どうしてこうなった
現在、天下布武ってる最中なので投稿スピードかなり落ちると思います。書きかけで放置されていたので取り敢えず投稿。
人理も修復しないといけないし時間が足りない。ちなみに進捗度としては現在六角をボコっています。オール足軽めっちゃ強い。相手の農兵の士気がゴリゴリ削られていく。
あれからしばらくたった。見た目で嘗められる事は無くなったと思う。流行の最先端を行くなんて事はまあ不可能なので後追いだが、何もしないよりはずっとましだろう。
流行そのものを把握する能力もかなり劣っているが、そこは競合させている商人どもがせっせと運んで来てくれている。全てを自分達で完結させる必要など無いのだ。
然るべき場所に人と金を用意すれば、後は勝手に回る。均一に投資する必要は無い。むしろ差をつけることで全体の流れをコントロールすることさえ出来るだろう。
腐ってもトロア男爵家は貴族のお家柄、武に偏ってはいるが組織を運営していることに変わりはない。人を使う能は元から持っているのだ。
「はあ、それにしてもお金がかかるわね……」
しかし問題もある。姉御が愚痴をこぼしたくなるのも大いにわかる。それもこれもこの手のことは金が湯水の如く垂れ流されるからだ。尚武な気質のトロア家には衣服、ましてや装飾品に金をかけるという発想がまるでなかった。
そんな物に金をかけるのならば、少しでも軍備に回したい。そして実際にそうしていたのがトロア男爵家だった。そんなトロア男爵家を見る大多数の貴族家は、所詮は辺境の田舎者と下に見ていたのだ。
ところが最近のトロア男爵家が戦装束以外にも気を使いだした。最初は学院に入った令嬢とその従者たち。初日こそ王城でも騒然とする騒動を巻き起こしたこともあり、その装いも相まって粗暴な田舎者と言われたが、次に姿を表した時には装いどころかその立ち居振舞いまでも一変させていた。
トップである令嬢を基調に、格こそ数段落ちた物だが同じ系統で統一された装い(装飾品)で現れたのだ。その一団は一目見ただけで同じ組織に属する者たちとわかり、元々持ち合わせていた統制された動きから初日とはまるで違う一団へと変貌を遂げていた。
みんなで同じ物を身に付けることは、組織に対する帰属意識を強くする。ましてや自らの主と同じ(厳密には違うが)物を身に付けているとあれば尚更だろう。
元の気質もあってか、優雅さこそ足りないがどこか美しさを感じると評されるまでに昇華された。
これを見た王都に詰めるトロア家家臣もそれに倣い始めた。どこか粗野で古臭い田舎者の集団が、華美でこそないが品を損なわない程度に機能美を追求した装束を身に付け始めたのだ。王都で無用に浮く事はなくなり、他の家からの自分たちを見る目が変わったことに驚きと共に喜びを感じているようだ。
今までに無い出費、なれど必要だと思われる出費にトロア男爵家が出した結論は「もう少し魔物を狩る量を増やしたら大丈夫なんじゃね?」だった。
元々が魔物の領域と人の領域の最前線に位置するだけに魔物を狩る機会は王国で随一だった。それ故に魔物の素材を得る量も随一である。
科学技術の未発達なこの世界において魔物の素材とは戦略資源にもなりうる存在である。重工業を発達させる為の資源は神域で保護されているために、魔物の素材等を加工するための軽工業は恐ろしく発展しているのだ。
そんな世界におけるトロア男爵領は資源輸出地帯なわけだ。資源輸出における利益の莫大さは語るまでもないだろう。……何で男爵位なんだ? まあ、領民の大多数が多民族の外様だからだろうけど。
そんなわけで手の空いている戦える者は狩りに駆り出されている。大変ですねぇ、なんてふんぞり返っていたら、てめぇも行くんだよ、と連れ出されました。
ふざけんなと、数少ない休養日に狩りに行けと? 労働基準法を何と心得る! こんな概念まだこの世界では生まれていないけどな! 有っても何それ美味しいの? 状態の国も存在しているけどな! 断固拒否する! あん? てめぇの分はてめぇで稼げだと? と、同時に渡されたトロア職斡所からの手紙には、簡単に纏めると「働け」と書いてあった。
……やってやんよ。ああ、やってやんよ! ぐうの音の出ないほどに働いてやんよ! それから三日三晩は森をさまよいブラッド・オーガを狩った。こいつは大鬼の変異種で、単騎で倒しえた勇者は貴族に列せられるレベルの怪物らしい。
森に出掛けた五日後の朝、ブラッド・オーガの頭を引き摺りながら帰還した俺を出迎えたのは盛大に顔をひきつらせた騎士たちだった。しばらく門の辺りでわちゃついていたが、若い従騎士らしき少年が駆けてきた。
「あ、あの、身体の方はどちらに?」
半泣きで尋ねられたが、俺にその少年を気遣う精神的な余裕など無し。身体を置き去りにしてきた場所を言葉少なげに伝えると少年は飛んで帰っていった。……今なら彼の気持ちもわかるが、あえて言わせてもらおうか。目ぇ見て話せや。
それから俺は一週間の休息に入った。その間にエミリーの護衛の任は解かれていた。何故か学院の戦闘指導教員の補佐に任じられていた。
あ……ありのまま今起こったことを話すぜ! 俺は心身共に疲弊していたんだ。だから殻に籠るが如く外界からの接触をたっていた。そしたら、いつの間にか任務内容が変わっていたんだ。何が起きたのかわからねぇと思うが、俺にもわからねぇ……。頭がおかしくなりそうだった。夢とか幻だとかそんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。むしろそれは俺の得意分野だ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
「では授業を開始する」
俺の自由が制限されようとしている。そしてそれに俺は抗えない。お、恐ろしい。どうしてこうなってしまったのだろうか……。
遂に、彼らが再登場!
野に解き放たれたクロエを止めるために派遣されたのは一体誰なのか!?
A 「ふっ、私の出番のようですね」
B 「いいや、俺の出番っすね」
C 「いやいや、俺だろう」
D 「いや、俺が」
E 「俺だろ」
F 「じゃあ俺が」
一同「どうぞどうぞ」
X 「はぁ……」
Y 「ふふっ」