さようなら、十号船
2400年6月13日
ケイにシオンが亡くなった事を話した。
ケイはルオをもっと早く止めれていればと悔しそうに言っていた。
船員達の方に気を取られてしまっていたらしい。
私も何も出来なかった…
シオンもシオンの両親も誰も助けれなかった…
今、私達は機械室で九号船と繋ぐ時を待っているけど船員や黒の頭巾の集団が来る中で果たして九号船に乗れるだろうか…
でもここで頑張らなきゃこの十号船と心中する事になってしまう。
場合によってはこの銃を使うかもしれない…
もし私は行けなくてもケイとリリィは九号船に逃げて欲しい…
2400年6月14日
外が見れないから船が動いてるのか止まっているのかわからない。
機械の動く音と上からたまに誰かの足音が暗闇の中で静かに響いている。
2400年6月15日
ケイが九号船に乗れたらすぐに機械室や人が居ない安全そうな所に行こうと提案してきた。
九号船に乗れたからといって安全ではない可能性が高いからだ。私もリリィもその意見に賛成した。
十一号船の人達もこんな気持ちだったのだろうか、それとも十号船に希望を抱いていたんだろうか…
彼らはまだ生きているんだろうか…
2400年6月16日
昨日、目を覚ますと上から複数人の足音が響いてきた。耳を澄まして聞いていると”道を開けろ”や”早くゲートを”などと言いながら争っているようだった。
言い争いは何時間も続き、足音も増えてきた。もしかしたらもうすぐ九号船と接続するのかもしれないと考え私達は寝ずに上の動向を見守った。
時々、銃声がなったり叫び声が聞こえた。
小さな子供の泣き声も聞こえたが銃声が鳴ると声がしなくなった。女性の叫び声が聞こえてきて…飛び出して助けに行こうとしたらケイに止められてしまった。
行ってもどうする事も出来ないと…
その後も人々の叫び声や怒りの声が混じり混沌としていたが徐々に声が少なくなって次第に数人程度の声しかしなくなった。
ケイは私達に合図していつでも上に行ける様に準備した。ケイと私は銃を構えて待機した。リリィもケイに貰った銃を構えていた。
しばらくしたら機械の音声が九号船との接続開始のカウントダウンをし始めた。
私達はカウントダウンが終わると同時に上に飛び出した。
すると目に広がったのは五、六人の黒い頭巾の男達と床に折り重なるように倒れた死体の山だった。
その男達はギョッとしてこちらを見たが直ぐにゲートが開いたので直ぐ九号船に向かって走っていった。
私達も走って九号船に走っていった。
そしたら九号船の人達が明るく出迎えてくれていた。それは不自然なくらいの笑顔で…
私達が九号船に入った後、十号船は止まりどんどん見えなくなってしまった…
シオンも、あの十号船も、宇宙の中の一つのデブリとしてあのまま彷徨っていくのだろうか…
そしていつか私達も…
私達と黒い頭巾の男達はそれぞれ空いてる部屋に案内された。
私達は前も後ろも九号船の人に挟まれて逃げれなかった。案内されている間、船内を見渡したがとても静かで電気も付いていた。
ただ、空室が多く異様に人が少ないというか人の気配を感じなかった。臭いも何か無機質に感じた。
取り敢えず案内された部屋にいるけど明日この船内の様子を三人で見ることにした。
とにかく三人一緒に九号船に乗れて良かった…
銃も使わなくて済んでよかった…




