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戦隊モノの青にされたけど俺以外は敵に寝返った件  作者: 観音寺 和
たった一人の戦隊ヒーローの苦悩
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第45話 顔面の主の件

「────ちょっとお聞きしたいことが」


 突然俺の視界に顔面が出現した。

 ────しかも至近距離。


「───なんすか?」

 ────突然の事に普通に返す俺。

 突然理解不能な事が起きると、人間意外と慌てないものだな。


「合宿免許の受付は何処ですか?」

「────あっち」

「ありがとうございます」


 顔面が至近距離に現れてから三秒位の出来事だった。


 ────その後、顔面はいい香りを俺の周りに残して受付に歩いていった。


 ────いや、ごめん、俺の言い方が悪かった。

 ────顔面に足が付いてる訳じゃないんだ。


 顔面の主は、突然俺の眼前に鼻先がくっつくほどに顔を近付けて来たのだ。


 ───その状態で受付の場所を俺にたずねたわけだ。

 突然待合室の隅っこの方の椅子に座ってる俺の目線までしゃがみこんで受付の場所を訪ねたから、俺には目の前に顔面が現れたように見えたのだ。


 後になってちょっとビックリしたが、顔面の主はかなりの美女だったと言うことだけ報告しておこう。

 ───でも、出会って三秒でグッバイだぜ。


 数年前の俺ならばこれが何かの出会いに繋がるのではないかとか、淡い期待を胸に抱いたりしたかも知れないが、そんな事にはならないと既に悟りを開いた俺にはわかっている。

 ───危うく勘違いして新たなる黒歴史を紡いでしまうところだったぜ。


 ───俺が分析するに、顔面の主はド近眼だな。

 しかもただのド近眼ではなく、超弩級ド近眼に違いない。

 あんなにどデカく受付と書いてある看板が見えないのだから。

 だから俺に受付の場所を確かめるにも顔を近付けないとわからなかったのだ。

 ────きっとそうだ。そうに違いない。

 ────絶対俺は騙されないぞ!


 でも正直言って、受付の場所を聞くために、なぜあんなに至近距離まで顔を近付けて来たのか全く理解に苦しむが、その副産物として、その光景を見たさっきの陽キャ共が口を大きく空けて黙ったのは滑稽であった。


 ────ありがとうよ、顔面の主!

 ………スッとしたぜ。


 俺は何もしてないが少し顎を付き出して見下すような目線で陽キャ共に視線を送る。

 ありがとうよ、顔面の主!

 あんたのお陰で少し心に余裕が出たぜ。

 今ならあの陽キャのドリンクに正露丸が入っている呪いとかをかけることが出来る気がするぜ。

 ─────やんないけどな。


 ────とりあえずスマホでも出してニュースサイトでも観るとするか。


 ちなみに、今回は事件が有っても自動車学校に通っている間には出動しないことになっている。


 俺不在の時は国家権力そのいち───主に警察の人が頑張ってくれるらしい。

 国家権力そのに────自衛隊の人はちょっと問題になるかもなので最後の最後の最後までG-バースト団とは直接やりあわないらしい。

 その代わり、被害を最小限に押さえるバックアップをしてくれるそうだ。


「────普段矢面に立たされるうちの組織の有り難みをわかって貰えるチャンス」と、おっさんは俺に得意げに言ってきたが、

「────おっさんずっと司令室じゃん」との俺の突っ込みに涙目になりながらも、

「イエローを説得に出張したよね!?」と生意気にも言い返してきたので、

「────で、なんの役に立った?」の俺の駄目押しに、涙をちょちょ切らせながら司令室を走って出ていった。


 ───ちなみに、誰も引き留めなかったし、誰も仕事の手を止めることはなかった。


「皆薄情だな」と司令部で聞こえるように呟いたが、

『みんなブルーを恐れてるからね~』とのアイちゃんの突っ込み。


 アイちゃん曰く、おっさんの味方をしたらその後に俺にどんなに酷い仕返しを受けるかわからないと、司令室にいた者達は、俺の呪い(?)を恐れて追いかけなかったというのだ。


 ────失礼しちゃうわ!

 ぷんぷん!

 その場合は血だらけのコッ◯のフ◯子さんを飾って、ちょっと日本ではお目にかかれないジュースなんかを差し入れに持っていってあげるくらいしか思い付かないけどな。

 もちろん飲み干すまでニッコリ笑ってその場を離れないけどな。

 それくらいだから、そんなに恐れなくても良いと思うの!

 ────きっと、一応、多分、人間の飲み物だし!

 だって食べ物を粗末にしちゃいけないから飲み干すまで見てるだけだし!


 ───ああ、我ながら不謹慎。


「────!?」

 そんな事をスマホをみながら考えていたところに、唐突に俺のすぐ横の席にさっきの顔面の主が座りやがった。

 いっぱい席が空いているにも関わらず、俺の真横だ。

 少し太もも辺りに体温感じる位の距離だ。

 ────というか、太もも当たってるんだけど。

 俺のパーソナルスペースに入って来やがったな!?


 ────後で痴漢とか冤罪で訴えられては敵わん。


 そっちがその気なら、こっちにも考えがある。

 ──────そっと座席を一つ横に動く。

 ──────顔面の主も同じく一つ横に動く。

 ──────あ、コイツ、わざとか!?こっちに接近してきやがった!

 敵か!?俺の敵なのか??

 しかも女性って事は俺の天敵か?

 陽キャと言い、コイツと言い、ここは戦場か!?


 ──────しばらく落ち着いて考えてみる。

 その他の可能性を模索する。

 ────も、もしかして知り合い?

 ────そう言う落ちか?

 ────場合によっては親戚とか??

 そういえば、さっきは顔面近すぎて顔をよく見れなかったな。

 なんとか確認せねば。


 ………………

 ………………ちら。

 ─────さりげなく受付の方の時計を見る振りをして顔面の方の顔を確認する。


 ────全然知らん顔だ。


「───さっきはありがとうございました」

 顔面の主がニッコリ微笑んだ。

 悪意のない笑顔というか、さりげない笑顔?

 ────そう言う微笑み久しぶりに見た気がする。

 モナリザが微笑んでいるように見えない俺だが、これはしっかり微笑みと認識できたぜ。

 だが、そんな微笑みには騙されないぞ!

 俺は壺とかマンションの投資とか絶対しないぞ?

 ────被害妄想が強すぎじゃないかって?

 ────何を隠そう、危うく買わされそうになった経験者だぞ、俺は。

 それ以来、騙されない様に詐偽の手口は調べまくっているからな。

 詐偽に遭うやつは詐偽に何回も引っ掛かりやすいんだぞ!

 ────これ豆知識な!

 だからそれ以来ずっと騙されない様に気を付けているんだぞ!

 警戒しすぎてチャンスを逃した事も有ったかもしれないが、そんなのは関係ない!

 騙されるって事はチョロいって思われてるって事だぞ!

 ────それは俺のポリシーに反するんだぜ。


 それじゃぁ、ビシッと言ってやるとするか。


「──────いえ、どういたしますて」


 ─────────あ、普通だ。

 ─────────しかも噛んだ。


────ヒロイン成分、少し入れときますか。

まだヒロインになるかどうか謎ですが。

いかがですか?

……………

……………。


───そうですか、顔面の主………駄目ですな。




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