車両は古いけど、うちの車両部がそのまま使うわけないじゃないか!今回はエンジンは軽自動車だから660ccだけど、馬力は200馬力オーバーだからね!普通のノーマルのフレームで剛性が耐えられないのは最初からわかってるから、フレームから手が入っているからね!」
「────ほほぅ、200馬力オーバーと言うのは凄いのか?」
「────このサイズでは化け物って言っても良いかもね!軽くノーマルの4~5倍は有るね!」
「────車の剛性は極限迄高めているし、足回りも複筒式の減衰力調整ついてる車高調いれてあるんだよ!!」
「────ほほぅ」
ああ、どんどんマナ・Bの説明に熱が入ってくるが、全く言っている意味がわからん。
でも喋りたいみたいだし、放っておくか。
─────まぁ、この間助けてもらった時の借りをここで返すか。
通常なら冷たく切って捨てるところだが、生暖かい目で見守ってやろう。
────でも、死んでも忘れないけどな。
「────馬力に関してはターボ+スーパーチャージャー+NOSをダイレクトポートで取り付けて実現してるんだよ!冷却にインタークーラーなんかもつけてるのにほとんどノーマルの外観を保ってるってかなり凄いんだよ!!」
「────そんなのを初心者の俺が運転出来るのか?」
「大丈夫!NOSをオンにしたり、アクセルさえおもいっきり踏み込まなきゃ、普通はスーパーチャージャーの恩恵しか感じないよ!!」
「────じゃあ乗って見ても良いか?」
「────ああ、俺が横に乗って説明するよ」
───バタン。
────キュルキュル、ブオン。
────おっ、エンジンかかった!
「────電気自動車にするって案も有ったんだけど、色々皆で検討会やってあえてガソリンエンジンにしたんだぜ?」
「────まずはゆっくりバックして方向転換してそとに出ようか─────ぁ!?」
マナ・Bが思いっきり前のグローブボックスに頭をぶつけた。
フロントタイヤが白煙を上げて空回りし、勢い良く後ろに向かって走り出した。
「わ────い!早い早い!」
─────俺はマナ・Bの言うことなんか聞かず、バックギアに入れて思いっきりアクセルを踏み込んだのだった。
はい。
例のごとくブルーは人の話なんか聞きません。
本能のままに、有るがままに、わがままに動きます。
マナ・Bのスリルドライブの始まりです。
助手席に乗ったのが運のツキです(笑)




