第67話 卒業────その後で。
あれから数日は自動車学校の行き帰りのシャトルバスの中での話題がいくつかあった。
───その話題のいくつかに自分が登場するのが困り事だったが。
まずは一番大きい所であの犬と猿のミクスチャーを相手にした事件がワイドショーなどで取り上げられたことだ。
場所がここからそれ程離れていない場所だったこともあり、野次馬根性で現場まで行ったという猛者………と言うか、暇人達まで居た。
正体不明のヒーロー出現と大きく報道され、大半が興味本位な取り上げかただったが、重々しく報道するニュース番組もあり、内情を知る本人としては中々きついものがあった。
─────なんせ、なんちゃって外国人のおっさんが率いる組織のぼっちヒーローだからな。
「───名乗り?ああいうの、なんか寒いよね~」
大半が好意的な反応だけど、あの『名乗り』についてはこんな否定的な意見も多い。
「───変身するのに必要ないじゃん!」
────いや、要るんですよ!必要なんですよ!
君たち良くわかってないからそんな事が言えるんですよ。
─────あれ?でもホントに要るのかな?
元々は変身前だったけど、今は変身した後でいいんだよな??
────も、もしかして俺、皆に騙されてる?
そんな外を考えていた時だった。
「───なに真剣に考え込んでるんですか~?」
もう一つの話題の原因が後ろの席から身を乗り出して俺の頭の上から話しかけてきた。
────そう、顔面の主だ。
毎日俺の部屋に乗り込んで来て、カップラーメンを食べさせろと要求するこの容姿端麗な人物のお陰で俺自身がこの小さなコミュニティで話題になっている。
相変わらず顔面の主目当ての男達がホテルの周りをうろちょろしてるから、顔面の主が注目されるのは理解できる。
あの後も同じ自動車学校に通う陽キャが顔面の主に絡もうとちょくちょく声をかけていた。
だが、それらには目もくれず冴えない俺に絡む顔面の主。
────まぁ、端から見ても理解に苦しむわな。
────ちなみに俺も理解に苦しんでるよ。
そんで俺はホテルの高級な部屋に滞在してるって事で、すげぇ金持ちなんじゃないかとかヒソヒソ話しも聞こえる。
─────ホテルの配慮でその部屋に泊まってるだけで、払ってる金は君達と同額だよ───とはホテルから口止めされてるから言えないけどな。
「────免許取ったら車とかどうします?」
「車は仕事関係の知り合いに探してもらう事にしてるよ」
「へぇ~。私は家にある車です~。免許取ったら楽しみにしてます~」
「そうだなぁ、車は俺も楽しみだなぁ。どんなの来るか完全に車は任せてるからなぁ………」
そう、マナ・Bを脅して──いや、お願いして安い車を探して貰ってるのだ。
モチはモチ屋っていうから、車は車屋だ。
────マナ・Bは車屋かって?
厳密には違うけどな………まぁ、俺の周りでは車に一番近い男だな。
マナ・Bなら、車が調子悪くなったら文句いえるしな。
アフターの事も考えてのチョイスだ。
「───私が楽しみにしてるのはちょっと違いますけどね~、まぁ良いです」
そう言って顔面の主は自分の席に座りなおした。
───うん、車はちゃんと座ってシートベルトきちっと締めなきゃ駄目なんだぞ。
俺は自分の横の席に置いた荷物に視線をやった。
荷物で隣の席を塞いだのは、俺の近くにくるなよ、俺に話しかけないでくれよ、のサインだったのだが………。
───あいつ、ここに荷物置かなかったら、ここに座る勢いだったもんな。
更なる対応を迫られそうな予感がしていた。
お久しぶりです。
第三章突入です。
他の作品をちょっと書いてましたが、あまりの不人気にこの作品に戻って参りました。
ありがたいことにこの作品は最後に更新した後も細々と読んでいただけていたようで………。
───ありがたや、ありがたや………。
戻って来た理由は、他のは投稿した瞬間のみしか読んでもらえないのを考えると、こちらを書きすすめるべき!との判断です。
で、問題は書き貯めたの?
─────と言うことになりますが
──────書きためてないです(笑)
これを読んでいる人の中には「貯金はしてるの?将来の事を考えているの?」とか親兄弟や恋人に言われている人もいるかもしれませんが、今回の私の場合は「ありのままの今をみてくれ!」と言う他ありません(笑)
────そんな感じですが、またしばしお付き合いを。




