第41話 ピンクピン太郎の件
「ブルー!俺と勝負しろ!俺はお前より凄い!それを他の奴らにわからせるために、ここを戦いの場に選んだんだ!」
─────うむ、俺を倒すことで自分を認めさせようってこと?
なんで俺より上だとか他の奴らにわからせる必要あんの?
────あと、他の奴らって誰?
────普通に考えたらG-バースト団の奴らかな?
────そ、それとも、もっとグローバルな感じ?
──────うーん、最近の若い子の考えることだからなぁ………。
「────うーん、俺はブログとかSNSとかやってないからなぁ………フォロアー数の勝負とか言われてもなぁ………困っちゃうなぁ」
「─────俺がいつフォロアー数の勝負とかいった!?」
───グリーンが吠える。
うむ、フォロアー数では無かったようだ。
最近の若い子だと思ってちょっとそっちに寄りすぎたか。
「─────じゃあ熱湯風呂?」
「なにが悲しくてこんなとこで熱湯風呂入らなきゃいかんのだ!─────お前の飛躍する発想が俺には理解できんわ!!」
───熱湯風呂でも無かったようだ。
「浄水場だから熱湯風呂やるための水は有るし、さっきからお前は、他の人に何かわからせるとか言ってるし、なんか告知でも有るのかな~って」
「告知なんかないわ!────それに、わざわざ浄水場で水からお湯沸かして熱湯風呂やるとか、ご飯炊くのに米育てるとこから始める様なもんだろうがっ!?」
「─────ごめん、なに言ってるか意味わかんない」
俺の素直な言葉を聞いて、グリーンが拳を握りしめる。
ご飯食べるために育てるところからって、お米を育てている農家さんなら常識だよね。
そんな話を引き合いに出すグリーンの意図が、俺には全くわからんね。
「グリーン────もっと常識を勉強してほしいね」
「ぐぁ──────!!!」
あ、グリーンが狂った。
頭をかきむしって悶絶している。
「──────ほらほら、そんなにかきむしると禿げちゃうぞ────?」
…………………。
…………………。
───それからグリーンが落ち着くのに2~3分かかった。
ちょっと固めのラーメンが好きな俺なら、もうカップ麺が作れた時間だ。
────俺の貴重な調理時間を返せ。
「──────はぁはぁ参ったよ、降参だ。流石イエローを倒し、レッドがお前の事をライバルだと公言しているだけの事はあるな。全くこちらのペースにならない───」
「────降参?グリーン、俺はまだお前に何もしてないが?」
ちょっと軽やかなシャドウボクシングをしてみる。
「───今日は降参だ。イエローを倒し、レッドが認めるお前を俺の手で倒してやりたかったんだがな─────だが、与えられた戦闘員を全滅させてしまった時点で今回は俺の負けは決まった様なもんだ」
「────まだなにもしてないのだが………」
なんかグリーンは自分語りモードに入って俺の話を聞いてくれない。
「────お前の得意なフィールドである水場でお前を倒せばピンクに振り向いて貰えると思ったんだがな………」
あ、こいつもピンク信者だったな、そういえば。
こいつといい、レッドといい、ピンクピンクと、煩いな。
───もうお前らなんかピンクピン太郎だ。
「技は違えど、同じ強度のスーツ、俺の有利な所で勝負してもピンクは振り向いてくれないだろうからな。あえて技に水が必要なお前にあわせて勝負の場を選んだのだが、勝負以前の問題だったようだ」
俺の必殺技に水が必要だからここを設定したってこと?
だとしたらこいつ、実は良い奴かもしれないな。
───でも、俺の技は自分の水分使って繰り出す以外でも技があるのかな?そういえば確認してなかったな??
「────アイちゃん、もしかして俺の技、身体の水分使う以外でもいけたりするの?」
『この間の身体の水分を使う方が特殊な使い方だよ~。この間は採石場で水がなかったからね~。実はこの間のウォーターガンとかウォーターソードも、ほんとは水に触れているとそこから給水するんだよ~。 ちなみに、そっちだと水の供給量も多いからもっと強力な技になるよ~』
────うぉう、衝撃的な事実が判明。
水に触れてりゃ自分の水分使わなくて良いのかい。
─────もっと早く教えてくれよ。
「─────そこで俺がレッドに言ってやったんだ!ピンクの事は───」
────俺がアイちゃんと話している間もグリーンは自分語りをしていた。
────アイちゃんと話してたし、興味ないから聞いてなかったけど。
───ちょっとイライラする。
「……………ブルー・ウォーターガン」
俺はグリーンの足の小指に向かって一発発射してみた。
「───い、痛ぇ!」
───あ、効いたみたいだ。
グリーンが話を中断させて足を引っ込める。
「話してる途中で何すんだよ!」
「─────ピンクピン太郎!お前、俺に世間話をしに来たのか?」
俺は不機嫌を露にしてグリーンに言い放つ。
俺は他人のペースに合わせるのは嫌いだ。
「────世間話!?ちがう!それに俺はピンクピン太郎じゃない!!」
いや、もうお前らなんか俺の中でピンクピン太郎だ。
個人名ですらない。
お前とレッドを包括してピンクピン太郎だ。
「───もう一度言うが、ピンクピン太郎、お前はどうしたいんだ!?」
「────もういい!」
グリーンはそう言うと少し後ろに下がった。
「───グリーン・ディープフォレスト!」
グリーンがそう叫ぶと、辺り一面に木葉が乱舞し、俺の視界を奪った。
「─────今襲われたらひとたまりもないな」
今日グリーンの初めての攻撃に身体を防御するように身構えた。
この状態ではどこから攻撃が来るか全くわからない。
………………
…………………ん?
しばらくグリーンの攻撃を予想して身構えていたが、なにも起こらないまま木葉の吹雪が収まってしまった。
「───グリーンはどこに行った!?」
周りを見回したがグリーンの姿はない。
大量の落ち葉をカムフラージュに使っているのかと視線を変えて見たがそんな感じもない。
「ブルー・ウォーターガン」
俺は川に片足を突っ込んでウォーターガンを使った。
身体の水分使わなくていいから、手のひらからドバドバと水を出して落ち葉を洗い流すことが出来た。
「─────消えた」
一面にあった落ち葉をあらかた流してきれいにしたが、グリーンの姿はない。
グリーンはあの木葉で俺の視界を奪っている間に逃げたようだ。
────でもどうやって?
ここは結構見通しがいいのだが………。
車を使ってもあの時間では視界から消えることなど不可能だった。
取水塔も調べたが、鍵がかかっていて入ることは出来ない。
川に飛び込んだ形跡もなかった。
─────消失トリックだ。
「アイちゃん、グリーンが消えたよ!」
『そうだねー、付近の防犯カメラ映像と衛星画像見てもグリーンはみつからないね~』
『───吾が輩はどこに行ったかわかるぞ』
「あ、ゴンちゃんわかるの?」
『グリーンが消えた付近のマンホールをみると証拠がのこっている』
「───え、どれどれ?」
俺はいくつか並んだマンホールを調べた。
『真ん中、マンホールの蓋との間に木葉が挟まってる』
「お、ほんとだ!すげぇ!ゴンちゃんよくきづいたね!」
『ブルー、これからグリーンを追いかけるのか?』
───追いかけるのかって?
ゴンちゃん、俺はヒーローだよ!
────聞くまでもないでしょう。
「───この中臭そうだから、もう帰る」
ヒーローの前に俺は人間だった。
このマンホールは生理的に受け付けない。
俺は変身を解いてマナ・Bの車に乗って帰った。
───だって臭いの やなんだもん。
─────ピンクピン太郎。
昔、上野のパンダの名前にはなりそこねましたが、
最高の響きだと思っています。
多分一生忘れない。
このネーミングセンスマジでリスペクト。
リスペクトし過ぎで数年越しにこんな所で連呼してます。
ああ、ピンクピン太郎FOREVER!




