第42話 コミュ障な男の件
「とりあえず今回の初の取り組み、アイちゃん的にはどうだった?」
帰りの車で今回の名乗りについてアイちゃんに確認する。
やはりこの様な場合は、カラオケとか人前での発表に関してと同様にオーディエンスへのリサーチは大事だ。
────ちなみに俺はカラオケも歌わないし、人前での発表も基本的にはしないけどな。
とにかく俺と言う男はこういう時は口だけ番長だ。
心ではこれっぽっちもやろうなんて思ってもいない。
────とりあえず思い付いただけなのに俺はわかってるアピールがしたかっただけだ。
それにコミュニケーションスキルのない俺がリサーチなどする訳がない。
というか、そんなシチュエーションに出会うことがない。
カラオケにいく友達もいないしな。
─────これ以上は言わせるな。
俺は身内には自然体、でも世間体だけは気にする、そんなタイプだから、今後のためにも理解しておくように!
『アイちゃんの講評はね~①長い②哀愁漂ってて良い③最終的には何が言いたいのかわからない④でもブルーらしさが出ていて良い、だね~』
───アイちゃんは下げといて上げるタイプのようだ。
あれだな、不良がちょっと良いことすると株が爆上げする例の効果を演出してる感じだな。
アイちゃん、俺に勘違いさせるなよ?
『ちなみにアイちゃんが付けた点数は50点!』
お、おぅ………意外と辛口だった。
『今後に期待する感じを込めてニュートラルポジションだよ~。今回も無茶振りに対して期待以上で返してくれたから今後が楽しみ~』
───あ、無茶振りなのは自覚してるのね。
さすがは小悪魔電脳娘。
『それから、マナ・Bが意外に高評価つけたよ~』
アイちゃんが50点と言うことだからマナ・Bは90点付けてくれたと言うことか。
ま、まさか………もしかしてマナ・Bは俺の事を!?
────だが、俺の人生いくら女性に相手にされないとは言え、俺にはその気は無いことは伝えておかねば。
「………マナ・B、俺に好意を持っても、俺には応えてやることはできないぞ」
「─────俺にもそんな気は微塵もないよ!!」
────なら、なんでそんな高得点?
「───あそこで俺が低い点付けたら、絶対後でブルーに酷い仕返しされるじゃん!」
────まぁ、そうだな。
忖度したわけね。
いいね、忖度!
ついでに接待なんかもしてほしいぜ。
『マナ・B、男らしくな~い』
「な~い」
───すかさず俺もアイちゃんの真似をしてマナBを煽る。
「アイちゃん、ブルー、ホントにこの短期間で息がピッタリだね………でも、アイちゃんブルーが来てから変わったよね………俺はなんか悲しい………」
あ、マナ・Bが落ちた!
ガックシ来てる!
───これはまずいぞ!
今マナ・Bに戦線離脱されるのは非常にまずい。
なんせ俺は免許持ってないから誰かに送ってもらわなきゃならない。
敵が出現した時は今はマナ・Bが現場まで送迎してくれるが、俺は基本的にコミュニケーションは得意ではないので、マナ・Bが離脱した場合に新しく配属される人と上手くやっていけるか未知数だ。
未知数────と言うより、自信がない。
だから、マナ・Bの様なおもちゃ………ゴホンゴホン、人物は貴重だ。
基本的に俺はコミュ障だ。
他人と良好な人間関係を構築したことがない以上、そこは配慮していただきたいところだ。
そう言う意味でマナ・Bは俺にも配慮できる大人な人材だ。
────という訳で、今の所マナ・Bの様に俺に忖度して90点も付けてくれる人材をメンタルヘルスのカウンセリングやサナトリウム送りにするなんて事は俺にとっては不本意だ。
うむ、ここはコミュニケーション障害でありながら、澱んだ空気だけは読める俺様が一肌脱ごうじゃないか。
─────ちょっとだけよ~ん。




