二章 白き羽と黒き瞳
彼女は顔をみなに背けるようにして、言われるがままに檻の中に入った。
途端に錠がかけられる。
「衣装係を採寸に行かせるからそれまで待っとれ」
支配人たちはぞろぞろと倉庫を出て行き、また静けさが戻った。
ラファエルは彼女が風邪を引く前に何か着せてあげたいと思い、倉庫を探し回った。
だが古い暗幕しか見つからずに、仕方なくそれを手に戻った。
「寒いでしょ?
毛布の代わりをもってきたよ」
ラファエルが近づいても彼女は躰を守るように小さく丸まり、羽で全身を覆い隠そうとしていた。
「こんなものしかないけど、ないよりましだから……」
ラファエルは格子のすきまに暗幕を押し込んだ。
「あの……名前は、なんて呼んだら良いのかな?
僕はここで世話係をしているラファエルって言うんだ。
これからはきみの世話も……」
少女はラファエルの名を聞いて唐突に顔を上げた。
ラファエルのことをじっと見つめている。
その真っ黒の瞳からは表情は窺えないが、その眼差しは何かに驚いているようにも見えた。
「えっと……」
言葉が通じているのか、ラファエルには自信が無かった。
外国の子かも知れないし、そもそもここまで半獣化していて話ができるのかもわからない。
だが彼女を覆っている青い羽根はとても美しかった。
絹みたいな白くさらさらとした肌も光沢を放ってきらきらと輝いている。
その腕で隠された胸元にラファエルの目は釘付けになった。
「……!」
その目線に気がついて、彼女はラファエルの視界から隠れるように後ろを向いた。
「ああっ。ごめんっ。
そんなつもりじゃっ」
それっきり少女はラファエルとコミュニケーションを取ろうとはしなかった。
「また……食事のときに来るから」
興味本位でじろじろ見るような真似は彼女たちが一番嫌うと経験的にわかっているのに、 ラファエルは自分の軽率な行動を悔やんだ。




