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二章 蝶姫エマ

数日後、倉庫に新しい檻が持ち込まれた。


クララの近く、いまは使われていない飾り馬具が多く積まれている場所だ。


「はっはっ。これ以上営業に穴を開けるわけにはいかんからな」


支配人ミステルは大きな顎をなで上げて笑みを浮かべた。


男たちに軽々と抱えられて人の大きさほどの木箱が運ばれてくる。


「おい、あまり乱暴に扱うな。

 大切な商品だぞ!」


その言葉を理解したのかしていないのか、男のひとりが無造作にバールで蓋をこじ開けた。


木箱の中に腕を突っこんで引っ張りだすと、手首を掴まれた少女が顔を出した。


「そのまま檻に放り込め!」


木箱の外に出された彼女の姿を見て、ラファエルは衝撃を受けた。


背中から生えた大きな青い羽根。


おでこの辺りからのびる二本の触覚。


可哀相に服も支給されずに白い肌が寒いなか晒されている。


手足やあばらは驚くほど細く、骨と皮しかないようだ。


アーモンドのような瞳は黒目ばかりで、表情は良く読み取れない。


ラファエルがいままで見たなかでも、もっとも半獣人デパエワールといえる姿だった。

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