第32話 負けられない戦いがここに無いの件
「イエロー・ライトニング!!」
───ま、眩しい!
イエローが一瞬まばゆい光に包まれた。
思わず目を閉じてしまい、イエローを見失ってしまった。
「ど、どこだ!?」
「イエロー・サンダーボルト!!」
────真上から声が聞こえた。
咄嗟に俺は横に飛ぶ。
────ドーン!!!
物凄い轟音と共に地面に大穴が開く。
「ブルー、さすがね。まさか初見でこのコンビネーションを見切られるとは思わなかったわ」
────自慢じゃないが、俺は真上からの攻撃には強いんだ。
授業中に居眠りがバレた時、先生のカミナリが何度落ちたことか。
俺は、その度に真上から繰り出される先生の拳骨を華麗に掻い潜ってきた男だぜ。
必殺技名を叫んでから突っ込んでくる奴の拳なんか、俺に当たる訳がない。
「────貴様の拳は俺には届かん!」
………ちょっとポーズつけてイエローを指差してカッコつけてみる。
そこで小声てアイちゃんを呼び出す。
『な~に~?』
「アイちゃん、俺のウォーターガンってやっぱり水分持っていかれるの?」
『うーんウォーターソードよりは少ないよー。1000発打ってペットボトル一本位かな~?………でも、威力は弱いから、イエローとかのスーツは貫通したりしないよ~』
「───威力が弱いの?」
『他の技と比べたらね~。それに、弱いって言っても、お巡りさんの拳銃よりは威力あるんだよ~。でも、スーツの性能が高いから、イエローには効果が少ないかな~?あのバスの爆発とかでもイエロー無事だったでしょ~?
………でも、当たってるのは感じると思うよ~痛いかどうかは別として~』
スーツの性能はそこまで高いのか。
うーん、とりあえず時間を稼ぐだけかも知れないが、ウォーターガンをガンガン撃ってやるぜ。
その間に何か対策を考えるしかないな。
「ブルー・ウォーターガン!」
右の人差し指で狙って力を込める。
プシュッと小さい音がして水の弾丸がイエローに当たる。
「───きゃっ!」
───お、可愛い声を出すじゃねぇか!?
────よし、続けてこうだ!
───えい、えい、えい。
「───きゃっ!なに!?イヤン!」
───あれ?何か思ったのと違う反応だよ?
───えい、えい、えい。
「────イヤン、やめて、お願い!」
────もしかして、こう言うのに弱いのかな??
───えい、えい、えい。
「────うぅ………やめてよぉ。くすぐったいのには弱いのよぅ」
イエローがその場にヘタりこんだ。
「───降参するからもう撃たないで~」
あれ?時間稼ぎのつもりが勝っちゃったみたいだよ?
────あれ?俺の戦闘の初陣は無血勝利?
敵味方、無血勝利って誇って良いよな!?
バスと一緒に爆発した敵戦闘員三名は俺じゃなくてマナ・Bの手柄だしな。
今度、マナ・Bを人殺しって罵ってやろうと心に誓った。
───何せ俺は、無血勝利のブルー様だからな。我にひれ伏せ!マナ・B!!
俺の鼻っ柱がピノキオを越えて、ぐんぐん伸びた。
──────ボンッ!!!
そんな時俺の目の前に炎の柱が燃え上がる。
「どうなってるかと来てみれば………」
目の前に現れたのはサイドカー付きの大型バイクに乗った赤いヒーローだった。
「───────レッド!」
「───お前とも在ろう者が、どうしたって言うんだ!?」
レッドがバイクを降りてイエローの方へ歩いていく。
「レッド………誰かに私の監視でも命令されたの?」
「心配して来てやったってのに、なんて言い草だ」
レッドはやれやれのポーズで立ち止まる。
「命令が無ければ、あなたはピンクのお尻を追いかけてばかりだと………」
そんなイエローを無視してレッドがピンクをお姫様抱っこの様に抱き抱える。
「────ピンクの尻を追いかけるだって?」
レッドがイエローに顔を近付ける。
「失礼だな────俺はおっぱい星人だ」
そういうと、レッドはこちらに見向きもせずに、そのままイエローをサイドカーに乗せた。
────完全に俺は空気だ。
「ブルー、今日のところはこれくらいで勘弁してくれ。おっぱい………いやピンクが待っているんでな。お前とは初めてだが、お前とはライバルとして良い勝負が出来そうだ。だが、今はその時じゃない」
───そう言ってレッドはバイクに跨がる。
「────勝負は、ギャラリーにギャルがいっぱいいる所でな!」
そう言って下ネタのハンドサインを俺に向けたあと、バイクを反転して走り去った。
───俺としたことが、なにも出来なかった。
ヒーローモノなのか、メロドラマなのか、コントなのか………俺は呆気にとられて固まっていた。
あの潔い位のエロ男………あいつは俺の事をライバルと言ったが、俺としてはライバルとは認めたくないものだな。




