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マブイ【魂】プロジェクト  作者: °Note
Chapter Ⅳ 月夜に浮かぶ影
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sect.6 作戦会議3

「今降りるなら誰も止めません、皆さん覚悟はありますか?」

「院長の言うとおりだ。覚悟のないヤツは引っ込んでてもらおうか!」

ラガンナの言葉に続いて声がした方を見て、皆の食事の世話をしていた僧兵たちに動揺が走る。

大広間の入り口に巨漢のダブジが立っていた。


「んな!?破戒僧ダブジ!」

一度入れば気がふれて、二度入れば廃人になるとも言われるハザサ院の独房。

彼らの記憶が正しければ、ユマたちがハザサ院に着いたあの日、ダブジはその独房に三度目となる収容を受けて無事出てきたことになる。


「お前は少し黙っておれ」

「へ、へえ・・・。すまねえ」

ラガンナに叱られて、縮こまったダブジが小さく見える。


「この特訓から私もダブジを連れて参加します。あのような者でも貴重な戦力として使わなければならないほど、状況は緊迫しておるのが現状です。とはいえアレの手綱は、ちと並の者には荷が重いでしょうからな」

「へっへっへ」

何を勘違いしたのか得意げに笑うダブジを、再びラガンナが叱責する。

「バカモン、誰も褒めてはおらん!」

「ヒィ、へい!?」


「ラガンナ院長、まあ直接的な戦闘はシュカヌと我輩が受け持つのだから、それほど脅しをかけるような物言いは必要ないとも思うが」

「そうはいきませんよ、その場に携わるからには中途半端な気持ちでは全体の士気にかかわりますから」

「そうか、まあ院長がそう言われるなら」


「ヌシ狩りの民なら問題ないよ、覚悟のない者などいないから。それにこれはヌシ狩りの民にとっても失った信用を取り戻す絶好のチャンスだし」

「よく言ったランブー!」

ヌシ狩りの民たちの間から喝采が起こる。


「シャンネラ盗賊団も力を貸すよ。まあキトトブと組んで協力関係を結んでおけば、後々なにかと便利そうだしね」

「こういう言い方もどうかと思いますが、それに見合ったモノはお返しできると思いますよ」

「上等だ」

ラガンナの返答にシャンネラは満面の笑みを浮かべる。


「決まりましたね、それでは修験者の里に向かいましょうか」

「ああ、出発はいつだい?」

「今からです。この部屋を出たら出発します」

「へっ、なんだか急だね」

「一刻の猶予もありませんと言ったはずです。では皆さん準備に移ってください」

妙に急かすようなラガンナの言葉で全員が急に慌ただしく準備を始める。

その後の簡単な打ち合わせで狼犬使いのヌシ狩りの民は直接現地へ、そしてそれ以外のヌシ狩りの民や道具とキトトブの人たちは、シャンネラの船で一緒に輸送してもらうこととなった。



「ユマとニトも、ちょっといいかい?」

「なぁに?どうしたの?」

シャンネラは皆が慌ただしく準備するなかで、ユマとニトのふたりを呼び止める。


「ワタシたちは修験者の里に行くけど、お前たちはここに残って待っているんだ」

「えっ、なんで?」

「僕たちも行くよ!」

「ダメだ!これはワタシの直感だけど、今からの戦いは本当にヤバくなる。ユマ、アンタは戦闘経験の少ない普通の女の子だ。ニトを含めて二人には危険すぎる」

「いやよ、働かざる者は食うべからずなんでしょ!?あたしも皆と一緒に戦う!」

「(すごいユマ、オババに面と向かって逆らう人なんて初めて見た)」

頬を膨らませて目を見つめ返してくるユマに、シャンネラはふぅと小さく溜息をつく。


「もちろんアンタにも戦ってもらう。だけど戦い方ってのはひとつじゃないって言ってるのさ、皆が武器を持って敵の前に立つだけが戦いの全てじゃないからね。ここから先はニトと一緒に後方支援へ回っとくれ」

「後方支援?」

「負傷した者を救護したり、必要なものを必要な場所に届けたり、それも立派な戦いだ」

「で、でも・・・」

納得がいかない様子で口ごもるユマに、シャンネラが怒鳴る。


「バカチンが!お前がシュカヌのそばにいたら、シュカヌはお前を護るために全力で戦えないだろう!シュカヌのために離れたところで信じて待つのも、お前の立派な戦いなんだよ!」

「う・・・」

ユマはそれでも何か言いたげだったが、涙を浮かべた目でコクリとうなずく。

「わかった・・・」


ボフッ


シャンネラは悔しさを滲ませてうなずく少女の頭をやさしく抱きかかえた。

「ツラいだろうけど、許しておくれ。アンタもワタシの家族だ、失うわけにいかない大事な家族を守るためにはこうするしかないんだよ」

「・・・うん」

「ニトもいいね、お前がしっかりユマを守るんだよ!」

「うん、わかった」

当然ニトが異を唱えるはずもなく。


「きっと皆で帰ってくるから、留守を頼んだよ」

「うん、任せといて」



やがて慌ただしさを残したまま、シャンネラさんはシュカヌと一緒に修験者の里へと旅立っていった。

ハザサ院に残ったあたしとニトは、キトトブの人たちの手伝いをしていたのだけど、こっちはこっちで色々と準備があったりして忙しく暇を持て余すようなことはなかった。

それから数日後、エルザの町の情報がハザサ院に入ってくる。


エルザの町壊滅。


多くのひとが犠牲になって、その大半が子供やお年寄りだったらしい。

キトトブの人たちも必死に注意を呼びかけていたけど、結局それを邪魔したりバカにしてた人たちは自分たちだけ逃げて、弱い人たちが犠牲になったって聞いた。



そして七日後

修験者の里に行ってた皆が帰って来たのだけど、何人かのひとは戻っては来なかった・・・。


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